この人に聞く/東レ 上席執行役員不織布・人工皮革事業部門長 赤江 宏一 氏/成長領域に参画する

2026年09月17日 (木曜日)

 東レの不織布・人工皮革事業部門は、半導体や新エネルギー、人工知能(AI)など成長領域に素材で参画することを目指す。そのために他の部門や事業本部とも連携した商品開発や用途開拓に取り組む。部門長である赤江宏一上席執行役員に今後の戦略を聞いた。

  ――2026年度上半期(4~9月)も残りわずかです。

 前年同期比で見ると売上高、利益、販売数量ともにここまで好調に推移しています。人工皮革「ウルトラスエード」は、昨年度こそこれまで販売をリードしていた電気自動車(EV)向けの需要鈍化で低迷しましたが、今期に入って自動車向けの生産を平準化しながら自動車以外の用途への提案も強化するなど、事業の中身を再構築した成果が出ています。商品開発の速度も上がってきました。

 不織布事業は、ポリエステルスパンボンド不織布「アクスター」が建材、土木、フィルター用途で堅調です。昨年度に移管されたエアフィルター事業との連携も進みました。PPS(ポリフェニレンサルファイド)繊維を使った商品もバグフィルターの需要が旺盛です。フッ素繊維の製品も市況は悪くありません。

 トレシー・工業材料事業もデータセンターや半導体関連向けワイパーなどが好調です。

  ――ポリプロピレン(PP)スパンボンド不織布は。

 中東情勢の悪化で原料が高騰したことで値上げも進めましたが、消費者が供給不安を感じたこともあり衛材を中心に最終製品の荷動きは悪くありません。このため中国やインドネシアの子会社は収益の改善が進みました。ただ、韓国が依然として厳しい。ここは衛材以外の用途開拓を進める戦略です。また、インドは為替要因で苦戦しています。

  ――今期から新しい中期経営課題がスタートしました。今後の課題や戦略は。

 やはり伸びている用途、例えば半導体、新エネルギー、AI(人工知能)関連といった成長領域の用途にどれだけ参画できるかが重要になります。中経はその準備の時期と位置付けています。そのためには部門として持っている素材や技術のコラボレーションを進めることが必要です。

 不織布・人工皮革事業部門は取り扱う商材や用途が多岐にわたっているため、どうしても自分が扱っている商材・用途以外まで意識するのが難しい面があります。しかし、成長領域に参画するためには既存の商材・用途を超えた組み合わせが必要になります。そこで部門内での勉強会も始めました。さらにフィルム、樹脂、電子材料など各事業本部との連携も進めたい。

 そのほか、湿式不織布にも力を入れます。滋賀事業場(大津市)に設備も入れ、開発と提案を進めます。定番的な商品をやるつもりはありませんから、アラミド繊維やPPS、フッ素繊維など高機能繊維による湿式不織布に取り組みます。