繊維ニュース

技術の眼/泉工業と村田機械/帝人フロンティア/ソアー22/nishikawa/帝人/藤堂製作所

2026年08月19日 (水曜日)

 「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウエーブを巻き起こし得る重要な技術にスポットを当て、紹介する。

〈泉工業と村田機械/紡績工程でラメ糸〉

 ラメ糸製造卸の泉工業(京都府城陽市)と独自の渦流精紡機「ボルテックス」を製造販売する村田機械は、ボルテックスを活用した新タイプのラメ糸を共同開発している。通常の撚糸工程ではなくボルテックスでラメ糸を生産するもので、これまでになかった糸表情や機能を実現できる可能性が高まる。

 ラメ糸は通常、金属を真空蒸着したフィルムをスリットして作るラメにフィラメントや紡績糸を撚糸して製造する。これに対して泉工業と村田機械はボルテックスを使い、ラメに渦流で綿やレーヨン短繊維、ポリエステル短繊維などを結束することでラメ糸を製造することに成功した。

 撚糸工程ではなく精紡工程でラメと短繊維を混繊するため、ランダムにラメを露出させるなどで通常のラメ糸とは異なる糸表情が可能。また、ラメには後加工しても金属層の変色や剥離が起こらない泉工業の「ジョーテックス」を使用しているため、糸染めや生地染めにも対応しており、糸としての使い勝手にも優れる。

〈帝人フロンティア/肌ケア発想の繊維〉

 帝人フロンティアは、ウェルビーイングの向上を目指すスキンケア用の素材ブランド「Skinaxis」(スキンアクシス)を立ち上げ、保湿成分を含む繊維「スキンアクシス」モイスチャーシリーズを開発した。

 同シリーズを使用したナイトウエアやルームシューズ、枕カバーをライフスタイルブランド「フィリフ」の第1弾として9月から電子商取引(EC)サイトで発売する。

 同シリーズは、生地に微細な粒子状のセラミドを分散・固着させる加工を施したセラミド含有タイプと、生地に弱酸性美容成分を付与した弱酸性美容成分含有タイプの2タイプがある。セラミド含有タイプは、着用することで肌の潤いを補う。弱酸性美容成分含有タイプは着用時に肌を健やかに保つことをサポートする。

 今後は同シリーズを使用した「フィリフ」ブランドの製品開発を進めるとともに、新たな美容繊維開発にも乗り出す。

〈ソアー22/服のシルエット崩さない特許ポケット〉

 繊維製品の知財技術を活用した事業を展開するソアー22(千葉県茂原市)は、特許技術「特許取得済ポケット」のライセンス展開を目的とした業務提携に向けて瀧定(旧瀧定名古屋)と基本合意に達したと発表した。瀧定が持つアパレル業界への提案力やネットワークを生かして市場への導入を本格的に進める。

 特許取得済ポケットは、日常使いでの収納性と衣服のシルエットを両立することを目的に開発された特許技術。ポケットの機能性を高めると衣服の外観やシルエットに影響が出やすいという課題があったが、独自の構造設計によって収納性と利便性、デザイン性との両立を実現した。

 スマートフォンや小物類などを持ち歩く日常シーンを想定したポケット構造を採用しているが、外観への影響を抑え、衣服本来のデザイン性を保つ。アパレルブランドや製品カテゴリーに応じた導入が可能だ。特許番号を記載した証紙によって正規ライセンス品であることを示す。

〈nishikawa/入眠時間を約7分短縮〉

 nishikawaは、快適グッズブランド「ラクシア」の新商品として、入眠をサポートする抱き枕「ネムハグ」を開発した。価格は1万1千円。全国の寝具専門店や百貨店、直営店、公式オンラインショップで7月中旬から順次発売している。

 抱き枕は横向き寝の姿勢を安定させ、入眠を促す効果がある。同社は「呼吸の深さ」と「体圧分散」に着目した。胸が適度に開き、呼吸しやすい太さを呼吸量の測定で検証。身長に応じた太さを採用し、ミドルサイズ(身長165㌢未満)とラージサイズ(165㌢以上)の2酒類をそろえた。

 緩やかなS字形状で体に沿い、内側に硬めのウレタンフォーム、外側に弾力性のある粒わたを使用し、安心感と安定感を高めた。同製品を使わない場合と比べ、入眠までの時間が約7分短縮したとの検証結果も得た。側生地を取り外して洗濯でき、粒わたを補充することで硬さの調整も可能。

〈帝人/循環型CFRP開発〉

 帝人はこのほど、加熱による自己修復機能と高いリサイクル性を兼ね備えた熱硬化性炭素繊維複合材料(CFRP)を開発した。同機能により、簡便な工程でリサイクルを実現し、製品の長寿命化と資源循環の推進に貢献する。

 再成形や樹脂分解によるリサイクルができ、加熱による自己修復機能を備えた新たな樹脂を開発した。同樹脂をCFRPに採用することで、短時間の加熱で損傷した樹脂層が修復される。劣化したCFRPを廃棄せずに使えるため、製品の長寿命化を通じて廃棄物の削減ができる。

 所定の温度域で流動性を示し再成形できるため、リサイクルが可能。従来は400℃を超える高温炉で長時間かけて樹脂を燃焼分解する必要があり、環境負荷が大きかった。開発品は、特定の薬液に浸すことで樹脂を分解できるため、CFRPから炭素繊維を簡単に分離できる。環境負荷が低く、生産性にも優れた炭素繊維のリサイクルが可能になる。

〈藤堂製作所/スマホ入力で利便性向上〉

 繊維機械製造の藤堂製作所(京都市)は織物生産の前工程、整経・製織準備に使用するワープタイイングマシン「HIMAC α-300」のフルスペックバージョンを開発した。昨年発表した新機種を改良し、機械にデータを打ち込むのではなく、専用アプリを用いてスマートフォンでのデータ入力を可能とした。さらに畦(あぜ)取り本数からカウントし、オイリング時期も表示されるようにした。

 HIMAC α-300は従来機をベースに、積極的に糸を保持する機構を組み込み、使い勝手を向上したもの。切れやすい糸や極細糸などにも対応できる。

 同社は経糸の端を1本ずつ自動的かつ正確に結び合わせるワープタイイングマシンの国内最大手とされる。その他、経糸を自動で綜絖(そうこう)、ドロッパー、筬(おさ)に通し、織機の準備を全自動化するオートドローイングマシン、経糸を正しい順序に並べるワープリージングマシンなどを製造販売する準備機の総合メーカー。