技術の眼/アツギ/Amu/太陽工業など4者/コトセン/カルビオス

2026年10月20日 (火曜日)

 「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウエーブを巻き起こし得る重要な技術にスポットを当て、紹介する。

〈アツギ/“破れやすい”を変える〉

 アツギは、他社との協業・連携によって商品の開発や提案の幅を広げている。タイツのように破れにくさとストッキングの透明感を併せ持つ「スゴスト」がその一つで、東レと共同開発した独自糸を使用している。同商品は、既存販路に加え、ストッキングの着用が必要な業種・職種との連携を通じて新たな販路を開く。

 スゴストは、強度と透明感の両立が特徴で、ふくらはぎ部分の摩擦耐久回数は、ベーシックタイプで2万回以上を達成。27春夏の新商品であるシアータイプも1万回以上となった。アツギの女性従業員20人以上を対象とした着用試験では、75%以上が破れずに30回以上着用できた。

 サブヤーンに使用するナイロンバイコンポーネント構造糸が、強度と透明感の両立を可能にした。東レと共同で開発した独自素材で、性質の異なる2種類のポリマーを貼り合わせて高いストレッチ性とキックバック性を付与し、さらにスゴスト用にカスタマイズした。

〈Amu/廃漁網からユニフォーム〉

 ベンチャー企業のamu(宮城県気仙沼市)は、廃漁網由来のナイロンを利用した「アムカユニフォーム」を立ち上げた。企業のオフィスウエアやイベントTシャツ、ワークウエア分野に提案する。既に複数事業者への導入が決定している。

 同社は、国内で回収した漁網を再生した糸を49%、再生ナイロン糸を51%使用した生地「アムカファブリック」を展開し、新ユニフォームブランドにはポケットの部分の生地に採用する。

 ボディーは綿やオーガニックコットン、ポリエステルなど用途や活用シーンに応じて選べる。

 特徴の一つは、廃漁網の回収からリサイクル、素材化、製品化までを自社で管理することで、どの地域の漁具がどのように生まれ変わったのかについて開示できることにある。全ての商品にamucaタグ・QRコードタグを付与しており、漁網の種類や回収地域を知ることができる。

〈グンゼ/軽失禁の悩みに新提案〉

 グンゼは花王のサニタリー事業部との共同プロジェクトとして、男性用軽失禁ケアの新ブランド「スマシー」を立ち上げ、ボクサーパンツ「スマシーボクサーパンツ」を発売した。

 同製品は、同日に発売された花王の「スマシー吸水シート」を内側の専用ポケットに装着して使用する「シートインポケット」構造の採用が特徴。フロント部は3層構造とし、快適さを維持しながら外側への染み出しも防止するほか、縫い目のごわつきを排除したカットオフ生地を採用することで、着用感を高め、見た目にも響きにくくしている。

 幅広い観点から調査を進め、軽度の尿失禁に悩みながら「専用品を使うのは抵抗がある」と対策を諦めていた男性の心理に向き合い、共同開発したとしている。

 一般的なボクサーパンツと変わらない見た目とはき心地を保ちながら、軽度の尿失禁への新たなセルフケア習慣を提案する。

〈太陽工業など4者/救助までの生存性向上〉

 テント・膜構造物大手の太陽工業(大阪市淀川区)はこのほど、高橋浩二氏、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所、ホライゾン(東京都中央区)と共同で津波・水害用ライフジャケット一体型ドライスーツ「タスカル」を開発した。津波や水害に巻き込まれた際に水面上に浮遊することで救助到着までの生存性が向上する。

 タスカルは、透湿防水生地によるドライスーツと救命胴衣を組み合わせたもの。頭部非沈下性能、溺死防止性能を持つ形状で、水の侵入を防ぎ、長期間漂流時の体温低下や低体温症を予防する。素早く着用し、走って避難できる機動性のある素材・形状や、漂流時に視認性の高いカラーも採用した。

 開発に当たっては港湾空港技術研究所が津波・水害時に想定される水流や浸水条件に関する技術的助言と水理模型による再現実験を担当した。製品デザインはホライゾンが担当し、太陽工業が製造、品質管理、販売、製品保証などを担う。高橋浩二氏は被災地域の特定や救命機能の研究を担当した。

〈コトセン/廃棄試験布を糸に再生〉

 デニム整理加工のコトセン(岡山県倉敷市)は、従来廃棄していた試験後の生地を糸に再生し、その糸で織ったオリジナル生地を販売する。

 糸にする工程ではクラボウと協業し、裁断片などを独自の開繊・反毛技術で再資源化する「ループラス」を活用。生地はデニム・先染め織物製造の山足織物(同井原市)で織る。岡山県織物染色工業協同組合による安心・安全な染色加工のブランド「倉敷染」採用の生地として提案していく。

 デニムの整理加工において、生地の品質を保つために検査、試験を行い、データを取った後の生地は不要となる。従来は廃棄していた年間約5トンの試験布を有効活用する。

 ループラスを活用し、このほど40~50反相当の糸を作った。オーダーを得てから生地を作る受注生産のような形式をとる。衣類向けだけでなく、かばんや資材向けなど、5品番の生地を用意する予定だ。

〈カルビオス/繊維to繊維を工業実証〉

 フランスのバイオリサイクル技術企業、カルビオスはこのほど、繊維・複合プラスチック廃棄物を原料とする再生ポリエステルを使い、Tシャツを欧州の工業生産ラインで製造することに成功したと発表した。パタゴニア、プーマ、サロモンなどが参加する「ファイバー・トゥ・ファイバー・コンソーシアム」と3年間にわたり共同開発した。

 カルビオスの酵素リサイクル技術で、綿やポリウレタンを含む混紡繊維や、染料、仕上げ剤などが付着した廃棄物からPETの原料となるモノマーを回収した。ポルトガルのセレニスが再重合し、1トン以上の再生PET「エンジテックス」を生産した。

 再生PETはスペインのアンテックスで糸に加工。フランスのヘニテックスでインターロック生地に編み立て、ニット染色加工企業のTADで染色した後、シャマテックス・グループ傘下のトップテックスキューブでリサイクルポリエステルTシャツに縫製した。全工程を既存設備による標準的な工業条件で実施した。