特集 アパレルパーツ(5)/主要副資材企業のイチ押し商品と重点戦略/三景/島田商事/吉岡/清原/オークラ商事/増見哲

2026年08月31日 (月曜日)

〈三景/酷暑対策の品ぞろえ強化 表地に向けた提案広げる〉

 三景は、自社商品の発信拠点である青山ショールーム(東京都港区北青山2)で、TRANS(=越える)とSEASONAL(=季節ごと)をテーマにした展示を行っている。

 新たに立ち上げた素材「キュプラ×ギガダル」は、主に表地に向けて打ち出す。キュプラの吸放湿性と滑らかな質感、ギガダルの吸水速乾、遮熱性、防透性、紫外線遮蔽(しゃへい)性、汗染み抑制といった双方の機能を集約した生地を酷暑対策に向け提案する。

 鹿の子とフラット、それぞれの軽量版の計4種類をそろえた。

 さらにイージーケアができるキュプラ混紡の生地や、リネンライクで意匠性を持たせた生地なども豊富にそろえた。同社の染色工場であるフクセンでの加工染色生地などコストメリットに応える商材も用意している。

 酷暑対策としては、通気孔を施したドットエア裏地「DO248」を裏地に向けて提案する。ドットエアは東レのポリエステル100%素材で、特殊な原糸と織物構造を基礎に、加工技術を活用して通気孔を施した。通気性、イージーケア性、吸水性、軽量感と多機能を発揮する。

 芯地では、工業洗濯対応高耐久接着芯地「SDXシリーズ」が注目を集める。品ぞろえを拡充し、多様な用途に対応する。

〈島田商事/機能とアイデアの副資材 用途提案で分かりやすく〉

 島田商事(大阪市中央区)は7月から順次、大阪、東京、広島の3拠点のショールームで新作やオリジナルの副資材を、製品・用途提案を交えて訴求している。

 今回の製品提案の目玉の一つが「エアーサーキュレーションダウンジャケット『オクタ』」だ。帝人フロンティアの引っ張り強度の高い「パズモ」を表地に、中わたには軽量・速乾、保温・高収納性の「オクタエアー」を使用した。中わたと中わたを仕切る部分は無縫製。通常はホットメルトなどで熱接着するが、そこに同社独自の「エアーサーキュレーションテープ」を使用した。熱接着と違い空気の層ができるため通気性に優れ、そのため中わたの暖かさがジャケット全体に行きわたる。

 中わたのオクタエアーは伸縮性に優れるため、圧縮してもすぐに戻る。そのため丸めてたたんでもすぐに奇麗に元の形に戻る。「画期的な発想と性質」と顧客の評価はかなり高く、採用も進んでいるという。

 そのほか、レインウエアのポケットにポータブルファンを入れて暑さ対策するのを想定した、ポケットの底のマチにカーブを付ける形状記憶のパーツや、ポロシャツの襟部分の肌離れをよくするための形状記憶のテープなどが、「アイデアが面白い」と人気を博している。

〈吉岡/機動力と即応力強みに 国内外ネットワーク生かす〉

 吉岡(岐阜市)は豊富な品ぞろえに加え、即納などの機動力を生かす。国内の6営業拠点と中国、香港、ミャンマーなど海外拠点のネットワークを駆使し、多種多様な需要に応える。

 さまざまな副資材を受注してまとめる「パック納品システム」の高度化を進める。基幹物流拠点のフジクレイン物流(同)を軸に、発注量の多い商材をピッキングしやすい場所に配置するといった運用方法で、迅速な配送を実現している。吉岡源一郎社長は「日本の中心部に位置する岐阜市に当社が存在することも強みだ」とし、地の利も生かす。

 副資材の販売について、主要販売先との取り組みを深める一方で、意匠性高いアパレルやデザイナーズブランド向けに販路を広げたいと考える。仕入れ価格が高騰し続ける中で、販売先に理解を求めながら価格改定を進めることと、高付加価値品の販売を増やすことを重視する。

 今期(2026年8月期)の売上高は前期並みを見込む。中・重衣料のMD縮小や、芯地や副資材を使用しないアパレルの企画も増える中で、各営業拠点が細かな需要を拾い上げる。二次加工品を製造する吉岡紡織(岐阜県神戸町)は不織布メーカーなど異業種との協業を進めている。

