モノ作りの行方 ~事業撤退・継承~ 第二回
2026年08月25日 (火曜日)
ユニチカの繊維事業撤退
2024年11月28日、ユニチカは事業再生計画を公表した。収益力の低下や財務体質が悪化していた同社は、地域経済活性化支援機構の支援の下で再生を目指すことを決め、採算改善が困難と判断した衣料繊維、不織布、産業繊維(一部を除く)の事業整理を図ることになった。
25年8月までの合意を目標に事業譲渡や生産移管を進め、合意に至らなかった場合は、一定の供給責任を果たした上で、事業清算手続きに向けた措置を取る方針を示していた。雇用と技術の承継を優先し、いくつかの候補先と交渉が行われた。
譲渡先が相次いで固まったのは25年6月だった。岡崎事業所の譲渡がセーレンとの間で基本合意に達し、衣料繊維ではユニチカトレーディング(UTC)のユニフォーム、寝装品、シャツ事業の一部などをシキボウへ、スパンレース不織布を瑞光へ、ユニチカスピニングをカワボウへ譲渡することで基本合意した。
最大の焦点となった岡崎事業所などは、対象事業をユニチカエステルへ共同吸収分割で承継し、26年1月1日に同社の全株式をセーレンに譲渡した。セーレンはユニチカエステルの商号を「NBセーレン」に変更し、新たなスタートを切った。それに先立つ25年9月、セーレンの川田達男会長は雇用維持と27年3月期での利益確保を目指すと強調した。
セーレンによると、NBセーレンの26年4~6月期は売上高が約50億円、営業利益が2億~3億円となった。承継した事業は年間約10億円の赤字を計上していたが、「1~3月に不採算事業の整理を行った」とし、27年3月期は売上高200億円、営業利益5億~6億円を見込む。
UTCの衣料繊維事業を承継したシキボウは、組織の融合を図りながら繊維事業の成長を目指す。
両社の事業内容を紹介する社内説明会などを通じて相互理解を深め、4月からは繊維部門の各営業課にシキボウとUTC出身の社員を配置した新体制が始まった。承継により、短繊維を軸としてきた素材展開に長繊維が加わり、ユニフォームやスポーツ分野の商権も拡大している。
中国、ベトナム、インドネシアなど海外拠点も広がり、各拠点の機能や顧客基盤を生かして海外販売と高付加価値提案を強める。
ユニチカは、26年3月期決算説明資料で、繊維事業、不織布事業、産業繊維事業(モノフィラメントを除く)など、事業再生計画で撤退対象とした不採算事業からの撤退は「おおむね完了」と説明した。今後は高分子やガラス繊維など高付加価値分野に経営資源を集中する。





