繊維リサイクルの社会実装/異業種連携が不可欠/〝産官学福〟で意識変革
2026年09月30日 (水曜日)
日本でも繊維リサイクルの社会実装が喫緊の課題となって久しい。繊維産業だけで実現することは難しく、異業種や他産業との連携が不可欠だ。何より社会認識そのものを変革することが求められている。(宇治光洋)
経済産業省は現在、「繊維製品における資源循環ロードマップ」を掲げ、2030年度には20年度比で家庭から廃棄される衣類量の25%削減、繊維to繊維リサイクルで年間5万トン処理の実現を目指している。ただ、現状は繊維to繊維リサイクルで処理される量は年間約2・8万トン程度に過ぎない。あと5年で処理量を倍増させる必要があり、ハードルは低くない。
このため繊維リサイクルの社会実装には、企業の枠を超えた繊維産業全体での取り組みが必要となる。既に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「バイオものづくり革命推進事業」に「繊維to繊維の資源循環構築の実現に向けた研究開発・実証」が採択されており、6者(帝人フロンティア、クラボウ、東レ、日清紡テキスタイル、ニッケ、地球環境産業技術研究機構)が連携して複合品の分離・リサイクル技術の開発などに取り組んでいる。
繊維リサイクルの社会実装に使用済み繊維製品の回収・分別・異物除去などの工程が必要なため製造業といった〝動脈産業〟だけでなく、故繊維産業やリユース産業など〝静脈産業〟との連携も不可欠。この実践に取り組んでいるのが一般社団法人テキスタイルサーキュラーネットワーク(TC―Net)。大津毛織(大阪府泉大津市)、中古衣料品リユース・リサイクル事業のファイバーシーディーエム(堺市)、日本通運、帝人フロンティア、上田安子服飾専門学校、障害者作業施設を運営する社会福祉法人泉大津みなと会(大阪府泉大津市)、協同組合関西ファッション連合、クリーニングのフランス屋本部(同岸和田市)、ディスプレー用品企画・制作のエー・ディー(東京都中央区)が参加する。
TC―Netは東京都葛飾区、埼玉県和光市、東京都三鷹市と連携協定を結び、自治体施設やイベント会場に使用済み繊維製品回収ボックスを設置するなど回収システムの構築を進めている。ファイバーシーディーエムの参加が、こうした取り組みを可能にした。
さらに使用済み繊維製品の異物除去工程に就労継続支援B型事業所も参画する。就労継続支援B型施設は比較的障害の重い利用者が多く、十分な加工料金の仕事を得ることが難しいとされるが、TC―Netの作業を担うことで大きな就労継続支援が可能になった。25年段階で泉大津みなと会の施設利用者の平均工賃は月額3万5908円となり、全国トップレベルの水準となった。
さらに大学や学生団体との連携として日本繊維機械学会繊維リサイクル技術研究会による繊維リサイクル・アップサイクルプロジェクト「エンウィクル」に協力する。エンウィクルに参加する大学やイベント会場で古着の回収を実施し、TC―Netを通じてリユース・リサイクルする。
今月、大阪市内でエンウィクルによるイベント「私たちのSDGs」が開催された。今回5回目で、学生が主体となって繊維アップサイクル製品の紹介や衣料品回収に取り組んだ。こうした活動を通じて、繊維リサイクルに対する若者の意識も確実に変化しつつある。