〈清原/耐熱性打ち出すスナップ 機能性とエコ両立の裏地も〉

 副資材専門商社の清原(大阪市中央区)は、豊富な品ぞろえを基盤とした提案力を強みとし、多様な用途に向けて商品を供給している。機能性に対するニーズの高まりへの対応にも力を注ぐ。

 「耐熱スナップ」は、特殊な耐熱ナイロン樹脂を使用した。耐熱に加え、難燃性、耐衝撃性、耐化学薬品性、スパークフリーと多機能を発揮する。

 防災の現場といった過酷な環境で着用する製品に向けたスナップだが、アウトドアなども用途として想定する。

 裏地については、機能性と環境配慮を兼ね備えた商材を拡充する。

 「777Wエコユース・タフタ広幅裏地」は、制電糸「パレル」とハイカウント糸を使用し、制電と布擦れ音の軽減の効果をもたらす。経糸には東レの工場内で発生したフィルムくずから製造した再生ポリエチレンテレフタラート(PET)を使用した。テキスタイルでの再生PET比率は約45%に達する。

 「♯7401プルーテ・ストレッチタフタ裏地」も、パレルを使用し制電性を付加した。経糸に細番手を取り入れて軽量化を図った。約15%以上の横方向のストレッチ性も持たせた。緯糸の一部には植物由来の原料を採用した。

 エコユース、プルーテ、パレルは東レの登録商標。

〈オークラ商事/注文サイトの海外展開加速 展示会で積極PR〉

 オークラ商事(東京都千代田区)は、1958年創業の総合アパレル資材商社。メンズ、レディース、カジュアル、ユニフォームと多方面に商品を供給している。

 副資材の商取引にデジタル技術を取り入れた先駆けであり、2018年から自社開発した法人向け注文サイト「Apparel(アパレル)X」を運用する。

 アパレルXは、納期、在庫・単価、受注状況などの確認作業がウェブ上で完結する。商品の納期は注文時に「予定」として表示され、自社在庫商品や情報連携しているメーカーの在庫状況、単価も画面で確認できる。

 クレジットカード決済や代引き、掛取引などさまざまな決済手段にも対応する。

 資材の購入から注文履歴の検索、最新トレンドの把握まで、場所を選ばずスマートフォンやタブレット端末で行うことが可能だ。

 運用開始から利用者数、取引量を伸ばし、会員登録法人数は3万3千社を超え、掲載メーカーも約180社に上り、登録品番数は2万4800点を突破した。

 現在は海外からの利用が急増しており、海外の会員登録法人は1万社を超えている。

 さらに海外展開を加速させるため、韓国の「プレビューインソウル」など海外の展示会に参加し、アパレルXについての発信を強めている。

〈増見哲/子供たちが再生ショー 来月、淡路島エイトで〉

 増見哲(大阪市中央区)は、自社で運営する兵庫県淡路島のサステイナブルとファッションをテーマにした複合施設「ei―to」(エイト、兵庫県淡路市)で、地域の子供たちが古着をリメークする「re(再生)プロジェクト(PJ)」を実施した。9月26日に同施設で開くランウエーファッションショーでその成果を披露する。

 同PJは増見哲が主催するもので、地域で回収した衣服を子供たちの自由な発想で新たな一着へと生まれ変わらせる取り組み。

 参加した子供たちは6~17歳の21人。7、8月の候補日の中から子供たちが選択し、計8回リメーク作業を進めた。

 増見哲はエイトに衣服の回収ボックスを設置しており、そこで回収された約500点の廃棄衣類の中から子供たちが好きなものを選んでリメークした。

 同社はこのPJの意義について、「アイデアを形にする楽しさやモノ作りの面白さを体験するとともに、物を大切にする心や環境への意識、豊かな創造力を育められれば」とする。

 お披露目となる9月26日はファッションショーだけでなく、「再生蚕の市」や、再生アーティストが集う「再生ワークショップ」などリサイクル・リユースがテーマのさまざまなイベントを用意する。