合繊メーカー 中東問題を乗り切る

2026年08月13日 (木曜日)

 大手合繊メーカーの2026年4~6月期連結決算は、繊維関連事業も大幅増益が相次いだ。中東情勢悪化による原燃料高騰や供給不安の影響が懸念されたが、各社とも価格転嫁に努めたことで事業環境悪化を乗り切った形だ。供給不安から一部需要家が積極的な調達に動いたことや円安効果も収益を押し上げた。

 東レの繊維事業は増収増益。衣料用途、産業資材用途ともに中東情勢悪化による原燃料高騰の影響を受けたが、緊急対策として価格転嫁やコスト改善に努めた。衣料用途は海外品との競争が激化したが需要の取り込みに努め、産業資材用途は自動車用途を中心に需要が緩やかに回復している。

 炭素繊維複合材料事業も航空、宇宙・防衛用途は順調に拡大し、スポーツ・一般産業用途も回復基調となったことで大幅な増収増益となった。

 帝人はアパレル&インダストリーズ事業が増収増益。産業資材は人工皮革や各種フィルター向けポリエステル短繊維、生活雑貨の販売が増加し、衣料繊維は北米や中国向けのテキスタイル・製品販売が堅調だった。原燃料高騰によるコストアップも値上げと販売構成の改善で相殺した。

 スペシャリティマテリアルズ事業は構造改革の成果で赤字が減少した。アラミド繊維は操業度上昇と販売量増加で改善が進んだが、原燃料価格の上昇によりスプレッドは悪化した。炭素繊維は、航空機用途の増加で販売構成が改善し、コスト構造改革も着実に進んでいる。

 旭化成のマテリアル事業も増収増益。うち繊維関連を含むカーインテリア事業は売上高435億円(11・5%増)、営業利益33億円(55・9%増)、コンフォートライフ事業は売上高710億円(16・6%増)、営業利益55億円(35・7%増)と、共に大幅な増収増益だった。こちらも原燃料コスト上昇に対して販売価格への転嫁を進めたことに加え、海外販売のウエートが高いため円安が収益を押し上げた。

 東洋紡の環境・機能材事業も増収・大幅増益。樹脂・ケミカルの堅調に加え、環境・ファイバーもスーパー繊維「ザイロン」の販売が増加し、不織布もスパンボンド不織布が建材用途を中心に回復した。価格改定も進めた。

 事業再生を進めるユニチカの機能資材事業は25年度に産業用ポリエステル繊維や不織布から撤退したことで減収ながら大幅増益。ガラス繊維は建材と電気電子用途ともに堅調。活性炭繊維も空気清浄器や液体フィルター用途が堅調だった。モノフィラメントは水産用途やスポーツ用途が堅調。ナイロン中空糸膜も半導体分野向けが好調だった。

 一方、中東市場で直接展開するビジネスは大きな打撃を受けている。東洋紡の繊維事業は赤字が拡大した。これまで収益をリードしていた中東民族衣装用織物の販売が減少した。環境・機能材事業も海水淡水化用逆浸透膜の販売が中東情勢悪化の影響で減少している。