中国のエアジェット精紡機/試作から実稼働へ/国産化の動き加速

2026年09月30日 (水曜日)

 【上海支局】中国でエアジェット精紡機の国産化が実稼働段階に入っている。地元メディアによると、福建立華智造科技の「LHF961―120」が18日、新疆ウイグル自治区のトムシュク紡織産業園に導入された。国の政策も追い風となり、国産機の実用化が進む可能性がある。

 中国エアジェット精紡機市場では、村田機械の「VORTEX」(ボルテックス)の存在感が大きい。中国紡織工業聯合会によると、2024年時点で国内のエアジェット精紡機の95%を村田機械製が占めていたとされる。中国市場で長年築いてきた基盤とブランド力は大きい。

 一方、中国メーカーによる国産機の開発も以前から進められてきた。江陰華方新技術科研や陝西華燕などに加え、近年は浙江日発紡機、福建立華智造科技などが製品化を進めている。

 浙江日発紡機の「RFVS10」では、同社が国産化率98%超、紡出速度を毎分500~550メートルとしている。福建立華の「LHF961」は25年に綿からポリエステル、リヨセルなどへ対応素材を広げた。

 福建立華が22日に開いたフォーラムでは、同社の福建工場でLHF961―120が84台稼働し、綿・レーヨン混やポリエステル、レーヨンなど5品種を生産していることが紹介された。同社は、各品種の実稼働速度が毎分530~550メートル、平均生産効率が95・3%としている。

 同社はまた同機について、中核部品の95%以上を国産化したと説明。原料適応性や省エネルギー、設備運用などの改善を進めるほか、AI(人工知能)を活用した管理システムも導入している。

 18日の新疆への導入は、こうした国産機の実用化の進展を示す動きと言えそうだ。これまで中国メーカー製は研究開発や試作の色彩が強かったが、紡績工場への導入が進み、設備としての市場投入が本格化しつつある。

〈中国「十五五」で高度化へ〉

 中国の工業・情報化部など3部門は22日、軽工業と繊維産業を対象とする「軽工紡織産業発展『十五五』計画」を発表した。26~30年を対象とし、自主技術の強化や研究成果の事業化、AI、グリーン化などを重点課題に掲げる。

 同計画では、30年までに一定規模以上企業の売上高を30兆元超とするほか、デジタル生産設備の普及率を63%以上とするなどの目標を設定。繊維分野では、新素材や先進加工技術に加え、高度な紡織設備や基幹部品なども技術開発の対象とする。

 エアジェット精紡機を含む繊維設備の国産化は、「十五五」が掲げる自主技術の強化や研究成果の事業化とも重なる。