ルーキー、繊維の未来描く③/ロイネ 李 梓赫さん

2026年09月03日 (木曜日)

日本のモノ作りを発信したい

 「何か一つでもいいので完全に任せられるようになりたい。早い段階で得意分野を見付け、自分の強みに変えたいですね」。4月に新卒でロイネに入社した李梓赫(リ・ヅクァ)さん(22)は、10月に予定されるインナーを扱う部署への配属を心待ちにしている。商談の現場に赴く時に備え、営業から管理部門に渡る書類のチェックという〝受け渡し〟の業務に励む。

 ロイネは伊藤忠商事繊維カンパニーのアパレル業務の中核を担う事業会社で、2026年は創業110周年に当たる。

 「元来、あまり服には興味がなかった」という李さんがロイネを志望したのは、大学時代のアルバイト先での経験が大きく関わっている。紳士服量販店で販売を担当したドレスシャツの売れ筋が、ロイネ製造の商品だった。

 「調べると、ロイネが企画・生産からアパレル製品を手掛ける会社だと知りました。何かモノ作りに携わりたいと考えていた私は、就職先として意識するようになりました」

 ふとした出会いがきっかけとなり、飛び込んだ繊維・アパレル業界で、李さんは自分なりの戦略を立てている。

 「アルバイトで扱ったスーツやドレスシャツではなく、あえてインナーを希望したのは、未経験の領域に踏み出したい思いがあったためです。インナー部門は比較的大手の顧客が多く、ビジネスチャンスが広がると見込んでもいます」

 同社は新卒社員に商流の全体像を学ばせるため、営業担当から回される商取引や生産の受発注に関する書類をチェックし、記載事項を社内システムに入力する業務を与える。李さんは業務を通じ、流通の川上から川下まで網羅する知識を身に付けようと奮闘している。

 「服の知識はある程度持っていたつもりでしたが、編み地に関しては全く知識が足りないと痛感させられました」と苦笑する。現在、素材の特性や編み方など基礎から自発的に学んでいる。幸いにも社内の風通しは良く、先輩に質問しやすい環境にある。「裁ちばさみの使い方一つでも、自分で成長を感じ取れる喜びは何事にも代え難いですね」

 大学時代は重機を研究するユニークなサークルを立ち上げた。持ち前の探求心と行動力をビジネスで発揮する日が近づいている。

 「自身のルーツがある中国をはじめ、グローバルな市場でのビジネスに挑戦したい。日本のモノ作りの素晴らしさを世界に発信するような役目を担うことを目指しています」と将来像を鮮明に描く。