クラレ/〝次の成長〟を示す/繊維は売上高、営業益とも上方修正

2026年08月10日 (月曜日)

 クラレは2026年度で長期ビジョンと中期経営計画がともに最終年度となる。26年度上半期(1~6月)は売上高が過去最高となり、通期でも300億円上方修正した。川原仁社長は「次にクラレが何で成長し、付加価値を高めていくのかを示す新しいビジョンを作る」と話す。

 26年度上半期に関して川原社長は「売上高は過去最高となったが、円安効果が大きく、利益率の面ではまだ十分な水準に達していない」と指摘する。このため通期業績予想で売上高を300億円上方修正する一方で、利益面は据え置いた。

 下半期も中東情勢悪化などに起因する原燃料コスト増に対して適切な価格転嫁を進めることが重要になるとの認識を示す。ただ、価格上昇による需要動向にも注意し、「バランスを取りながら転嫁を進めると同時に、将来的には商品の付加価値をさらに高めることが重要になる」と指摘した。

 繊維事業は通期業績予想で売上高を30億円、営業利益を10億円それぞれ上方修正し、売上高660億円、営業利益55億円を見込む。価格転嫁が遅れていたPVA繊維「クラロン」の価格改定が進んだことと、液晶ポリマー繊維「ベクトラン」の販売増加が収益拡大に寄与する見通し。

 長期ビジョンと中計がともに最終年度を迎えたことで、現在は新たな長期ビジョンの策定に取り組んでいる。このため27年度は単年度計画とし、長期ビジョン策定後、それに基づいて28年度からの新中計を策定・実行する。

〈価格改定、円安効果で増益/クラレ 26年1~6月期〉

 クラレの2026年1~6月期連結決算は売上高4310億円(前年同期比7・8%増)、営業利益288億円(9・8%増)、経常利益259億円(22・1%増)、純利益142億円(1・4%増)だった。中東情勢悪化による原燃料高騰など事業環境が悪化したものの、価格改定と円安の効果で増収増益となった。

 繊維事業は売上高292億円(5・9%増)、営業利益41億9600万円(前年同期は5700万円の損失)と黒字浮上。人工皮革「クラリーノ」は靴用途の需要回復で販売量が増加した。PVA繊維「クラロン」は価格改定を進めた。液晶ポリマー繊維「ベクトラン」は好調だった。

 トレーディング事業は売上高366億円(10・1%増)、営業利益36億7100万円(20・7%増)と大幅な増収増益。繊維関連はスポーツ・アウトドア衣料用途が順調に推移した。樹脂・化学品関連は中国を中心としたアジア市場での販売が拡大した。

 通期は、売上高8800億円(前期比8・9%増)、営業利益700億円(18・9%増)、経常利益640億円(24・2%増)、純利益400億円(435・6%増)を見込む。