ごえんぼう

2026年10月15日 (木曜日)

 10月になれば衣替え――そんな常識も、近頃は少々頼りない。朝は肌寒く、昼には汗ばむ。秋物を出した翌日に、また半袖へ逆戻りする▼季節の方が暦を持て余しているらしい。衣料品の値上がりも気になる。原材料費、物流費、人件費など値札が高くなる理由は、ずいぶんと雄弁である。こちらは黙って財布を開くしかない。昔なら「今年の秋は何を着よう」と胸を弾ませたものだ▼今では「今年の秋服はいくらだろう」と、まず値札を見る。おしゃれを楽しむ前に、家計との相談が必要になった。しかも天候は気まぐれである。高い秋物を買った途端、夏が戻ってくるかもしれない▼季節まで節約を迫ってくる。それでも、秋は秋である。手持ちの服を重ね、工夫して着る。トレンドよりも長く着られる1着を選ぶ。季節に振り回されず、値札にも負けない令和のファッション術。そんな衣替えなら少しばかり粋ではないか。