商社原料・素材ビジネス特集(3)/確かな技術が生む品質

2026年09月11日 (金曜日)

〈帝人フロンティア/最終製品明確な提案を/アクリル紡績糸も再アピール〉

 帝人フロンティアの衣料繊維部門衣料素材本部原料部は、最終製品を明確にした糸の開発と提案を強化している。主力のポリエステル長繊維に加えて、国内サプライヤーが減少しているアクリル紡績糸の再アピールにも取り組む。

 同社は現在、タイ子会社のテイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)で生産する差別化糸のほか、協力関係にあるインドネシアのティフィコで生産する準差別化糸と定番糸、そのほか海外の協力企業で委託生産する定番糸など、ポリエステル長繊維の充実したラインアップもそろえる。最近ではティフィコ以外の委託生産先でも準差別化糸の生産を進めるなど体制を整備している。

 また、原糸だけでなく加工糸に力を入れる。国内の編み立て・糸加工子会社である帝人フロンティアニッティング(石川県小松市)を中心に委託加工も含めて充実した加工体制が強みだ。約10年前から中国での委託加工にも取り組んでおり、着実に成果が上がりつつある。

 同社が現在、特に重視しているのが最終製品を明確に見据えた糸開発と提案だ。例えばSPAのインテリア製品向けで好調な販売が続いている。こうした取り組みを他の最終製品メーカーや流通に拡大することを目指す。

 もう一つ、改めて力を入れるのがアクリル紡績糸・生地。同部は旧東邦テキスタイルのアクリル繊維事業を継承しており、現在も海外で委託生産したアクリル紡績糸・生地を販売する。近年、国内ではアクリル繊維のサプライヤーが減少していることから、同社のアクリル紡績糸への引き合いが増えている。

 今後はポリエステル長繊維に紡績糸も組み合わせた素材開発にも取り組む。また、再生ポリエステル糸もマテリアルリサイクル品とケミカルリサイクル品の両方をそろえるのが強みだ。

〈東洋紡せんい/特殊紡績、改質に強み/合同展示会などに積極参加〉

 東洋紡せんいのマテリアル事業部は、東洋紡独自の特殊紡績技術や得意の改質原料を生かした原糸販売に力を入れる。そのために合同展などへ積極的に出展し、新規取引の開拓に取り組む。

 同事業部は原糸販売のほかインナー向け生地販売などを担う。2026年度上半期(4~9月)は、中東情勢の悪化などで事業環境は一段と厳しさを増したが、原糸販売がリードし、業績は比較的堅調に推移している。主力取引先の商況が堅調なことが要因と考えられる。

 また、テキスタイル輸出に取り組む産地企業への糸販売も拡大した。東洋紡のノウハウを生かした特殊紡績糸や改質原料による糸、オーガニック綿糸、長短複合紡績糸などが好調だ。

 このため下半期も原糸の販売に力を入れる。そのために担当人員も増やすことを検討している。また、「サステナブルファッションEXPO」「北陸ヤーンフェア」「和歌山ヤーンフェア」「ジャパン・ヤーン・フェア」など合同展に積極的に出展するほか、社内のスポーツ素材展へも参加する。27年度にはマテリアル事業部として展示会を実施することも検討している。

 特殊紡績糸や、新方式の開繊技術によるリサイクル綿糸「さいくるこっと」、長短複合紡績糸「マナード」、マナードの技術を応用した高級原料使いの長短複合紡績糸シリーズ「ネイチャーブリッジマナード」など独自性の強い糸を前面に打ち出すことで、新規取引の開拓を目指す。

〈モリリン/韓国の独資紡糸工場を活用/再生原料の差別化で開拓狙う〉

 モリリンは韓国のポリエステル原着糸製造工場「モリリンファイバーコリア」(MFK)の独自のモノ作りを生かす。5千色のレサイプを持つ原着ポリエステル長繊維糸「モコフィーロ」や、日本国内で回収したペットボトル由来原料を使った再生ポリエステル原着糸を生産する。

 MFKはモリリンが単独で出資し、2019年10月に韓国・忠清南道唐津市に設立した。年間生産量は1200トンで、良質な原着糸工場として韓国内での認知度が高まっている。モコフィーロをはじめとする原着糸は自動車内装材やインテリア商材の基布、ユニフォーム地など、高い色再現性が求められる商材に適する。染色工程を経ないため、環境配慮型素材としても打ち出しを強める。

 日本国内で回収したペットボトル原料の高純度のペレット「ボトリウム」を使った原着糸は韓国製電気自動車の内装材向け基布に採用された。追跡可能性と環境配慮を両立した高品質な原着糸として訴求する。韓国のオフィス・インテリア向けに採用増を狙う。

 ボトリウムは資源回収事業のトムラ・ジャパン(東京都中央区)がペットボトルを回収。資源再生事業のアース・グリーン・マネジメント(長野県飯田市)がペレットにする。ペレットは今期(27年2月期)、原着糸用途のみで300トンを韓国・MFK向けに輸出する見込みだ。

 これらの原着糸はフロンティアグループ(G)が販売する。同Gの山本裕也部長代理はMFKについて「他社が真似できない高品質な原着糸生産工場として強みを生かす」と話す。遮熱や難燃といった機能付与型の独自糸を生産できる拠点に拡張する。

 ペットボトルだけでなく、衣料品の回収による再生原料を使った原着糸の開発も進めるなど、さらなる差別化を図る。