参加企業31社に増加/台湾の「TEPP」プロジェクト/デザイナー6ブランドと協業
2026年10月02日 (金曜日)
台湾の繊維産業連合会、紡拓会が展開する「紡織品整合行銷與商機開発計画」(TEPP)が、2026年度から新たな3カ年計画(26~28年度)に入った。台湾素材の海外市場開拓を目的とする事業で、初年度は台湾素材の機能性や技術を生かし、地元デザイナーが作品を制作するとともに、海外ブランドの招聘(しょうへい)を強化する。(台北=岩下祐一)
紡拓会は9月21日、台北市内の台北漢来大飯店でTEPPの発表会を開き、26年度の取り組みを紹介した。その一環として、地場デザイナーズブランド6社と台湾の素材企業が協業する「RECODE 2050」の12作品を先行披露した。
「RECODE 2050」は25年度に続く企画で、台湾素材企業の技術や機能素材を生かしながら、各デザイナーが自身の持ち味を発揮して作品に仕上げる。6ブランドによる全48作品は6日、台北南港展覧館で開かれる「台北紡織展」(TITAS)で披露する。
26年度のテーマは「FUNCTION IN FABRIC」(ファンクション・イン・ファブリック)。台湾素材の機能性や風合い、技術を幅広く取り上げる。
6ブランドは、それぞれの個性を打ち出す。「UUIN」は新竹市のガラス産業から着想し、ガラスの流動感や光の屈折を服の表現に取り込んだ。「ALLENKO3」(アレンコスリー)は、都市生活における人のリズムを表現。「oqLiq」(オクリック)は、機能性と環境への配慮をデザインに取り入れる。
「PCES」(ピーシーズ)は素材のリサイクルに焦点を当てる。「Seivson」(セイヴソン)は「BOUDOIR」(ブドワール)を着想源に、女性の服と体、自我表現の関係を改めて捉える。「Yentity」(イェンティティ)は、機能とファッションの双方を追求する。
〈海外ブランド60社招聘〉
海外市場の開拓では、台湾への海外ブランド・バイヤーの招聘を拡大する。26年度の目標は60ブランド以上。欧米からアジア太平洋地域まで、幅広く招く。
従来の海外市場の開拓は、台湾企業を海外展示会などに送り出す取り組みが中心だったが、TEPPでは海外バイヤーを台湾に招聘し、素材企業との商談や工場、ショールーム訪問につなげる。
対象企業は、参加企業31社からバイヤー自身が選べるほか、バイヤーの希望に応じてTEPP側が別の台湾企業を推薦するケースもある。
市場開拓では、台湾が強みを持つスポーツ・アウトドア分野だけでなく、ワークウエアや医療用ユニフォームなど、高い機能性や素材特性が求められる分野にも対象を広げる。スポーツ・アウトドアでも世界的な競争が激しく、価格競争では台湾製はコスト面で不利になりやすいため、機能性や素材の特徴を生かした高付加価値分野の開拓を進める。
さらに糸、編み立て・織り、染色加工、縫製と工程が分かれる産業構造を踏まえ、企業単独ではなくサプライチェーンを一つの「チーム」として見せる取り組みも進める。受注を取った企業が川上・川下の協力企業に生産を振り分けたり、商談に協力企業を同席させたりすることで、企業間連携による提案力を高める。
日本市場では、「台湾のスポーツ・アウトドア向け機能素材や環境配慮素材への関心が高まっている」と楊暁琴副秘書長はみる。
一方、台湾の生産コストや、染色・加工企業の減少に伴う納期の長期化が課題となる。価格競争ではなく、特徴のある素材を打ち出すことが重要になる。
〈AI活用も強化〉
デジタルマーケティングにも力を入れる。参加企業31社に台湾のスタートアップ(新興企業)が開発した人工知能(AI)プラットフォームの利用権利を提供。従来のDMやPPTなどの素材資料を短時間で動画化でき、人物やナレーション、音楽なども選択できるという。台湾企業の海外向けプロモーションを効率化する狙いだ。
また、台湾の繊維・アパレル産業が国際市場で直面する課題や機会、その対応策をまとめた調査報告書も作成する。台湾の川上から川下までの企業や海外ブランド、バイヤーへの聞き取りを行い、11月下旬をめどにTEPPのウェブサイトで無料公開する。
〈代表インタビュー/紡拓会 副秘書長 楊 暁琴 氏/「オール台湾」で海外開拓を〉
――TEPPではバイヤー招聘を具体的にどう進めますか。
台北紡織展(TITAS)の商談会では、会場に商談スペースを設け、バイヤーと台湾企業の面談時間をあらかじめ20分程度に設定し、効率よく多くの企業と接触してもらいます。一方、TEPPでは参加企業の情報をバイヤーに提供し、関心のある企業をバイヤー自身に選んでもらいます。バイヤーを台湾に招き、滞在中はわれわれの職員が同行して工場やショールームも訪問してもらいます。1社当たり1~1時間半程度かけることもあり、TITASより深い商談につなげるのが狙いです。
――商談から受注につながった例は。
すぐ受注に結び付くわけではありません。ブランドによってはサプライヤー認証などが必要で、時間がかかります。ただ、昨年度の商談から実際に協業に至ったケースもあります。ある参加企業は、インドネシアの大手縫製工場と商談し、その工場が同社の生地を採用、小ロットで発注しました。将来的には、その工場が手掛ける海外ブランド向け製品への採用拡大も見込んでいます。
――企業間の連携を重視する理由は。
台湾の繊維産業も、糸から生地、染色・加工、縫製まで長いサプライチェーンで構成され、大手企業でも全工程を自社だけで完結するのは難しい。協力企業に生産を分担してもらう分業制です。糸に強い企業と生地に強い企業が組めば、単独では提案できない商品をバイヤーに提案できる。こうした連携で「1+1<2」の効果を生み出します。
――日本市場の開拓の現状について。
日本企業との商売では以前、エージェントが入ることが一般的でしたが、近年は日本の商社やブランドが直接、台湾メーカーと商談したいという意向を強めています。商売を増やすチャンスと捉えています。台湾メーカーは欧米ブランドと良好な関係を築いており、これを生かし、日本の商社、台湾メーカー、欧米ブランドの三者間で新たな協業モデルを構築する可能性も探っていきたいです。





