特集 アパレルパーツ(2)/副資材トップに聞く 現状認識と展望/島田商事/モリトアパレル/清原/オークラ商事
2026年08月31日 (月曜日)
〈島田商事 社長 島田 晋宏 氏/メーカー機能を強化〉
2026年1~6月期単体は、前年同期比微減収で、売上総利益は横ばいだった。海外法人の合算売上高も横ばいだった。
ユニフォーム向けが伸び、スポーツ・アウトドア向けは横ばいだったが、大手SPA向けと紳士服向けが減少した。海外法人は、香港が大口顧客のアカウントの振り分けを変更したことで数字上はマイナスとなったが、欧米向けは健闘した。右肩上がりの業績推移が際立つベトナムは当期も伸びた。
今後の成長へのポイントは海外向け拡大とメーカー化、企画開発力の向上、人材だと考えている。メーカー化の一環としてベトナムの製紐(せいちゅう)工場を増設する。新工場は28年3月の完成を予定している。中国でも協力工場との合弁や提携などを検討するとともに、欧米向け拡大に向け、将来的にはその縫製地であるバングラデシュやインドでの拠点設立を検討している。
企画開発力と品質力の向上については日本、中国、ベトナムに置く検査室(ラボ)を活用するとともに、暑熱対策などを切り口に独自の副資材開発に改めて力を入れていく。
これらの施策を実現していくためには人材が重要。採用環境は厳しさを増しているが、優秀な人材はそろってきており、今後も育成に力を注ぐ。給与や賞与など社員への還元も可能な限り手厚くしていく。
〈モリトアパレル 社長 森 弘義 氏/海外拡大へ準備着々〉
上半期(2025年12~26年5月)は、モリトが子会社化した副資材製造卸のミツボシコーポレーションと服飾雑貨製造卸のMs.ID(ミスアイディ)の通期連結効果や、アパレル向け副資材が一部を除き全般的に好調に推移したことから増収だった。
海外向けは香港経由の欧米向けのみ苦戦したが、日本からの欧米輸出は医療関連やワークウエア向けが拡大した。値上げも実施し、売上総利益率はモリト全体で初めて30%に達した。
ベトナム・ダナンのハトメ・ホック工場の増設工事を進めている。地産地消の流れに対応したもので、今後の世界戦略の要となる。販売拠点はホーチミンに置いているが、ハノイでも検討しているほか、欧米での販売拠点設立も検討中だ。
メーカー化の一環として古くから取引し、占有率も高かったホック製造の久永製作所を子会社化した。同社の金属ホックの品質は世界最高水準だと評価している。マザー工場として一体で運営し、さらなる付加価値化やグローバルスタンダード品質の担い手として共に歩む。ダナン工場の品質指導にも活用する。
海外は医療関連やスポーツ関連で実績を積んでいるが、今後はグローバルSPAやハイファッションブランドも狙っていく。ダナン工場の増設や久永製作所の子会社化もそのための施策だ。
〈清原 社長 斧原 正明 氏/強化の対象絞り経営資源集中〉
2026年5月期の業績は増収、経常増益と堅調に推移した。主力のアパレル事業は、中・軽衣料の需要がオールシーズンにわたり、レディース向けでも機能性が求められるという傾向を捉えることに注力した。結果、手堅く増収を確保した。
手芸・クラフト用品を扱うホビーライフ事業部は、国内外で販売を伸ばし、全体の業績をけん引した。国内は手編みブームに下支えされながら、独自企画の商品を積極的に投入したことが奏功した。クラフト用品販売は、当社の認知を消費者に広める効果ももたらした。アジアや米国では日本発の商品の人気が根強く、当社への引き合いも増えた。
今期(27年5月期)は、強化のターゲットを絞り経営資源を集中させる方針だ。アパレル事業は海外展開を加速させる。ホビーライフ事業は、安定的な収益を生む定番的な商品をそろえなければならない。
引き続き、商品を安定供給するための調達先の整備に取り組む。サプライチェーンが混乱する中でこそ、専門商社としての真価が問われる。組織の機動力を発揮し、顧客からの信頼を勝ち取る。
デジタルを活用した業務効率化も喫緊の課題だ。個々の現場でもAI―OCR(人工知能を組み合わせた文字認識)など新しいツールを取り入れ、成果の見込めるモデルは組織全体に波及させる。
〈オークラ商事 社長 山本 治彦 氏/日本の繊維産業復活に貢献する〉
副資材専門商社である当社は、自社開発した法人向け副資材注文サイト「Apparel(アパレル)X」の活用促進に力を注ぐ。現在は海外からの注文も増え、グローバルな電子商取引(EC)サイトに成長している。
2026年3月期は、アパレルXによる売り上げが前期比で40%を超える伸びを示し、全体の業績をけん引した。今では商取引に変革をもたらすツールにとどまらず、収益を生み出す主力事業に位置付けられる。
アパレルX事業については、規模の拡大と並行し、プラットフォームとしての進化も追求している。副資材と併せ生地の販売にも力を入れており、現在は生地の売り上げがサイト全体に占める割合が格段に高まった。
アパレルXを通じて、日本の副資材や生地を世界に紹介するのは、「日本の繊維産業を復活させたい」という思いが根底にある。思いを形にする取り組みの一つとして、海外の展示会への参加を増やしている。このほど韓国で開かれた「プレビューインソウル」には3年連続で出展したほか、「インターテキスタイル上海」など大型展示会にも参加している。新たなアピールの場として、米国、豪州、中東の展示会も視野に入れる。
今後は、アパレル製品のOEMにも本格的に着手する方針で、国内の縫製工場を海外に売り込む役目も担っていきたい。





