発足迫るTAフロンティア/シナジーへの期待高まる/産地への発注も拡大目指す
2026年09月02日 (水曜日)
帝人フロンティアと旭化成アドバンスの経営統合による「TAフロンティア」の発足がいよいよ1カ月後に迫った。大手合繊メーカーの繊維事業会社が系列を超えて一本化されることはこれまであまり例がなく、新たな挑戦として業界内での注目度は高い。関係者の間でもシナジーへの期待が高まってきた。(宇治光洋)
10月1日のTAフロンティア発足に向けて、先行していた経営・管理部署による調整が続いている。関係者の間では、これまでイメージ先行だった統合のシナジーが具体的な姿として認識され始めている。
帝人フロンティアから見て旭化成アドバンスの大きな魅力の一つが、旭化成のキュプラ繊維「ベンベルグ」という独自素材によるモノ作りだ。オンリーワン素材として圧倒的なブランド力を持ち、例えば旭化成アドバンスが展開する裏地は市況自体が低迷する中でも堅調を維持している。
また、旭化成アドバンスはスポーツ衣料を中心にナイロン織物に強みを持つこともポリエステル繊維が中心の帝人フロンティアから見て魅力的だ。帝人フロンティアの幹部は「キュプラ繊維やナイロン繊維によるモノ作りで商品ラインアップのバリエーションが広がることへの期待は大きい」と話す。
旭化成アドバンスから見て帝人フロンティアの魅力の一つが、充実した海外のサプライチェーン。特に南通帝人に代表される中国でのテキスタイル生産基盤は強力だ。旭化成アドバンスの幹部は「帝人フロンティアは中国でのモノ作りが成功している」と話す。スポーツだけではなくファッション衣料の用途でも海外生産基盤を活用することへの期待が大きい。
統合のシナジーが期待されるもう一つの分野が産業資材だ。帝人フロンティアはカーシートやゴム資材、テント・膜材、防災製品、建材など幅広い用途で豊富な実績を持つ。旭化成アドバンスもエアバッグ包材など車両資材、ポリエステルスパンボンド不織布、繊維構造体、防炎繊維などユニークな素材を生活資材から建材まで幅広い用途に展開している。競合関係にある用途や製品は少なく、統合による相乗効果は大きい。
建材分野では旭化成アドバンスは建設業法に基づく建設業許可も保有する。帝人フロンティアもかつては建設業許可を取得していたが、施工関連の事業が縮小したことで許可を更新できなかった経緯がある。今回、TAフロンティアとして再び建設業許可を持つことになり、建材関連では素材・製品から施工まで一貫したビジネスモデルを構築する可能性が広がった。
一方、両社とも産地に委託生産先企業が多い。統合による調達ソースの変更などがあるのではといった懸念が産地にはある。この点に関して両者の幹部からは「現在の発注規模を減らす計画はない」「統合による業容拡大で産地への発注量を増やしていくことが目標」との声が上がる。
両社は給与体系や福利厚生制度も異なり、さらに社風など無形の文化的相違も少なからず存在する。これらをどのように融合させていくのかも課題だ。TAフロンティア発足以降も内部での丁寧なコミュニケーションと、出身企業を超えて真摯(しんし)に考えを伝え合うことが欠かせないだろう。





