シリーズ事業戦略/シキボウ 上席執行役員 繊維部門長 尾﨑 友寿 氏/海外販売拡大へ体制整備/技術・素材融合で新商品/素材ラインアップが拡大
2026年09月08日 (火曜日)
シキボウは今年1月、ユニチカトレーディング(UTC)の衣料繊維事業を継承し、繊維部門の業容が大きく拡大した。綿など天然繊維に加えて合繊素材もラインアップに加わったことで技術と素材の融合が加速する。繊維部門長である尾﨑友寿上席執行役員は「(UTCとの)統合が順調に進んだ。今後は技術や素材を融合した新商品を本格的に出していく」と話す。
――2026年度上半期(4~9月)も後半に入りました。
ここまでは想定以上に好調に推移しました。当社は今年1月にUTCの衣料繊維事業を継承しましたが、統合が順調に進みました。統合によってさまざまなシナジーが既に出ています。例えばインドネシアにはこれまで当社の子会社であるメルテックスとユニチカグループのユニテックスという二つの紡績会社がありましたが、今回の事業統合によってメルテックスでの生産に一本化され、稼働率が向上することでコスト削減につながるなど具体的な効果が表れています。複重層構造紡績糸「パルパー」の生産もメルテックスに完全移管できました。
営業だけでなく生産でも人員を受け入れたことで技術交流などの成果も上がっています。当社はこれまで綿紡績として天然繊維を中心に扱ってきましたが、今回の統合によってスポーツ用途などを中心に合繊長繊維素材がラインアップに加わりました。これは非常に大きなことです。合繊を活用することで素材からの差別化が可能になりましたから。例えば遮熱クーリング素材「こかげマックス」や気化熱を利用したクーリング素材「打ち水」などが注目されています。また、海外の縫製事業でも相乗効果が出ています。
――各事業の状況は。
中東情勢の悪化で中東民族衣装用織物は厳しい状況です。ただ、当初懸念していたほど悪化はしていません。いろいろと工夫しながら出荷に努めていることで、なんとか踏ん張っているといった状況です。一方、ニット製品は好調。GMS向けや学校体育服などが安定しています。ユニフォームは伸び悩んでいます。価格改定前の駆け込み需要があり、その反動が出てきました。ただ、企業別注向けはここにきて感触が良くなっています。また、UTCから引き継いだ難燃ビニロン混生地「プロテクサ―FR」といった新しい素材の提案も進めていますから、今後に期待です。寝装は悪くありませんが、市況に勢いがありません。それでもリネンサプライ向けは盛り返してきました。工業洗濯に対応したプリント生地「アペニノ」などが好評です。特にホテルリネン向けが伸びています。
――中東情勢悪化の影響と対応策。
原燃料価格が高騰したことで、まずは価格改定による転嫁を進めています。原料の確保に関しては、今のところ問題は起こっていません。
――下半期(26年10月~27年3月)に向けた課題や戦略は。
現在、当社は国内に比較的大きな規模の紡績設備を持っています。これを活用して差別化糸の開発や提案に力を入れます。インドネシアのメルテックスも設備投資を進めます。メルテックスは21年に火災があり、その復旧の過程で前紡工程を更新しています。そこで今後は精紡工程の設備更新を進める計画です。子会社の新内外綿が混紡糸など異素材を使った紡績技術に長けていますから、その技術やノウハウをメルテックスに導入し、インドネシアでも差別化糸の生産を拡大する考えです。
ベトナム拠点での糸のストックオペレーションも成果を上げていますから、今後はメルテックスやタイ関係会社であるJPボスコの糸も扱い、国内外への販売を拡大する考えです。
今後はシキボウとUTCの素材や技術が融合した新商品も本格的に出していきます。特にユニフォーム用途。既にパルパーと校倉造り織組織による高通気生地「アゼック」を組み合わせたものなどユニークな商品ができています。今後も長短複合糸など天然繊維と合繊を両方扱えることを強みとした素材に力を入れます。
――今後、期待する用途や分野は。
ユニフォーム、中東民族衣装、寝装、原糸はまだまだ戦えます。国内だけでなく海外に日本の素材を輸出することにも挑戦したい。欧米だけでなくインドなども有望です。そこで7月にはインドのニューデリーで開催された繊維総合展示会「バーラト・テックス」に出展しました。シャツ地のほか難燃素材や高視認染色によるユニフォーム素材などを紹介しています。こうした特色のある差別化素材ならインド市場でも十分に可能性があると思います。





