だからこの仕事が好き’26㉑/泉工業 本社事務所グループ 福永隆辰さん

2026年09月25日 (金曜日)

顧客の声から新しい発想

 ラメ糸製造卸の泉工業(京都府城陽市)に2022年に入社した福永隆辰さん(26)。父である福永均社長の下、製造から営業まで勉強の毎日を送っている。「泉工業という会社を継続し、いずれは誰かにつないでいくことが自分の役目」と話す。同時に、若い感性を生かした取り組みでも大きな役割を担っている。

 大学卒業後、すぐに家業である泉工業に入社した。「学生時代から、いずれ家業を手伝おうとは考えていた」とか。学生時代は、新型コロナウイルス禍の真っただ中で、講義もほとんどがリモートとなるなどフェース・トゥ・フェースのコミュニケーションに飢えていただけに、社会人としていろいろな人と仕事を共にすることの喜びも大きいようだ。

 入社後3年間は製造現場に入り、撚糸工程を担当した。その後、着色工程なども経験し、最近では営業活動にも参加するようになった。その間、有機溶剤を使用する同社にとって必須の危険物取扱者資格などの取得に努めた。現在は繊維製品品質管理士(TES)の取得に取り組んでいる。

 最近では営業や展示会の現場を任されることも増えている。特に印象深かったのが糸展示会「ジャパン・ヤーン・フェア」での経験だ。たまたまブースを訪れた村田機械の担当者に対応した際、村田機械の渦流精紡機「ボルテックス」でラメ糸が作れるのではという話題に。そこから両社による共同開発が始まった。「お客さまの声から新しい発想が生まれるところが、当社のモノ作りの面白いところ」と話す。

 ラメ糸は繊維だけでなく金属原料も使う素材だ。「金属原料を使っていることで、まだまだ新しい用途の可能性があるのでは」「現場がやりたいことをやらせてもらえる社風が当社の強み」と、モノ作りの面白さを改めて感じるようになった。

 若い感性を生かした取り組みもある。同社は早くからSNSや動画共有サービス「ユーチューブ」を活用した情報発信やプロモーションに力を入れてきた。現在、ユーチューブで公開する動画の撮影や編集も担当している。

 今年4月、弟も泉工業に入社した。後輩ができたことで、仕事を教わるだけでなく、少しずつだが教える立場にもなり始めた。営業も担当したことで「自分がとってきた仕事は最後までやりきる」と責任感も強くなっている。”相談できるラメ糸メーカー”として独特の存在感を発揮する同社だが、その個性を受け継ぐことも期待できそうだ。

(毎週金曜日に掲載)