ごえんぼう

2026年08月17日 (月曜日)

 「氷河期」と聞けば、雪と氷に閉ざされた世界を思い浮かべる。ところが地質学では、南極とグリーンランドに氷床がある現在も氷河期の真っただ中。私たちはその中の暖かな「間氷期」を生きている▼連日の酷暑に汗を流しながら「今が氷河期」と言われても、冷房の設定温度を下げたくなるだけだが、人類が衣服を常用し始めた時期を探る手掛かりは、意外にもコロモジラミだという。衣服に寄生するこのシラミがアタマジラミの祖先から分岐した年代をたどることで、衣服の常用が始まった時期を推定できる▼寒冷化は衣服の発達を促し、衣服は人類の活動領域を広げ、やがて文明や繊維産業を育てた。冷却服や遮熱素材など、今や衣服は「酷暑を乗り切る道具」に進化している▼猛暑は歓迎できない。だが、新たな衣服が生まれる契機と考えれば、この暑さもまた人類の進化史に、皮肉な一行を書き加えているのかもしれない。