日系生地商社――中国内販10年、その軌跡と次の商機(上)
2026年10月19日 (月曜日)
市場拡大を機に内販本腰
2010年代半ば、中国ファッション市場の成長を背景に、日系生地商社各社は地場ブランドの開拓に本腰を入れた。縫製拠点の東南アジアシフトで日本向け事業が伸び悩んだことも、中国内販に注力する要因となった。
当時のメインターゲットは、百貨店を主要販路とする地場ファッションブランドだった。瀧定の現地法人、瀧定紡織品〈上海〉は、日本製婦人服地の販売を伸ばした。15年は前年比増収増益となり、市場別の売上比率は、14年の日本向け75%、内販25%から、15年には日本向け60%、内販40%へと内販の比重が高まった。
スタイレムの現地法人、時代夢商貿〈上海〉(旧瀧定大阪商貿〈上海〉)は、日本製婦人服地の内販がけん引し、中国事業が大幅な増収増益を続けた。16年上半期は、日本製生地の売り上げが前年同期比約7割増えた。既存顧客から新規顧客の紹介が相次ぎ、顧客基盤が広がった。電子商取引(EC)専業ブランドなどの新興ブランドとの取り引きも急速に広がった。
各社が武器としていたのが備蓄品だ。日本製や中国製の生地を現地で在庫し、当時高まり始めた顧客の短納期ニーズに応えた。
サンウェル(大阪市中央区)の現地法人、燦日泉〈上海〉貿易は、17年に内販が伸びた。2年前から取り組む中国市場を意識した企画時期の調整が奏功し、「調整の成果で、企画提案の精度が上がっている」と平岡克之総経理(当時)は手応えを示した。17年の内販における生地の産地別売り上げ構成比は日本製が3割、中国製が7割で、日本製の約半分は備蓄品だった。店頭不振やネット通販の拡大で、地場ブランドは引き付け型の発注に移っていた。
バンセット(旧双日ファッション、同)の現地法人、奔時代〈上海〉(旧双日奔時代〈上海〉)は、中国製生地ブランド「奔時代」(ベンスーダイ)と日本製生地ブランド「VANCET」(バンセット)の双方の備蓄品で内販を拡大。16年の内販売上高は前年比約1割増え、売上比率は内販6割、日本向け4割となった。17年は内販が堅調で、全体でも前年比1割増収、増益となり、比率は内販7割、日本向け3割まで高まった。
もっとも、内販も浮き沈みはあった。市況低迷でアパレルの在庫が膨らむ中、瀧定紡織品〈上海〉は16年1~6月、内販の受注が鈍化した。瀧健太郎総経理(当時)は「在庫過剰が主な要因だ。店頭ではセールが前倒しで行われ、生地の発注も後ろにずれている」と説明。信用リスクの高まりを受け、新規顧客の開拓を抑え、信用力の高い大手企業に販売先を絞る方針に転じた。一方、時代夢商貿〈上海〉は取引先の回収リスクを警戒しながらも、小規模顧客の開拓を続け、顧客開拓と与信管理の両立に力を注いだ。
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中国市場で内販を本格化させて10年。日系生地商社は何をつかみ、どんな課題に直面し、どう商売を変えてきたのか。変化を続ける中国市場で、次の10年をどう切り開くのか。
(上海支局)





