インテキ上海の日系大手メーカー/機能素材で中国市場深耕/スポーツ需要など開拓

2026年08月28日 (金曜日)

 【上海支局】「インターテキスタイル上海2026秋冬」では、日系大手メーカーが独自技術を生かした高機能素材を相次いで打ち出した。軽量・薄地、UVカット、吸水速乾、消臭などの機能性を高めるとともに、スポーツ・アウトドアから日常着まで用途を広げる提案が目立った。中国市場での競争激化を受け、各社は機能性の高度化と新市場の開拓を進めている。

〈東レグループ/人型ロボット向け提案も〉

 東レグループからは東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)、東麗国際貿易〈中国〉(TICH)、東レ・長繊維事業部の3社が、独自技術を生かした高機能素材を提案した。

 TSDは、顧客との共創を掲げる「ブルースペース」を7期目として展開。今回は人型ロボット向けウエアを目玉に、ロボットの発熱や雨・風から精密機器を守る防水・保護素材などを提案した。重点素材の「クリアベール」は、透明感・高発色と高いUV遮蔽(しゃへい)率を両立した極薄素材。UV遮蔽性能を実演し、来場者の関心を集めた。「エアタスティック」は細繊度ナイロン100%による軽量・コンパクト、ソフトな高密度素材で、内側へのプリントによって透け感の中に奥行きのある表情を演出した。

 TICHは、「エアー」「ウールック」「ホワイト」「フレックス・ナノデザイン」の4カテゴリーに分け、ファッション用途向け生地ブランド「EVOTRUTH」(エボトゥルース)を訴求した。ボトムスを中心に、機能性とファッション性を融合した素材を提案した。

 東レ・長繊維事業部は、同展と同時開催の「ヤーンエキスポ」に今年の春展に続き出展。「トーレ・プレミアム・ゴーセン・セレクト(TPGS)」を中心に高付加価値糸を提案した。「クリアベール」は、中国で高まるUV対策需要を捉える素材として訴求した。汗染み抑制ファイバー「ギガダル」は風合いや表情のバリエーションを広げ、春展以降、バルク受注にもつながっている。

〈南通帝人/ブランディングを再強化〉

 南通帝人は、主力素材のブランディングを再強化した。マイクロファイバー使いの高密度織物「MICROFT」(マイクロフト)と吸水速乾素材「AQUADRY」(アクアドライ)を一新。マイクロフトは、多様なバリエーションで幅広い需要に対応。アクアドライは、春夏向けの軽量二重織や編み物を中心に吸水速乾性を訴求した。北米アウトドアブランドに採用されているナイロン使いの薄地織物などに来場者の関心が集まった。

〈ソアロン/サテンに原点回帰〉

 ソアロンは、トリアセテート繊維「ソアロン」の得意分野であるサテンを軸にアピールした。米国市場でサテンが好調なことから、欧米トレンドの波及を見据えて提案を強化した。スポーツテイストにも使えるストレッチサテンや、やや張りのある質感と適度な杢(もく)感を持つウール調ツイルなどが注目を集めた。中国では近年、ファッション性を求める一部のスポーツブランドからの引き合いが強まっている。こうした中、アスレジャーやメンズ向けの販売強化を図っている。

〈瀧定/スポーツライン「RFA」に集中〉

 瀧定は、スポーツ・アウトドアを成長分野と位置付け、新ライン「RFA」(アルファ)に展示を絞り込んだ。スポーツ・アウトドア分野の売上比率は20%強まで拡大しており、さらなる深掘りを目指す。RFAは日本本社が開発したスポーツテイストの素材を、中国現地法人が内販市場向けに再編集した。日本の北陸産地をはじめ国内外の産地を組み合わせ、スポーツ・アウトドアとファッション・ライフスタイルの融合を狙う。

〈旭化成/「ベンブリーズ」に引き合い〉

 旭化成は、キュプラ繊維「ベンベルグ」を軸とした複合糸や新開発品を提案した。キュプラ長繊維不織布「ベンリーゼ」をテープ状にカットした糸「ベンブリーズ」では、細番手の新商材を訴求。より軽量で繊細な表情を実現し、春夏向け薄手カーディガンやTシャツへの展開を狙う。地場のデザイナーズブランドが細番手を採用するなど、徐々に採用実績を増やしている。現状は横編み地がメインだが、今後は丸編み地への展開や、ナイロン、麻、綿などとの混紡・交編バリエーションの拡大を進める。

〈東洋紡/機能性アクリルを強化〉

 東洋紡は、機能性アクリルを中心にスポーツ・インナー市場への提案を強めた。アクリル原綿では、保温性とシルクのような滑らかな風合いを生かし、高級インナーや寝装向けに訴求した。改質加工綿(100%レーヨン)は、消臭やpH調整機能を付与し、機能性とコストパフォーマンスを両立。スポーツ向けには、吸水速乾性とリサイクル性を備えた機能性ポリエステル原綿も提案した。特に吸水速乾と消臭への関心が高く、大手スポーツブランドから引き合いがあった。

〈スタイレム/「Canale」を提案〉

 スタイレムは、世界でも希少な旧ションヘル社製シャトル織機を使って開発した「Canale」(カナーレ)シリーズを打ち出し、膨らみ感や独特のデザイン性を訴求した。種子から紡績までの工程を管理したトレーサビリティーの高いオーガニックコットン使いの生地のアピールにも注力した。中国で消費の二極化が進む中、品質、機能性、商品ストーリーを組み合わせ、差別化を図った。