不織布新書26秋(3)/FANS/倉敷繊維加工/呉羽テック/金井重要工業
2026年09月30日 (水曜日)
〈FANS/車、環境、海外を拡大/自動反毛機で新用途開拓〉
ニッケ子会社のエフアンドエイノンウーブンズ(FANS、大阪市中央区)は、来期(2027年11月期)からのグループ新中期計画で、モビリティー、環境、海外の拡大に取り組み「収益基盤のさらなる強化」(来栖泰社長)を目指す。
モビリティー・海外では同社主力の「ヒメロン」(ケミカルボンド、ニードルパンチ、プレスフェルトの3製法・61品番)で北米販売に力を入れる。グループ企業の呉羽テックから譲受し新設したFANSプレシジョンアメリカによる備蓄販売を生かす。その他中国、ベトナム、タイ、インドネシアの豊富な生産拠点を生かし全方位で拡大する。
環境では24年4月にニッケ傘下となったフィルター製造などを行うカンキョーテクノ(同)との連携を含めて極細フッ素繊維を使用した高性能フィルター「ADMIREX」を強化する。さらに石岡工場(茨城県石岡市)に導入した自動反毛設備(月産300㌧)を活用した新用途開拓にも期待する。その一つが植物着生用「リクロス」で、ホームセンターでの販売も始まった。古着からボタン・ジッパーなど異物を自動で除去し反毛できることから、国内を軌道に乗せた上で、環境対応を重視する欧米アパレルに向けても訴求する。
また、半導体シリコンウエハーの研磨材にも力を入れる。現在は前工程のみだが、中・後工程の開発にも取り組む。
同社はニッケが第3の柱に育成を目指す不織布事業の中核会社。今11月期は売り上げ、利益とも前期並みを確保する見通し。コスト上昇はグループ企業間の連携、生産効率の改善などで補っているという。
〈倉敷繊維加工/フィルター分野底堅い/引き続き価格転嫁が課題〉
クラボウ子会社の倉敷繊維加工(大阪市中央区)は、2026年度(27年3月期)も引き続き主力のフィルター用途で販売拡大を目指す。中東情勢悪化による原燃料高騰で利益が圧迫されていることから、価格転嫁も重要な課題となる。
26年度上半期(4~9月)は、中東情勢による事業環境の悪化などに直面したが、販売面はほぼ計画通りに推移したもようだ。主力のフィルター用途は自動車のキャビンフィルター向け、ビル空調向けともに需要が底堅い。特に複合素材による高機能タイプの採用が拡大している。
このため国内工場の稼働率向上に加え、中国子会社である佛山倉敷繊維加工も黒字を維持している。中国でのキャビンフィルターの販売が堅調に推移した。
ただ、原燃料が高騰したことで利益面は圧迫された。価格転嫁を進めており、取引先からの理解も得ているものの、価格改定の効果が表れるまでのタイムラグが避けられない。
このため下半期(26年10月~27年3月)も引き続きフィルター分野での拡販を進めるとともに、原燃料価格の推移も見極めながら価格転嫁を進めることが重要になる。その上で新規用途の開拓などにも取り組む。
〈呉羽テック/ハイブリッド車向け伸長/貼付剤基布の輸出も強化〉
ニッケ子会社の呉羽テック(滋賀県栗東市)はハイブリッド車のバッテリー冷却システム用フィルターと貼布剤向けに力を入れる。
ハイブリッド車のフィルターは需要に応じ切れない状態。今後の需要増も見込めることから、グループ企業のエフアンドエイノンウーブンズ(大阪市中央区)のベトナム子会社、FANSプレシジョンベトナムで来春から生産を始める。
貼付剤基布は米国など海外需要が増加することから輸出を強化。海外事業課を新設した。貼付剤基布拡大の一環で米国などの輸出に必要なDMF(医薬品マスターファイル)の取得も推進。将来的に海外生産も視野に入れる。
2024年8月にニッケ傘下となって2年が経過。グループの第3次中期計画の最終年度に当たる26年度11月期は、自動車内装材の撤退などもあり減収も増益を見込むが、利益目標は未達の見通し。河瀬工場(現・河瀬事業所、滋賀県彦根市)に加工、検査を集約するも生産性の問題で改善が遅れた。
来期からはグループの新中計がスタートする。前原豊輝社長は「利益水準を今期の2・5倍にしたい」と意気込む。そのけん引車としてはハイブリッド車のフィルター向けと貼付剤基布を位置付ける。また、熱接着スパンボンド不織布「ダイナック」や多機能シート「クレバルカー」も期待。展示会を通じて新用途開拓に取り組む。
〈金井重要工業/研磨ホイールが本格化/50%以上を研磨材向けに〉
短繊維不織布や繊維機器製造の金井重要工業(大阪市北区)は、2026年度上半期(4~9月)、不織布事業が増収増益となったもようだ。不十分ながらも原材料費の上昇分を転嫁できたことが寄与した。販売量も若干ながら前年同期を上回った。
同社は自動車資材、空調資材、研磨材、不織布タワシ向けを主力にケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布を生産する。
上半期は半導体産業の活況を背景に研磨材向けの販売が伸びた。撤退した企業の商圏を一部継承したことも寄与。さらに加工度を高めた研磨ホイールが本格化したことも大きい。研磨材はこれまで不織布原反で供給するだけだったが、加工度を高めてホイール製品として販売するもの。
設計から量産まで一貫生産により、繊維径や研磨粒子・樹脂量などニーズに応じた開発ができる強みを生かし、約8年間事業化に取り組んできたが、昨年後半に本格採用された。
研磨材ホイールはデータセンターのプリント配線基板の製造に使用されるもので「今後の広がりに期待する」と源野佳郎取締役不織布事業部長。将来的には不織布での販売も含めた研磨材比率を不織布事業全体の50~60%に高めたい考えだ。
上半期は増収増益となったものの、下半期は原材料価格の上昇が続いていることから、適正価格への是正に引き続き取り組む。





