この人に聞く/東レ ファイバー・産業資材事業部門長 浅田 康治 氏/繊維事業の骨格作る

2026年10月06日 (火曜日)

 東レのファイバー・産業資材事業部門は、世界に向けて独自性のある原糸・原綿の打ち出しを強めている。浅田康治ファイバー・産業資材事業部門長に戦略を聞いた。

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  ――2026年度上半期(4~9月)を振り返ると。

 比較的堅調に推移したのではないでしょうか。中東情勢悪化による原燃料価格高騰など想定外の問題もありましたが、需要家に理解を求めながら値上げを進めたことや、供給不安から需要家も比較的積極的に調達に動いたことなどが背景にあります。

  ――ファイバー・産業資材事業部門の課題は。

 東レのファイバーに対する市場の期待は大きいのですが、世界に向けてブランド発信が十分でないという課題があります。実際には歴史や伝統のある原糸・原綿ブランドを持ちながら商品の特性上、市場でブランドがあまり意識されないのです。

 そこで現在、長繊維事業や短繊維事業を中心に海外展示会にも出展するなどして、高付加価値型の原糸・原綿を世界に発信する取り組みを強めています。展示会では原糸・原綿ではなく生地サンプルも用意する必要がありますから、サンプル製作を通じて織り・編みや染色加工といった工程に関する知見を蓄積できるというメリットもあります。

 ブランディングのためには商標の整理や国際化対応も進めなければなりません。そこで若手を中心としたマーケティング&プロモーションチームを作り、取り組みを進めています。

  ――具体的な戦略は。

 単独の生産拠点だけでなく、拠点連携による〝系列〟で戦うことが必要でしょう。例えば高吸放湿ナイロン長繊維「キュープ」の人気が高まっていますが、愛知工場(名古屋市西区)と石川工場(石川県能美市)に加えて、中国やタイの拠点でも生産できるようにしました。透け防止・遮熱機能糸「ギガダル」も中国とタイで生産できます。

 こうすることによって高付加価値糸・わたの海外需要に対して最適な場所での生産と供給が可能になります。〝外で作り、外で売る〟ことの重要性がますます高まっています。

 機能だけでなく感性も重要ですから、独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」を活用した高感度・高品位素材の開発も進めます。今年発表した新感覚ポリエステル長繊維「オーリスト」は、その一つです。

  ――産業資材については。

 衣料繊維は30年ほど前から海外シフトが進みました。今後は産業資材で同様の動きが起こります。需要家の現地調達ニーズに対してASEAN関係会社で対応する必要があります。ASEAN地域で求められる高付加価値品のニーズを取り込み、高次加工品を供給するコンバーティング機能も重要になります。こうした機能を発揮することで欧州市場の開拓も期待できます。

  ――部門として目指す姿は。

 ファイバー・産業資材事業は、東レの繊維事業の骨格を作る部門だと自負しています。グローバルファイバーメーカーとして、世界から尊敬されるメーカーにならなければいけない。それが目標です。