ベトナムの現在地/付加価値化の流れ鮮明に/地産地消への対応も鍵

2026年09月18日 (金曜日)

 2026年1~6月のアパレル輸入統計で、中国に次ぐ2位となったベトナムは、輸入額が3333億円(前年同期比1・1%増)だった一方、重量は7万3948トン(同1・2%減)となった。数量横ばい・減少、金額増加という傾向は今後さらに強まるとの見方が多い。安価な大ロット品の生産はカンボジアやバングラデシュへ移りつつあり、ベトナムでは高付加価値品へのシフトが進むためだ。同国で事業を展開する日系繊維企業の動きを追った。(吉田武史)

 「中国に続く対日縫製品の生産拠点」というベトナムの立ち位置に今のところ変化はない。ただ、上昇を続ける人件費や、「営業スタッフの採用が困難化」(ヤギ・ベトナム)、「工場スタッフ不足によってキャパシティーの確保に苦戦」(蝶理ベトナム)、「ワーカー確保難が深刻化」(STXベトナム)、「縫製現場を中心に熟練工、若年層の確保競争が厳しさを増している」(MNインターファッションベトナム)など、人手不足がいよいよ顕在化している。

 日系企業からは「糸や生地を含めた総合力で勝負する時代に入った」(伊藤忠グループのプロミネント・ベトナム)といった声が上がるとともに、「独自素材の開発が重要になる」(帝人フロンティアベトナム、クラボウ・ベトナム、シキボウ・ベトナムなど)と開発意欲がここにきて加速している。加えて、欧米など第三国向けや内販の拡大、産業資材分野への進出など「対日縫製品以外」を成長への活路に設定する動きが強まっている。

 環境配慮や納期短縮、コスト低減を目的に地産地消の流れも強まる。ベトナム政府は国産素材使用比率を50%まで引き上げる方針を示しており、地産地消の流れと合致する。日系各社もここに商機を見いだすとともに対応を急いでいる。

 商社からすれば糸・生地をどこで調達するかが課題となるが、「中国系の生地屋のベトナム進出が増えている」(STXベトナム)ことを歓迎する声や、韓国系、台湾系素材メーカーとの協力関係をより強固にする動きが見られる。

 シキボウ・ベトナムの26年1~6月期が前年同期比で売上高が2・5倍、利益が2倍になったのは、ユニチカトレーディングとの統合効果だけでなく、「糸・生地もベトナム国内で」という地産地消の流れを捉えたものだ。島田商事ベトナムも地産地消への対応を近年進めてきており、副資材の国内調達比率は90%に達した。

 付加価値化と地産地消への対応という二つの要素がベトナム事業の成長の鍵を握っていることは間違いなさそうだ。