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値上げの意向明確に/大手学生服メーカー/原料高が採算圧迫

2026年10月06日 (火曜日)

 学生服を巡り、保護者の負担軽減とメーカーのコスト増という相反する課題が浮上している。文部科学省が保護者の経済的負担の軽減を求める一方、原燃料や物流、人件費の上昇がメーカーの採算を圧迫する。メーカーが今後の値上げの意向を明確にする中で、業界全体の課題として多角的な対応策が求められそうだ。(光元 徹)

 文科省は、2018年の「学校における通学用服等の学用品等の適正な取扱いについて」の通知や、23年の同名の事務連絡といった通知で、保護者の経済的負担が過重なものとならないよう留意を求めている。

 25年には、物価高を踏まえ、「学校における補助教材及び学用品等に係る保護者等の負担軽減について」を通知した。制服に関わる箇所では、コンペ(公募)や生地見直しによる価格の引き下げ、レンタル制度の導入などを事例に挙げた。

 文部科学省は「物価高を踏まえ」として学生服の値下げ圧力を強めるが、物価高の影響が直撃しているのは学生服業界も例外ではない。新型コロナウイルス禍以降、世界的な供給網の混乱やロシアのウクライナ侵攻などによる原燃料価格の上昇に円安が重なり、仕入れコストが上昇した。

 さらに物流費や人件費など国内コストの上昇も加わり、学生服メーカーは26年度にようやくコロナ禍後の物価高を踏まえた価格転嫁の交渉にめどがついた状況だ。

 そこへ、2月28日以降のホルムズ海峡の事実上の封鎖をはじめとした中東情勢の緊迫化を背景に原油価格が上昇し、合成繊維や服飾資材などの価格が再び高騰した。学生服業界では、生産から販売までに時間を要することから、一定期間は仕入れ価格を維持する慣行があったものの、現在の値上げ打診は「『来月から』といった値上げも少なくない」という。

 急激な仕入れコストの上昇は、学生服メーカーの採算を圧迫している。このほど発表されたトンボの26年6月期業績(連結)は、製造原価の上昇が利益を圧迫し、営業・経常減益だった。間もなく発表される菅公学生服の26年7月期も「減益の見込み」。明石スクールユニフォームカンパニーも26年12月期上半期(1~6月)を「コスト面で厳しさがあった」とする。

 これを受けて、大手学生服メーカーは今後の値上げの意向を明確にした。学校にもよるが3年前後で価格改定されることは近年ではまれで、早ければ27年度、遅くとも28年度からの値上げが見込まれる。

 文科省が学生服を含む学用品の保護者負担軽減を促す一方、学生服の価格設定には特有の事情がある。入学者数や注文数が確定した後、入学式までの限られた期間に最終的な生産・納品を行う必要があり、需要期に生産や物流が集中する。サイズや学校ごとの仕様も多く、欠品を避けるための在庫確保や繁忙期の人員確保など、一般衣料とは異なるコストが発生する。

 生産性の向上や素材の集約には既に各メーカーが取り組んでおり、大幅な値下げ効果を見込むことは難しい。福岡市などで始まったブレザーの市町村統一規格の適応範囲の拡大を検討するほか、文科省が事例として挙げるレンタル制度など、多角的な視点から価格負担を抑える対応策が求められそうだ。