スタイレム 環境再生型綿糸拡販へ
2026年08月21日 (金曜日)
スタイレムは、リジェネラティブ(環境再生型)農法で栽培した綿花を原料にした綿糸の販売を始めた。オーガニックとはまた違ったアプローチで地球環境に配慮する。
リジェネラティブ綿とは、土壌の健康や生態系の回復、生物多様性の向上を目指して栽培された綿花のこと。不耕起栽培やカバークロップ(被覆作物)栽培で土の中の微生物を守り、輪作によって土の“健康”を守るのが代表的な手法。枠組みによっては化学肥料や遺伝子組み換え技術の利用が除外されない場合もある。
化学合成農薬・化学肥料などの使用を原則として制限する有機栽培のオーガニック綿とは違い、失われた土の力を蘇らせ、土壌への炭素貯留によって温暖化対策への寄与も期待される素材として注目されている。
オーガニック綿の産地であるインドの農家は小規模かつ家族経営が主体。一方、米国やブラジル、豪州などの綿花農園は大規模が中心で、大量生産体制の中ではオーガニック化も難しい。しかし地球環境への対応は必要。この流れの中で注目を集めるのがリジェネラティブ綿だ。
同社はインドで、オーガニック移行期間の綿花「コットン・イン・コンバージョン」を全量買い取ることで農家の参入を促し普及を目指す「オーガニックフィールド」(OF)というプロジェクト(商品名)を推進している。
「OFとは視点の違うアプローチ」(原威史R&D部マテリアル課長)として、このほどリジェネラティブ綿糸の販売を始めた。綿花の調達先として、リジェネラティブ農法を採用する米国のスーピマ綿最大農園、ボズウェルファームと契約した。
同農園で取れる綿花のうち白度や繊維長、清潔度において最高品質の上位15%の特別な綿花ブランド「THE 1ー1ー50 STAR」(ワンワンフィフティースター)を仕入れ、パキスタンで紡績。綿糸をスタイレムが国内外に売る。番手は10番から120番までをそろえる。
豪州で複数の綿花農園を保有・運営するサンダウンパストラルとも契約した。同社の「グッドアースコットン」という中番手用の綿花を仕入れ、「ルミナホワイト」という綿糸ブランドでスタイレムが販売する。
米・豪どちらの綿糸も定番品を備蓄する。既に高い関心が寄せられており、採用実績やサンプルの引き合いが出ている。社内連携による生地、製品での供給にも積極的に対応する。
「オーガニックとリジェネラティブのどちらがいいという話ではなく、地球環境保護にはさまざまな角度のアプローチが必要」とし、知名度向上に努めつつ、アプローチの異なる二つの綿糸の知見を蓄積し、共に拡販につなげていく。
オーガニック綿糸も着実に採用増やす
一方、OFは2022年の投入以来、販売量が右肩上がりで推移している。とりわけデニムでの採用増が際立っているという。
インドの紡績工場と提携していることから、綿花栽培と同様に紡績もインドで行っていたが、差別化の一環で、インドからわただけを仕入れ、日本で紡績し、製織する取り組みも開始した。
OFもリジェネラティブ綿糸も認証取得を構想するが、「どんな認証が最適かを見極めていく」とし、第三者機関での認証も視野に、当面は自社で一次データを蓄積する。





