不織布新書26秋(2)/東レ/MAL/帝人フロンティア/フロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン

2026年09月30日 (水曜日)

〈東レ/成長領域を狙う/湿式不織布にも積極参入〉

 東レの不織布・人工皮革事業部門は、半導体、新エネルギー、人工知能(AI)など今後の市場拡大が期待できる成長領域に不織布で参入することを狙う。また、高機能繊維を活用した湿式不織布にも積極的に参入する。

 2026年度上半期(4~9月)は不織布と人工皮革ともに好調に推移した。不織布事業はポリエステルスパンボンド不織布(SB)「アクスター」が建材、土木、フィルター用途で堅調。昨年度から移管されたエアフィルター事業との連携も成果が出ている。ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維を使った商品もバグフィルターの需要が旺盛だ。

 構造改革を進めているポリプロピレンSBは中東情勢悪化による原燃料高騰から価格改定を進めたが、衛材分野などでは消費者が供給不安を感じたことで最終製品の荷動きが堅調だった。生産拠点である中国の東麗高新聚化〈南通〉(TPN)と東麗高新聚化〈佛山〉(TPF)は収益改善が進んだ。

 ただ、韓国のトーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア(TAK)は厳しい事業環境が続いており、現在は衛材以外の用途開拓を進めている。インドのトーレ・インダストリーズ〈インディア〉は為替要因で苦戦した。

 今後に関して不織布・人工皮革事業部門長である赤江宏一上席執行役員は「伸びている用途、例えば半導体、新エネルギー、AI関連といった成長領域の用途にどれだけ参画できるかが重要」と指摘する。そのために部門内で素材や用途を超えた開発や提案ができる体制を整備し、さらにフィルム、樹脂、電子材料など各事業本部との連携にも取り組む。

 また、湿式不織布にも積極的に参入する。滋賀事業所(大津市)に設備も導入し、TAKが生産するアラミド繊維「アラウィン」や、PPS繊維、フッ素繊維など高機能繊維を活用した湿式不織布の開発と提案を進める。

〈MAL/産業資材拡大が進展/細繊度MBなどけん引〉

 三井化学と旭化成のスパンボンド不織布(SB)など製造合弁、エム・エーライフマテリアルズ(MAL、東京都中央区)が、産業資材向け不織布の販売を順調に拡大している。

 同社は紙おむつなど衛生材料向けSBが主力だが、同分野の競争が激化する中で、汎用(はんよう)品を中心に構造改革を進めて差別化品にシフト。一方で、産業資材を強化し、その比率を50%へ高める方針を掲げていた。その産業資材拡大戦略が進展する。

 けん引するのは200~500ナノサイズという細繊度メルトブロー不織布(MB)。電子材料フィルター向けに販売を拡大しており「2026年度上半期(4~9月)は当初計画を上回っている」(草野和也社長)。現在は生産余力があるものの、需要動向から「増設も検討する時期が近付いている」と手応えを示す。

 今春には研究開発拠点も旭化成のスパンボンド工場(滋賀県守山市)への統合を行うなど、将来を見据えた構造改革は着実に進める。生産品種の移管も行いながら効率的な生産体制に取り組んでおり「産業資材を拡大できれば良いポートフォリオに転換できる」としている。

 同社の26年度上半期(4~9月)業績は当初計画通り。原材料価格の急騰に対応した価格転嫁も進んだ。下半期は一部で上半期に価格転嫁前の仮需の反動もあるが、通期目標は達成できるとみている。

〈帝人フロンティア/短カット増強着工へ/スパンボンドも加わる〉

 帝人フロンティアの短繊維素材本部は、好調が続くショートカットファイバー(短カットわた)のタイ子会社での生産能力増強に着手する。また、ユニチカのタイ子会社だったタスコから譲受したポリエステルスパンボンド不織布(SB)事業はアジア市場や日本向けで拡大を目指す。

 2026年度上半期(4~9月)は、不織布用ポリエステル短繊維が堅調だった。自動車用途が底堅く推移し、生活資材向けも堅調。短カットわたも膜支持体向けで安定している。北米や中国が主力市場のため、円安も追い風となる。

 短カットわたは需要拡大が続いていることから、生産拠点であるタイ子会社のテイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)に加えてテイジン〈タイランド〉(TJT)でも生産することを決めている。27年末から28年初の設備稼働に向けて工事を着工する。

 縦型不織布の拡販も進める。ドイツの自動車内装材子会社、ジーグラーも縦型不織布の設備を導入しており、自動車シートのワディング材にウレタン代替として提案する。既に欧州の自動車メーカーが採用を決めており、今後は日系自動車メーカーでの採用にも期待がかかる。

 タイでのポリエステルSB事業は既存顧客への供給を進めながら、日本向けも含めて拡大する戦略だ。そのために設備の整備・更新も進める。

 同社は10月1日付で旭化成アドバンスと経営統合し、TAフロンティアとして新たに出発する。旭化成アドバンスの繊維資材事業などとのシナジー発揮も目指す。

〈フロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン/建材、土木を伸ばす/不燃認定取得で提案加速〉

 独・フロイデンベルググループのフロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン(大阪市中央区)は、建材や土木分野での提案を強化している。屋根防水材向けポリエステルニードルパンチ不織布「ドリップストップ」も建材として必要な不燃認定を取得する見通しとなり、提案が加速する。

 2026年度上半期(1~6月)販売は好調に推移した。中東情勢悪化による原燃料費高騰から4~6月に値上げを実施したが、ポリエステルスパンボンド不織布(SB)はカーペット基布向けの需要が底堅い。ルーフィング用途も好調が続いている。防草シート用途も販売が増加している。シューズ部材用途も大手ブランドを中心に採用が拡大した。

 下半期(7~12月)も引き続き建材、土木分野での提案に力を入れる。ドリップストップは建材としての販売に必要な不燃材認定が今9月末までには取得できる見通しとなり、販売が本格化する。さらに27年3月末までには耐火認定も取得する見込みで、構造物内部にも使用できるようになる。

 そのほか、3次元構造体「エンカ」の提案にも力を入れる。屋根材のほか、床の防音材としても提案を進める考えだ。