インドネシアの日系企業/輸出・国内販売を強化/繊維産業は環境厳しく

2026年09月25日 (金曜日)

 インドネシアに進出している日系の繊維関連企業は、戦略の転換や事業の再構築を迫られている。同国の経済は底堅さを見せているものの、繊維産業は川上・川中を中心に厳しい状況が続く。日系繊維関連企業は輸出の再強化を図るほか、国内販売に成長の余地を求める動きも出てきた。どの用途、国・地域の需要を取り込むかによって業績の明暗が分かれる可能性がある。(桃井直人)

 インドネシアの経済は堅調で、2026年上半期(1~6月)の国内総生産(GDP)成長率は5・45%となった。ただ、「ルピア安や物価上昇、中東情勢の影響で景気にはやや減速感が見られる」(インドネシア東レグループ)という。繊維産業は、中国製縫製品との価格競争や欧米向け衣料品の需要回復の遅れなどで厳しさが増している。

 一方で、脱中国の動きなどを背景に、インドネシアに進出する中国企業も目立ち、紡績・織布・染色などを中心にサプライチェーンの強化が進展している。その半面、競争力を失った既存の紡績工場やニット工場では事業縮小や撤退も見られるなど、企業間の格差は拡大傾向にある。

 豊富な労働力と大きな国内市場を持つ同国は、生産・輸出拠点として存在感を示す。労働力面では「若者の親日感情が強い」と話す日系企業もある。

 日系の繊維関連企業の26年上半期業績は、前年同期を上回った企業もあれば、出荷数量が下回った企業もある。輸出は比較的健闘を見せるものの、中東を主力とする企業は情勢悪化が響いた。国内販売は、安価な輸入品の流入による価格競争の影響を受けた。

 下半期以降は、それぞれの角度から成長への施策が取られるが、輸出に加え、国内販売強化を志向する企業も目立つ。大手インナー企業が生産拠点をインドネシアに移す動きがあり、蝶理インドネシアはその需要を取り込む。

 国内市場では、ハラル認証取得が段階的に義務化され、繊維製品も含まれる可能性があるなど、事業環境の変化にも対応が求められている。トーカイ・テクスプリント・インドネシアは8月にハラル認証を取得した。

 事業基盤の整備も進む。シキボウグループのメルテックスは、閉鎖が決まっているユニチカの在インドネシア紡績工場、ユニテックスから生産設備の移管を進めており、年内に完了する予定。日清紡テキスタイルグループのニカワテキスタイルは、渦流精紡機を増強し、高付加価値品生産へのシフトを加速する。

 東洋紡のインドネシアグループも高付加価値化や高品質化に重点を置く。生地の編み立て・染色加工を手掛ける東洋紡マニュファクチャリング・インドネシアは、保有するピン仮撚り設備を積極活用するとした。東レインドネシアグループからも「高付加価値商品の拡販、品質改善を進める」との声が聞こえる。