不織布新書26秋(7)/レンチング/丸三産業/ユニセル/大島産業

2026年09月30日 (水曜日)

〈レンチング/戦略的に不織布分野強化/特殊用途などで拡大〉

 レンチング(オーストリア)は、戦略的変革の一環として不織布分野の成長に力を入れる。機能紙や吸収型の衛生材料などの用途に積極提案するほか、戦略的パートナーとの連携を深化させる。供給面では、タイ・プラーチーンブリー県の工場を活用し、リヨセル繊維をアジアの顧客に供給する。

 不織布分野の中でも競合他社にはできない特殊な用途の開拓・深耕を図る。その一つが機能紙やろ紙(フィルター)で、繊維長が2~6㍉のショートカットファイバーを展開する。ショートカットファイバーは、これまで英国の工場で生産していたが、米国のモービル工場への移管を進めている。

 吸収型の衛生材料では、トップシート、拡散層、バックシートの全用途の需要を取り込む。そのほかの生理用品(タンポン)用途も別の柱として積極的に伸ばしていく。また、戦略的に取り組めるパートナーを選定し、新商品の開発などにつなげる方針だ。

 タイ工場では、不織布用繊維(リヨセル繊維)の生産を開始し、順次稼働率を上げる。同工場の生産能力は、年間約10万トン。同工場の本格稼働によって生産リードタイムが短縮され、コストメリットもある。

 展示会にも出展する。12月16~18日に東京都内で開催される「新機能性材料展」のほか、2027年には、4月に中国で開催される「CIDPEX2027」、6月に韓国で開かれるアジア不織布産業総合展「ANEX2027」にも出展する。

 展示会では、リヨセル繊維を訴求するほか、リヨセル繊維などを使った不織布製品のブランド「ヴェオセル」も紹介する。

〈丸三産業/機能性製品の開発強化/綿加工原料、SLと〉

 丸三産業(愛媛県大洲市)は機能性コットン加工原料や機能性不織布の開発に取り組む。同社は晒し綿などコットン加工原料、綿100%スパンレース不織布(SL)、不織布製品などを製造販売する。

 綿花調達量は国内最大級で、晒し綿はSLメーカーに供給するとともに、自社に4系列を保有しSLも製造販売する。

 主に綿100%によりメディカル・化粧雑貨などに各種製品を販売するが、綿100%だけでは限界があるとして、開発担当と営業担当が連携しながら、さまざまな開発を進める。

 その一つがコットン加工原料。海外企業との競合も増える中で、精練・その他加工も含めてさまざまな用途に対応できる加工原料の試作に着手している。

 また、樹脂補強用にコットンによるショートカットファイバーの開発も進めている。

 一方、SLは主力の綿100%に加えて、各種化合繊を活用し「付加価値を高めた製品を数社との取り組みで進めている」(渡邊秀幸取締役営業本部長)と言う。

 輸出拡大にも取り組む。その一環で、5月19~22日、スイス・ジュネーブで開催された欧州不織布展「INDEX2026」に初出展した。

 なお、原燃料費が高騰しているため、7月1日出荷分から全製品を現行比5~20%値上げしている。

〈ユニセル/海外での拡販目指す/特性生きる用途で伸ばす〉

 帝人フロンティアグループで独自の合繊長繊維不織布を製造するユニセル(山口県岩国市)は、海外市場の開拓に取り組む。独自素材の特性や利点を生かした提案で需要の掘り起こしを進める考えだ。

 同社が生産する合繊長繊維不織布「ユニセル」「メルフィット」などは、積層延展法、バーストファイバー法、トウ開繊法という三つの製法を組み合わせて製造する。優れたヒートシール性や高い印刷性、良好な成形追随性、吸油性が特徴。主力用途である包材は国内外ともに販売が堅調だ。また、自動車関連では成形追随性の高さを生かし、ボンネット裏の吸音材の表皮として採用されている。建材でも耐火マットの表皮として使われており、油吸着材「オルソーブ」も実績が豊富だ。

 2026年度上半期(4~9月)は包材でインド向けが拡大した。燻蒸剤の包材として採用が進んだ。欧米市場はメディカル用途が堅調。一方、自動車用途や建材用途は減産や商品リニューアルなどの影響で勢いがない。

 今後に関して馬場健二社長は「国内市場だけでは需要に限界がある。海外市場の開拓に力を入れる」と話す。インドに続いて東南アジアや韓国・台湾などへの提案を強化する。包材として高速充填(じゅうてん)に対応できる点や優れた成形追随性などユニセルの利点を理解する需要家との取り組みに力を入れる。

 また、紡糸が難しいポリマーや混合ポリマーをシート化できるバーストファイバー法の特性をリサイクル技術に応用する研究開発にも取り組む。

〈大島産業/再生原料の多様化検討/NPでは新用途開発も〉

 大島産業(福井市)は、再生ポリエステル短繊維(再生わた)の原料について、ペットボトルは入札価格の変動が影響することから、将来を見据えて各種原料を活用した技術開発を進めている。

 同社は3系列・年間3200トンの再生わたの規模を持ち、白わた・黒原着と一部グレー原着を生産する。自動車資材向けを主力に衣料用の特殊わた、さらに自社のニードルパンチ不織布(NP)の原料にも活用する。

 2027年度第1四半期(5~7月)の販売は順調に推移したが、8月は低調だった。9月以降は回復基調にあるが、主要原料となるペットボトル入札の競合先が増えており、調達も厳しくなっている。このため「ペットボトルに偏重しすぎないように、原料の多様化の研究」(小柳義樹社長)を進めており、本格化の際は新設備導入する。

 一方、NPは3系列で年間2200トンの生産規模。自社の再生わたを原料に使用するだけでなく、機業場から出る糸くずも活用。北陸産地に拠点を持つ同社ならではの取り組みで、長繊維を再利用するため、NPの強度が高い。ただし、昨今は細繊度化が進んでおり、再利用する上で生産効率が低下しているという。

 主力の廃棄物処分場の遮水シートは回復基調にあるが、新用途開拓も視野に入れる。災害時の避難所の遮蔽・防音材もその一つで、開発に取り組んでいる。