生地商社の直近業績/厳しい中、奮闘が大勢/効率化や集約化の方向性
2026年10月16日 (金曜日)
生地商社の直近業績は、過去最高売上高を2期連続で更新した宇仁繊維(大阪市中央区)を筆頭に好調な例が多い。長引く国内アパレル市況の低迷、欧州や中国の景況悪化、商習慣の変化などにより基本的には厳しい事業環境が続いているが、それぞれの理由、戦略で業績拡大につなげている。(吉田武史)
宇仁繊維は2026年8月期で、単体売上高が前期比3・3%増の83億円となり、2期連続で創業以来の過去最高を更新した。引っ張ったのは30%増の輸出だ。一方、国内向け生地販売は全体で微減だった。ユニフォーム向けはまだ分母が小さいながらも1・5倍と気を吐いた。
輸出増に寄与したのは、各国・地域で展示会に積極的に出展したこと。「小口から即納できるという当社の体制が、国・地域を選ばず機能している」と好調要因を自己分析する。連結も増収で過去最高を更新した。今期は単体売上高100億円を目指す。
北高(大阪市中央区)の上半期(26年2~7月)は、前年同期比4・4%の増収だった。前年同期が厳しかった反動でもあるが、主要販路であるメンズカジュアル向けや資材向け和柄生地などが堅調だったほか、輸出が6%伸びた。
柴屋(同)の26年2~8月は、前年同期比6%増収だった。輸出は横ばいだったが、国内向けで、小口を丁寧に集めて増収につなげた。通期もこのペースで推移しそうという。通期で増収を達成すれば、25年1月期まで8期連続の増収が、26年1月期のみ小休止し、再び増収に転じることになる。
国内服地最大手、スタイレムの上半期(26年2~7月)は、単体、連結ともに前年同期を上回った。主力の国内向け生地販売は減少基調が続くが、アパレル、雑貨の製品事業で補完する形。「顧客が生地よりも製品での納入を要求する流れが強い」とこの傾向の背景を分析する。
各社で共通するのは利益面の不安定化だ。好調ぶりが際立っていた柴屋が26年1月期で減収赤字を計上したように、利益を出す難度が高まっている。半期や期末の在庫見切り損をどれだけ計上するかで備蓄系生地商社の利益は大きく変わる。加えて、今年は中東問題やインフレ経済などでコスト増の傾向が強まる一方。
ヤギ、瀧定、サンウェル(大阪市中央区)の3社が、各社が運営するテキスタイルの電子商取引(EC)について、在庫情報を共有し、各社のサイトから自由に商品を購入できるシステムの提供を始めた。このような同業間の協業によって効率化を図り、利益を確保していこうという流れは今後も強まりそうだ。





