LIVING-BIZ vol.134(1)/特集 リネン資材/ホテル向けに商機/自洗する宿泊施設へ対応
2026年09月16日 (水曜日)
リネン資材は、ホテル向けに商機がある。宿泊施設の高稼働率が追い風になっている。さらに小型のバッチ式洗濯機や乾燥機を導入して自社洗濯(自洗)する宿泊施設が増加傾向にあり、シワになりにくいニット使いリネンなどのニースが高まる。
〈ここ数年堅調に推移/今年はやや停滞感も〉
リネンサプライ企業は、シーツやタオルを宿泊施設に貸し出し、回収・洗濯した上で再納入するビジネスモデルを基本にする。そのリネンサプライ企業へ繊維製品を販売するのがリネン資材企業で、業績は宿泊施設の宿泊者数や稼働率に左右される。
観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2025年の国内延べ宿泊者数は、前年比0・3%増の6億6111万人泊で、客室稼働率も2ポイント増の61・6%と伸びた。それに伴い、リネンサプライ企業の稼働率も上昇。リネンサプライ企業へ繊維製品を販売する資材企業にもプラスに働いた。
長谷虎リネンサービス(岐阜県羽島市)の25年9月期は、宿泊施設向けリネンがけん引して前期比25%増収だった。日本医療産業(大阪市北区)は、ホテルリネン資材の売上高比率が約2割から3割に高まっている。
ただ25年11月以降ホテルリネン向けでは失速感も見られる。高市早苗首相が25年11月7日、台湾有事を巡って「存立危機事態」になり得ると国会で答弁。中国側が日本への渡航自粛を呼び掛けたことで宿泊施設にも影響が広がった。山甚物産(同中央区)の26年2月期のリネン事業の売上高は、前半堅調だったが、後半失速し、前期比横ばいだった。
26年1~7月の延べ宿泊者数は全ての月で前年同月比割れ。客室稼働率もいずれも前年同月を下回っている。中東情勢の緊迫化による重油価格の高騰や、日中関係悪化による訪日客数減少が需要を押し下げ、やや停滞感がある。宿泊施設での「エコ清掃システム」の広がりもマイナスに働く。連泊者のシーツなどの取り換え頻度を減らすシステムだが、リネンサプライが洗濯対応する数量が減っている。
原材料価格の上昇や為替によるコストも上昇する。コスト上昇分の価格転嫁が追い付かず利益を圧迫する傾向も見られる。
一方で明るい材料もある。日本政府観光局によると、7月の訪日外国人客数は344万人で、前年同月比0・1%増となり、7月として過去最高を記録した。韓国、インドネシア、メキシコなど17市場で7月として過去最高を記録し、そのうち台湾は単月過去最高を記録し、初めて70万人を超えた。
〈増える自洗の宿泊施設/存在感増すニット使い〉
ホテルリネン資材で、ニット使いの存在感が増している。アイロン不要やベッドメーキングの容易さを切り口に、小型のバッチ式洗濯機や乾燥機を導入して自洗する宿泊施設などへ浸透しつつある。
ここ数年、既存のリネンサプライ企業の手が回りにくい地域や小規模の宿泊施設で、自洗するための小型洗濯設備の導入が進んでいる。
工業用洗濯機を製造する山本製作所(広島県尾道市)は、6年ほど前から宿泊施設向けが増え始め、現在は年間20軒程度の宿泊施設へバッチ式洗濯機や乾燥機を販売する。北海道や九州地域を中心に需要があるとしている。
導入する宿泊施設では「シワになりにくいリネンを求めるケースが増えている」という。洗いジワを伸ばすアイロナーなどの設置スペースや追加コストが不要になることが理由に挙がる。
宿泊施設の自洗をサポートするニット使いのリネンやバッチ式洗濯機の提案も目立つ。
ホテル向けベッドやふとん、リネンを扱うSENTACT(東京都荒川区)は、今年2月から展開する自洗対応リネン「セルウォッシュ」シリーズを提案する。ポリエステル・綿混でトリコット使いを中心に新商品などを投入。アイロン不要で乾燥時間が短縮できるとアピールした。洗濯機や乾燥機の案内やランニングコストの試算も併せて行う。
伊藤忠商事の社内ベンチャーとして設立し、商社機能を生かしたビジネスを手掛けるリーテイルブランディング(同港区)は、ホテル向け事業でリネンも扱う。「ホテルのリネン内製化を強力サポート」と打ち出し、中国のリネン企業と開発中のポリエステル95%・ポリウレタン5%のニット使いのリネンを訴求。シワになりにくく、しなやかでベッドメーキングしやすいとアピールする。
業務用洗濯機器の販売やメンテナンスを行うビクター商事(名古屋市昭和区)も、バッチ式洗濯機や、ストレッチ性・イージーケア性に優れたニット使いのリネンを提案する。
ポリエステル製ニット使いのリネンは、吸湿性などが課題でグレードの高いホテルほど使いづらいとの声があるが、改良も重ねながら、さらに浸透しそうだ。





