台北紡織展を終えて(後)
2026年10月16日 (金曜日)
T2Tで中国攻勢に対応
――今回の「台北紡織展」(TITAS)では、中国の過剰生産を警戒する声も聞いた。
中国では「第15次5カ年計画」(2026~30年)に向け、国家発展改革委員会などが過剰生産能力の削減を求めている。いわゆる“反内巻”の動きだ。政府の補助金や輸出時の増値税還付を背景に、企業は低い利益率でも生産と輸出を続け、国際市場での価格競争の一因となっている。今後2年程度で状況がどう変わるかが重要だが、補助金が続く限り、競争環境が短期間で大きく変わるとは限らない。
――価格競争にどう対抗するか。
欧米の第三者認証を取得したリサイクル素材や、トレーサビリティーを備えた循環型素材で付加価値を高める。ナイロンでは廃棄漁網を原料にする取り組みも進む。繊維to繊維(T2T)は環境対応にとどまらず、中国の安価な素材に対抗する競争戦略でもある。
――台湾メーカーのT2Tの現状は。
25年の世界の再生ポリエステル生産量は約970万㌧で、原料の97%を使用済みプラスチックボトルが占めた。一方、全繊維の生産量に占めるT2T再生繊維の割合は0・76%にとどまる。
欧州ブランドは30年に向け、T2Tの拡大を進めている。欧州委員会によると、衣類に使われた素材のうち、新たな衣類にリサイクルされるのは1%だ。欧州がボトル由来の再生素材を一律に禁止するわけではないが、「ボトルから衣類」ではなく、「衣類から衣類」への循環を重視する動きが強まっている。
スポーツブランドが先行する。「アディダス」は30年までに、製品に使用するポリエステルの10%を繊維廃棄物由来にする目標を掲げ、T2T再生ポリエステルを使った最初の商品を26年に投入する計画だ。台湾の大手繊維メーカーも対応を進めている。
衣類廃棄物の越境移動では、対象物の分類や輸出入先の法制度によって許認可などが必要となる場合がある。台湾企業は関連法規への対応に加え、第三者認証などを活用し、ブランドが求めるトレーサビリティーの確保を進めている。ポリエステルでは工場廃棄物、ナイロンでは廃棄漁網のケミカルリサイクルを急ぐ。
――台湾企業と日本企業の連携は。
ベトナムはCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の加盟国で、原産地規則などを満たす繊維製品は日本向け輸出で関税優遇を受けられる。新光合成繊維(シンコン)や福懋(フォルモサ・タフタ)など大手各社が、ベトナムで設備を稼働させている。
インドネシアでは力麗(リーリー)が生産拠点を展開し、日本市場向けの事業にも取り組む。
制服のリサイクルでも動きが出ている。力麗は日本の金融機関と協力し、従業員の制服を回収し、台湾で繊維に再生するT2Tの循環モデルを進める。
――韓国市場の開拓にも力を入れている。
韓国は人口約5千万人、1人当たりGDPが3万2千㌦を超える大きな市場で、アパレル製品の輸入大国だ。「ザ・ノース・フェイス」のライセンスを持つヤングワン・コーポレーショングループ、K2コリア、ブラックヤクなど、有力なアウトドア・スポーツブランドとの連携を深めている。
(おわり)





