特集 アジアの繊維産業(4)/インドネシア/輸出、内販に取り組む日系企業

2026年09月29日 (火曜日)

 インドネシアは、2026年1~6月のGDP成長率が5%を超えるなど、安定した成長を続ける。国内消費や政府支出が経済を支える一方で、物価や為替動向、財政政策の変化など、企業活動に影響する要素も注視される。

 繊維産業は必ずしも順風とは言えず、安価な中国品が国内に流入しているとの声も聞こえる。そうした環境下で、同国に進出する日系の繊維関連企業の方針もさまざまだが、内販は輸出とともに重要な戦略の一つになる。

 日系企業では、生産体制の再整備や構造改革が進む。日清紡テキスタイルグループのニカワテキスタイルで構造改革の成果が出始めているほか、ハラル認証取得の準備を進めている。クラボウグループのクラボウ・マヌンガル・テキスタイル(クマテックス)も工場移転を完遂させ、製造コストの圧縮や品質の安定を図る。

〈メルテックス/体制整備し事業拡大〉

 シキボウのインドネシア法人であるメルテックスは、事業拡大に向けて体制を整えている。生産面では、ユニチカの在インドネシア紡績工場から生産設備の移管を進めており、年内に完了する予定。販売面では、シキボウグループの販売会社との連携で同国国内販売を強化する。

 同社の2026年上半期(1~6月)は、全体の約70%を占める日本向けの糸と生機の生産が落ち込み、前年同期比減収減益となった。中東情勢緊迫化が大きく影響した。インドネシア国内向けは資材を中心に堅調に推移したものの、全体をカバーするには至らなかった。

 下半期以降は巻き返しを図る。閉鎖が決まっているユニチカの在インドネシア紡績工場から設備の移管を進めている。移管は半分程度まで進み、既に複重層糸「パルパー」の生産を始めている。シキボウマーメイドインドネシアとの連携も深化し、同国内向けを強化・拡充する。

 これらの取り組みは、来期からの成果獲得を目指す。

〈蝶理インドネシア/輸出が順調に拡大〉

 蝶理のインドネシア法人である蝶理インドネシアは、繊維と化学品を取り扱う。このうち繊維は輸出が中心で、2026年上半期(1~6月)はルピア安の追い風もあり、好調に推移した。輸出には下半期以降も引き続き力を入れる一方、インドネシア国内販売の拡大にも取り組む。

 上半期の繊維は、ブラックフォーマル系生地の輸出が堅調だったほか、メディカル系ユニフォーム生地の販売が拡大した。生地の輸出・販売は下半期以降も順調な動きを持続すると予想しており、今後はインドネシア国内需要の取り込みが課題となる。

 内販では、バイクや自動車のシートの裏側に使用されるニット資材や衛生材料が中心になっている。両分野とも成長の可能性があるとして、特徴のある商品を打ち出していく。

 インナーにも目を向けている。大手企業がスリランカやベトナムから生産拠点をインドネシアに移す動きがあり、同社の化学品部隊と連携しながらフィルムなどの資材を提案する。

〈TTI/欧米豪などの需要を開〉

 東海染工のインドネシア法人であるトーカイ・テクスプリント・インドネシア(TTI)は、輸出を軸に事業の拡大を図っていく。現在の輸出比率は約40%だが、早い段階で50%に高める方針で、欧米や豪州をはじめとする幅広い国・地域の需要を取り込む。

 同社の2026年上半期(1~6月)は、売上高、最終利益ともに前年同期の実績に届かなかった。現地生地問屋向けの商売が苦戦したことが大きかった。下半期は、輸出を原動力に反転攻勢をかけ、年間では前年比10%の増収を計画している。

 輸出は、米西海岸の生地問屋向けやハワイ向けが順調に拡大している。欧州やマレーシア、スリランカ、豪州、フィジー向けも強化する方針で、インドネシア企業との合同での展示会出展も計画している。日本では今年4月に開催された「東京テキスタイルスコープ」に出展した。

 インドネシア国内向けでは、感度が高く、強いアパレル企業との取り組みを深める。インドネシアでは、国内で流通・販売される各種製品についてハラル認証の取得が段階的に求められている。今年8月にハラル認証を取得しており、インドネシア国内向けで生かしたい考えだ。

〈東洋紡グループ/付加価値・品質を軸に〉

 インドネシアの東洋紡グループは、高付加価値や高品質などを軸に成長を図っていく。同国のグループは、自動車向けエンプラ販売が中心の東洋紡インドネシア(TID)などの3社で構成しており、連携も強化する。2027年度(28年3月期)からの成果獲得に向けて取り組みを進める。

 TIDのほか、生地の編み立て・染色加工を手掛ける東洋紡マニュファクチャリング・インドネシア(TMI)、縫製のシンコウ・トウヨウボウ・ガーメント(STG)でグループを構成する。26年度上半期は、TIDが計画通りに推移し、TMIは7月以降、フル生産となっている。

 下半期は、納期管理の徹底など事業を着実に進め、来期からの施策につなげる。TMIでは、ピン仮撚り設備を保有しており、ピン仮撚り糸を使って生地の付加価値を高めるほか、協力工場と連携しながらハイゲージ化を進める。

 STGは、品質を追求し、安定性を高める。また、TMIの生地の活用も図る。