TAフロンティア/10月1日付で発足/衣料や産資でシナジー期待

2026年09月25日 (金曜日)

 帝人フロンティアと旭化成アドバンスの統合新会社「TAフロンティア」が、10月1日に発足する。互いの強みを生かし、衣料繊維や産業資材、化学品、建材などの幅広い分野でシナジー発揮が期待される。帝人フロンティアの鎌田進社長と旭化成アドバンスの春見恵司社長に新会社の方向性などを聞いた。

〈繊維産業全体に貢献〉

  ――10月1日にTAフロンティアが発足します。両社の経営統合について改めて。

 鎌田氏(以下、敬称略) 帝人グループ、旭化成グループとして別の道を歩んできました。共に生産会社、加工会社を傘下に持ち、独自の生地を開発するなど、取り組んでいる事業には似た部分があります。ただ、素材背景が違うのでバッティングしません。旭化成グループとはいい関係を築いてきましたので、良い縁だと考えています。

 春見氏(同) 最初、経営統合の話を聞いた時、本当に必要なのかという戸惑いもありました。話が進んでいくにつれ、互いが持っている部分と持っていない部分が合わさることで強い会社になるという思いが大きくなっていきました。どのようなことができるかと考えると、早く10月1日が来てほしいと感じています。

  ――合繊メーカー系を含む、繊維関連商社の現在の立ち位置や役割は。

 鎌田 繊維関連商社は、海外で日本向け製品を作る会社、素材の提供を得意とする会社、その組み合わせがうまい会社、ブランドビジネスに強みを持つ会社など、それぞれの立ち位置が明確になっています。帝人フロンティアもポリエステルを基点とするビジネスを強みとしており、顧客からの信頼も勝ち得ています。

 繊維産業のサプライチェーンは長く複雑です。それをアレンジするという役割を担ってきましたが、出口となる最終製品まで一貫で取り組めるようになっています。さらに合繊メーカー系商社は、素材から手掛けることができます。その強みを生かすことで繊維産業全体に貢献していきたいと考えています。

 春見 当社は、親会社の旭化成と一心同体で事業に取り組んできた部分が大きいです。具体的に言うと、キュプラ繊維「ベンベルグ」、ポリウレタン弾性繊維「ロイカ」などの商材を軸に親会社と一緒に市場・顧客を開拓してきました。これにプラスして北陸産地の加工場との連携によるビジネスも行っています。

 現在は繊維だけでなく、樹脂化学品を含め、親会社との機能の分担も進んできました。従来のように親会社とのタッグで取り組むビジネスと自分たちの力で取り組むビジネスの両輪で進んでいます。新会社は旭化成の出資比率は小さくなりますが、結び付きは固く、他社とは違う強さを発揮できると考えています。

〈互いの良い部分を新会社に〉

  ――10月1日まで数日です。互いの見方は変わってきましたか。

 鎌田 8月初めに行ったキックオフミーティングで概略だけは確認しましたが、個別の事業内容は把握していません。繊維ではナイロンやベンベルグ、不織布を持ち、当社にはない樹脂化学品を展開しているという最初のイメージのままです。当社にはない商材が多く、クロスセルが期待できるのではと考えています。

 春見 鎌田社長と同じく、最初のイメージから変化していません。ホームページの情報を見て、ポリエステルもさまざまな形状の糸を展開していると確認しました。また、インドをはじめ当社が積極的に取り組みたいと考えていた国・地域にも拠点を持っています。どのように活用するか、今から楽しみです。

  ――企業風土・文化の違う会社の融合に不安はないのですか。

 鎌田 企業風土・文化は比較的近いと感じており、社風も似ているのではないでしょうか。帝人フロンティアはこれまでにも合併などを経験しています。それを知る者からすると特別に恐れなければならないことはありません。出資比率などは関係なく、対等の立場でフラットに受け入れたいと思っています。

 商品やビジネスではなく、社員教育などで旭化成アドバンスさんが実施している良い部分も取り入れていきたいと考えています。一つの企業だけに在籍していると、どうしても「ガラパゴス化」していきます。それを避けるためにも新しいもの、良いものは積極的に採用していきたいですね。

 春見 合併・統合については当社も同じです。さまざまな変遷を経て、2015年に旭化成商事と旭化成インターテキスタイルズ、旭化成コマースの3社が統合し、旭化成アドバンスが発足しました。企業文化は若干違う部分もありましたが、融合できています。今回の統合・新会社発足も心配していません。

 帝人フロンティアさんは、会社のシステムや、(デジタル技術で企業を変革する)DXに関する推進方針などが当社よりも進んでいるように感じています。人材も豊富ですので、そうした良い部分は新会社に引き継いでいければと考えています。

〈期待される独自の存在に〉

  ――新会社にも通じると思いますが、帝人フロンティアは量から質への転換を志向しています。

 鎌田 衣料分野はどうしても量を追い掛ける部分がありました。これからもある程度目を向けないといけないかもしれませんが、それよりもわれわれの素材力が生き、それが付加価値になるような商品・サービスに軸足を移していきます。

 それらが質を追うという意味になります。われわれが質を求めることで顧客に認められ、顧客との関係性も深まります。一つ一つの商品やビジネスの実力をもっと高めていきます。そうした考え方や取り組みが結果として利益に結び付いていきます。

 春見 繊維だけでなく、樹脂化学品も同様です。かつてはシーズ先行の部分もありましたが、顧客のニーズに合致した商品であることは不可欠と言えます。顧客に「あの企業と組めば、環境対策を含めて、開発が任せられる」と思ってもらうことが大切です。

 樹脂化学品に関しては、グローバルニッチな商品の充実を図っています。ベースは旭化成の技術を用いつつ、旭化成アドバンスが独自に開発する商品は少なくありません。これは樹脂化学品も繊維関連製品も同じです。その意味では加工場とのパートナーシップは重要になります。

  ――加工場の話が出ましたが、北陸という拠点はやはり重要ですか。

 鎌田 非常に重要です。当社のパートナー企業の中には、旭化成アドバンスの仕事を受けている企業も少なくありません。新会社の発足でパートナー企業との関係性はこれまで以上に深くなる可能性があります。当社と付き合いが少なかった企業とも連携し、海外でも通用する生地を作っていきたいです。

 春見 差別化された商品を作るためには蓄積された技術が必要不可欠ですので、北陸産地はもちろん、山形県や山梨県などの企業もなくてはならないパートナーです。後継者問題などの課題はありますが、新会社は規模が大きくなりますので対応力は上がると思います。

  ――TAフロンティアだからこそできることはありますか。

 鎌田 実際に会社が発足してから見つけていくことになります。繰り返しになりますが、国内産地との取り組みは深くなっていくことでしょう。産地で生産した生地を、帝人フロンティアが持っている拠点を使って国内外に販売していきたいですね。

 春見 規模が大きくなる分、社会的責任も大きくなります。すぐに収益に結び付かないかもしれませんが、資源循環やサステイナビリティーの取り組みは続ける必要があります。当社は、廃プラスチックの一部を熱分解による「油化ケミカルリサイクル」によって樹脂原料へ資源循環する取り組みを行っています。

 鎌田 期待される会社になりたいです。規模ではなく、質を追求する中で独自の存在を目指します。それにはさらに実力をつける必要があります。