合繊/再値上げの動き強まる/原油価格は1バレル=100ドル突破
2026年10月22日 (木曜日)
合繊糸・わた・生地が再び値上げされる可能性が出てきた。やや落ち着きを取り戻していた原油価格が、2026年7月以降、再び上昇していることが要因だ。ただ、流通在庫を含めた需給バランスは緩和傾向にあるだけに、値上げに対するハードルは一段と高まっている。このため合繊メーカー各社とも慎重なかじ取りが必要になりそうだ。(宇治光洋)
26年2月28日にイスラエルと米国がイランを攻撃したことで始まったイラン戦争によって原油価格は急騰した。指標となるニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTI原油先物価格はイラン情勢悪化までは1バレル=60ドル前後だったものが3月に入ると急騰し、3月31日には100ドルを突破。その後も5月いっぱいまでは100ドル前後で推移した。
このため合繊各社とも緊急措置的に値上げに動いた。この際は原燃料高騰に加えて供給不安も大きかったことから需要家の多くは安定調達を優先したことで値上げは比較的順調に浸透した経緯がある。その後、原油価格はやや落ち着きを取り戻し、WTI原油先物価格も7月6日には68・55ドルまで下げていた。
ところがその後、原油価格は再び上昇に転じる。イラン戦争の先行きが一段と不透明となり、事態収束への見通しが立ちにくくなっていることが要因と考えられる。WTI原油先物価格は9月10日に102・48ドルと再び100ドルを突破。その後は一時下げたものの、10月19日も98・23ドルと100ドル近辺で推移する。
原油価格の再上昇を受けて、合繊各社とも再値上げを検討し始めた。例えば東レはナイロン長繊維、ポリエステル長繊維、同短繊維、アクリル短繊維などで自助努力だけでは吸収し切れないコストアップに関して適正に価格転嫁するとの考えを明確にしている。こうした考え方はそのほかの合繊メーカーにも共通する。原燃料に加えて、物流費や用役費も軒並み上昇していることが要因だ。
ただ、値上げのハードルはやや高まっている。これまでの値上げでは、供給不安を持った需要家の多くが原材料や商材の確保を優先したことで比較的積極的な調達を進めたケースが多い。このため流通在庫が増加したことで需給バランスは緩和傾向となっている可能性があるからだ。
実際に原油価格が一時的に下げていた7月上旬までは、需要家からの値下げ圧力が高まっていたとの声は多い。特に汎用(はんよう)品に関しては原燃料が高騰する中でも中国を中心に供給過剰状態が続いており、価格引き上げの重しとなる。
原油価格の再上昇によって合繊各社とも引き続き価格改定が重要な課題となったが、ある合繊メーカー幹部は「結局、商品力がなければ値上げは難しい」と指摘する。値上げができる高付加価値品と、難しい汎用品で市況の二極化が一段と進むことになる。このためメーカーによっては汎用品の生産を一段と縮小し、高付加価値品へのシフトを進める動きがさらに加速する可能性も出てきた。各社とも需要家と丁寧なコミュニケーションをとりながら、慎重な事業運営が求められることになる。





