ミキハウス/中国・深センに旗艦店/100万円ドレスも

2026年08月13日 (木曜日)

 「ミキハウス」ブランドの子供服を手掛けける三起商行(大阪府八尾市)は8日、広東省深セン市に「ミキハウス深セン湾万象城店」をオープンした。世界で7店目の旗艦店となる。価格勝負ではなく商品価値の追求を重視し、日本円で100万円を超える商品も取り扱う。日中関係がぎくしゃくする中、培ってきたブランド力を前面に出して消費者との信頼構築を図る。

 深セン市南山区の商業施設「深セン湾万象城」は、同市を代表する高級ショッピングモール。ミキハウスが入居する4階のフロアは、高級ブランドの子供服を扱う店舗が集積しており、フランスの「ディオール」やイタリアの「グッチ」、英国の「バーバリー」といった有名ブランドの子供服が競うように展示されている。

 ミキハウスの竹田欣克社長によると、この店舗環境が出店の決定につながった。中国では高級ブランドが集積している商業施設は数多くあるが、高級子供服の有名ブランド店がひしめき合っている商業施設は「そうそうない」(竹田社長)。年初にこの話が持ち上がってから、現地視察を行い、出店を決定するまでの期間はわずか5日程度だったという。

 ミキハウスは日本国内に直営約90店、海外に105店(深センの旗艦店を含む)を展開している。売り上げの比率は日本が4割、海外が6割。海外店舗のうち、旗艦店と位置付ける店舗は、英国・ロンドン、フランス・パリ、米国・ニューヨーク、中国・上海などファッション感度の高い都市に集中している。

 海外のうち直営は8店で、うち7店が旗艦店。旗艦店はミキハウスの経営理念を体現し、代理店をけん引する存在であることが求められる。海外105店のうち71店は中国本土で展開しており、全体の7割近くを占める海外の最大市場だ。

 深セン旗艦店の売り場面積は約77平方メートル。取り扱う商品は靴や靴下、肌着、トップス、ボトムス、アウターなどで、対象年齢は0~6歳前後。中国市場での売れ筋の商品は靴となる。

〈子供の体に配慮〉

 ミキハウスの広報担当者は「子供の靴を扱うには専門的な知識が求められる」と指摘。同社の靴は子供の骨や筋肉の発達状況などを考慮して作られており、こうした子供の体の知識を消費者に伝えることで、安心して商品を購入してもらうことができるという。

 体への配慮やかわいらしいデザインは、実際に商品を使用する子供の心に刺さっているようだ。靴を新たに買い足す際などに、子供がミキハウスの商品を自ら選ぶといった話をたびたび耳にするという。

 同店で扱う靴のうち、歩き始めの時期から履く商品は1千~4千元(約2万3千~9万4千円)前後の価格帯を取りそろえている。

〈まとめ買い散見〉

 ミキハウスブランドには「ゴールドレーベル」と呼ばれる高品質の商品シリーズがあり、素材にシーアイランドコットンを用いた肌着は1着1千元程度。新生児は汗を多くかくため、体温調節のため肌着を2着重ね着する形での使用を勧めており、出産準備の段階で5~6セットを揃えることを推奨している。

 まとめて買うと1万元を超えるため、決して安くはないが、購入後にさらに買い足す消費者もいるという。実際に使用して頻繁な取り換えが必要なことに気付き、機能や品質への納得感も加わって買い足しているとみられる。

 同店では、ストーリー性を持った女の子向けブランド「チエコサク」の商品も取り扱う。中国の既存店では消費者にブランドのストーリーそのものを楽しんでもらう取り組みを進めており、帽子やドレスなどをまとめ買いする消費者もいる。

 上海の旗艦店の客単価は3千元。竹田社長は「価格ではなく、価値を追求していく」と強調する。

 店内で最も高い商品は、素材にシルクを用いたドレスで、1着4万5千元する。日本円にして約105万円となるが、高品質な商品を求める消費者のニーズに合致しているという。

 日中関係がぎくしゃくする中での旗艦店オープンとなったが、竹田社長は「ミキハウスというブランドで勝負している」と話し、自社ブランドの価値を正しく伝えていくことが重要との見方を示した。ミキハウスの中国での売上高は今年に入って前年を20%上回るペースで推移している。

 日本では高級子供服ブランドとしての地位を確固たるものにしているが、竹田社長は「中国でも高所得者層を中心に認知が広がっている」とみる。深センの旗艦店では接客サービスなどに力を入れることで、ブランド力のさらなる向上を図る。今後の中国市場での店舗展開については、数を追う戦略はとらず、採算の合わない店舗の見直しと実需に基づいた新規出店を同時に進めていく方針だ。

〈医療機関とも提携〉

 日本で展開している医療機関との提携を中国でも進める。中国では今年6月、高級民間医療グループとの協力を開始。同グループの医療機関で生まれた赤ちゃんと家族に、新生児向けのギフトボックス(中身は肌着やガーゼバスタオルなど)を提供する。

 中国は少子化の傾向にあるが、出生数は年間約800万人で、日本の10倍以上の規模を持つ重要市場。竹田社長は「商品が最大のマーケティングツール」とみており、こうした提携を通じて消費者との接点を作り、ブランドを体験してもらう機会を増やしていく考えだ。[NNA]