特集 染色加工(8)/サステイナブル品を進化/岡山県織物染色工業協同組合/山陽染工/川合染工場/黒沼染工場

2026年08月28日 (金曜日)

〈岡山県織物染色工業協同組合/倉敷染を継続発信/ファッションワールドでPR〉

 岡山県織物染色工業協同組合は安全な繊維加工ブランド、「倉敷染」のアピールを継続している。

 倉敷染は染色、製品加工において、独自の品質基準に沿った安全な加工を保証するブランド。世界的な大手アパレルメーカーを中心に構成する、有害化学物質排出ゼログループ(ZDHC)が作成したリストに準じた独自基準を設定し、各種工程を経ても有害物質が残留しない生地を倉敷染として認定する。

 提携関係にあるニッセンケン品質評価センターへ生地の品質検査を定期的に依頼しており、第三者機関による安全性も保証する。各社が排水浄化などサステイナブルな生産体制も維持している。

 今年は「FaW TOKYO」(ファッションワールド東京)に出展し、PRする。繊維・アパレル業界からエシカル経済をけん引することを目的に活動するエシカルファッション協議会(岡山市)のブースで発信する。ブースでは、ファッション産業を支える企業、団体の取り組みを一つのサプライチェーンとして紹介する考えだ。

 倉敷染の課題として、田代雄久理事長(豊和社長)は生地を売るという「出口戦略ができていない」点を挙げる。生地を扱う企業との連携も模索する。

〈山陽染工/中国などアジア開拓に力/小売り事業では新店舗を開設〉

 山陽染工(広島県福山市)は近年、海外販路の開拓に力を入れている。イタリアで開かれる服地見本市「ミラノ・ウニカ」への継続出展を通じ、イタリアやフランスといった欧州での開拓を進めてきた。

 昨年からは、中国などアジア地域の開拓も強化している。昨年、中国・上海で開かれた生地展示会「インターテキスタイル上海」に初めて単独出展した。

 今年も6月に開かれた生地・副資材展「インターテキスタイル深センアパレルファブリックス」に出展。展示会に合わせて営業活動も行い、「着分オーダーなどが徐々に増えてきている」(同社担当者)。

 生地開発も強化している。引き合いの増えている顔料使いの生地ではこのほど、白い顔料を付与したデニムを開発。洗い加工などによって生地表面に変化が生まれる。

 小売り事業にも力を入れている。今年6月、福山市のモノ作りの魅力を発信するセレクトショップ「フクヤマモノショップ」の2号店をJR福山駅直結の商業施設、さんすて福山に開いた。

 天満屋福山店内にある1号店では接客の時間をしっかりとって、こだわりの商品を探してもらい、さんすて福山店では観光客向けのお土産品を中心に販売していくというように、各店舗の特色を生かしながら運営する。

〈川合染工場/得意技術に絞り込む/独自性で適正な利益を〉

 製品染色の川合染工場(東京都墨田区)は、生産品種や顧客を絞り込んでいる。主力の「東炊き(あずまだき)染」、厚手の帆布、「ボタニカルダイ」、デザイナーズブランドの四つを中心にするなど、単純な染色や加工を減らし、付加価値や独自性の高い商品で適正な利益と安定した受注を確保する。

 以前は国内の3工場で染色・加工を手掛けていた同社だが、現在は東京都内での生産に集約している。業界全体の加工数量が減少する中、「数量を求める時代ではない。得意技術や強みを持つ加工に特化することで存在感を高める」(川合創記男社長)とした。

 主力加工の一つである東炊き染は、五右衛門風呂に植物あくや石灰を混ぜて炊きながら生地を染める江戸時代の「釜入れ」を現代風に再現した染色技法だ。ソフトな肌触りや膨らみ感が表現でき、展開を始めて以来、婦人服用途を中心に高い評価を得ている。

 厚手の帆布でも強みを発揮している。ニット生地を染める設備を独自に改造した機械で染色しているため、シワが入りにくく、帆布自体の厚みも維持できる。他の仕事は断ることもある一方で、他社ではできない難しい加工や特殊な加工は引き受けるようにしていると話す。

