商社原料・素材ビジネス特集(2)/広がる気候変動への対応
2026年09月11日 (金曜日)
〈豊島/暑熱対策素材の提案強化/サステ商材拡販も推進〉
豊島は暑熱対策につながる合繊素材の提案に力を入れている。新商品として、紫外線防止に寄与する「UVPROTEC」(UVプロテック)を展開する。英国・ロンドンに拠点があるスタートアップ(新興企業)と協業した、サステイナビリティー対応商材の拡販も進める。
衣料向けを中心に昨年から提案を強めているのがUVプロテックだ。月の表土に含まれる鉱物が太陽光を反射する自然の仕組みに着想を得て生まれた。開発には約4年を要し、昨年販売にこぎつけた。
同社が独自に開発した特殊セラミック配合繊維を使用した。繊維中に分散したセラミック粒子により、紫外線(UV)に加え、ブルーライト(HEV)や近赤外線(NIR)を遮蔽(しゃへい)し、日射の影響を軽減。透け防止や汗染み防止、ストレッチ性、通気性などの機能も付与できる。スポーツやアウトドア用途を中心に、生地や糸での販売を進めている。
ポリエステルとナイロンの2品番をそろえる。価格は一般的なポリエステルやナイロンとほぼ同等の廉価タイプもあり、大手百貨店ブランドに採用されるなど、広がりを見せている。
英国のスタートアップ、アンフィコと協業して打ち出しているのは「アンフィカラー」だ。ナイロン100%の原着糸を使った生地で、豊富なカラー展開が特徴。使用する原着糸は6色のみだが、織物にする際の経糸と緯糸の組み合わせで、3千通り以上の色数を生み出せる。角度によって色の見え方が変化し、シャンブレー調の表情もある。
原着糸を使用しているため、堅ろう度も良好な上、後染め工程も不要で、環境負荷低減につながるサステな素材だ。顧客からの反応は良く、特に海外向けで引き合いが高まっている。
〈タキヒヨー/機能付与など生地で差別化/OEM、ODMに生かす〉
タキヒヨーの素材開発/販売グループは、着用時に必要とされるさまざまな機能を付与した生地を開発し、差別化を図る。生地も販売するが、アパレル製品のOEMやODMの受託が増える。秋冬物の売上比率が高かったが、春夏物の販売が増え、現在は春夏物と秋冬物の比率が50%ずつとなっている。
中嶋正樹執行役員は「品質管理が徹底された、機能付与型の生地開発を強化する」と話す。近赤外線を遮り、衣服内の環境を快適にする機能や美容の切り口など、明確な特徴を打ち出す。国内外の合繊糸メーカー、紡績企業、生地商社と開発面で連携を深める。
差別化生地を使用した製品の受託も着実に増える。売上比率は製品60%、生地40%。生産は中国が多くを占めるが、ベトナムなど東南アジアの企業と取り組みを深める。今後も縫製工場、生地製造工場の開拓と、新たな生産経路の構築を進める。ガーメントグループのOEM・ODMセクションとの生産面での情報共有も重視する。
製品の主要販売先は百貨店を販路とするアパレル企業やセレクトショップを展開するアパレル企業など。海外展開する一部のデザイナーズブランドにも販売している。商品企画の多品種化が進む中、環境配慮や機能性、ウエルネスや美容を意識した打ち出しを生地や製品に反映する。テーマ性を持たせた提案が販売先の支持を集めている。
シーズン別の売上比率は春夏物と秋冬物が50%ずつ。紡毛のコート地などを手広く展開していた時期は秋冬物が70%を占めていたが、春夏向けの生地開発が進んだため、春夏物の比率が高まった。天然繊維と合成繊維の複合糸を使用した生地や、合成繊維製プリント生地の引き合いも増える。
〈瀧定/近赤外線吸収で暑さ対策/ソラメントの用途拡大へ〉
瀧定は近赤外線吸収繊維「ソラメント」の普及を進めている。日本全体で酷暑化が課題となる中、同繊維の遮熱効果を生かし熱中症対策につなげる。ファッション衣料のほか、生活雑貨やユニフォームなどにも用途を広げる。
住友金属鉱山と協業して開発した。レアメタル由来のナノ微粒子を繊維に練り込んでいる。太陽光の約42%を占める近赤外線を吸収できるのが特徴で、遮熱や保温などの機能を備える。
国内では夏の長期化・酷暑化が深刻で、暑さ対策は喫緊の課題だ。昨年6月には職場での熱中症対策が強化され、事業者に対応が義務付けられた。昨年、官民共同で推進する「熱中症予防声かけプロジェクト」に参画し、ソラメントのPRを図っている。
主に衣料向けで採用が進む。アウトドアブランド「ミレー」は近赤外線吸収による遮熱効果に着目し、ソラメントをポロシャツに使用した。その後もパーカやアームカバー、ネックチューブなど幅広い商品に広がった。
近赤外線によるシワやたるみといった光老化対策にも寄与することから、婦人衣料でも引き合いは多い。マッシュスタイルラボは「スナイデル」などのブランドで、ソラメントを使ったジャケットやパンツ、シャツなどを販売する。
直近では、日傘や電動ファン付きウエアにも採用されるなど多彩な用途に展開が進む。生地から製品まで手掛ける同社の強みを生かしながら、社内連携で顧客のニーズに合った商材を供給している。
ソラメントの需要は今後も見込めそうだ。日本だけでなく、世界的に暑さ対策は避けられないからだ。海外向けを伸ばす余地がある。ソラメント使いの生地や製品の拡販を進め、2028年には売上高20億円を目指す。