〈黒沼染工場/生産性向上へ連携強化/短納期化などに対応〉

 製品染色などを手掛ける黒沼染工場(東京都江戸川区)は、生産性の向上に注力している。同社は、縫製を含めたワンストップでの対応を強みとしているが、生産対応力を高め、時期が集中するオーダーや加速する短納期化に応じる。協力工場との連携で体制を整える。

 同社は、製品染色とプリント(インクジェット、ハンド)のほか、福島県内に縫製拠点を持ち、顧客の要望に一貫生産で応えてきた。最近は、受注時期が集中する傾向にあるほか、納期もこれまで以上に短くなり、生産性の向上が大きな課題になっていた。

 このため同社の休日を有効活用する。休日に同社工場の設備で協力工場の従業員が生産する。協力工場は、自分たちが持っていない設備を使用することができるほか、電気代や材料費は黒沼染工場が負担する。黒沼染工場は設備を休ませずに稼働させられる利点がある。

 設備投資にも目を向けている。2台のインクジェットプリンターを保有しているが、このうち2019年に導入した古い方の機械の入れ替えを検討している。同社の正社員の平均年齢は約38歳で、20代も5~6人在籍している。「若い従業員のためにも生き残る仕組みを作る」とした。

〈洛東化成工業/複合で酵素の新しい需要/ビンテージ風にも対応〉

 繊維加工用などの酵素剤を製造する洛東化成工業(大津市)は、酵素技術を生かして新しいニーズに対応していく。足元では複合素材の多様化に関する要望などが増えている。

 前処理用を柱とする繊維加工用の足元の販売は、ほぼ横ばいで推移する。1~3月は底堅く推移したが、4~6月は微減。7~9月は前年並みを見込む。中東情勢の緊迫化を機に原材料コストの上昇が続く中、販売価格への転嫁にも取り組んでいく。

 合繊トレンドが続く中、主力の綿用は既存分野での使用量が漸減傾向にある。一方で天然繊維と化合繊の複合バリエーションが広がっていることを背景に、酵素加工の新たな需要も出ている。

 足元ではレーヨン使いでの案件が増えているという。従来から再生セルロース繊維「テンセル」のフィブリル対策として使われているが、その技術を応用してレーヨンと他素材の複合に対応する。

 市場でビンテージ風の商品が注目される中、従来からあるジーンズのバイオウオッシュ加工用に加え、Tシャツやパーカなどでユーズド感を出すために酵素技術を活用する動きも見られる。

 親会社である多木化学との連携も着実に進んでおり、酵素技術を活用した農業分野などへの展開が進んでいる。

〈センカ/サステ対応の薬剤拡充/衣料品の長寿命化に寄与〉

 繊維加工剤製造のセンカ(大阪市鶴見区)は、SDGs(持続可能な開発目標)につながる薬剤の提案に力を入れている。従来からある助剤でも、新しい視点で要望されるケースも増えている。

 近年は衣服を長く大切に着る風潮が高まる中、衣料品の長寿命化につながる繊維加工剤が注目されている。その一つが「シャインガード」で、UVカット性の付与だけでなく、耐光堅ろう度を高めて衣服の劣化を抑える薬剤としての提案が進んでいる。塩素堅ろう度向上剤「チェーエルカットCF―2」も衣服の長寿命化につながる薬剤として採用が広がっている。

 人手不足への対応として、作業時間や工程の短縮につながる薬剤の提案にも力を入れる。過酸化水素精練・漂白剤では、晒し効率を高めて時間短縮や過酸化水素使用量の削減などにつながるタイプの開発を進めている。ナイロンフィックス剤では、染色の最終段階で投入できるタイプをそろえ、工程短縮や廃液削減につながる使い方を提案していく。

 新商品では、廃棄物を材料とした排水処理剤の開発にも取り組んでいる。繊維加工剤で培った技術を製紙や化粧品などの分野に広げてきた中、今後は繊維以外での展開を繊維用に生かす開発も強化していく。