特集スクールユニフォーム(1)/変化する学校生活そのものを支える

2026年10月22日 (木曜日)

 少子化や猛暑、物価高、部活動の地域展開など、学校を取り巻く環境が大きく変化している。学生服業界もこうした変化への対応を迫られ、制服の選択肢拡大やモデルチェンジ(MC)、価格改定が進む一方、スポーツ振興などで学生服メーカーの役割は「制服を供給する」だけにとどまらず、変化する学校生活そのものを支える方向へ広がりつつある。

〈変化する学生服業界〉

 少子化は今後も長期的に進む見通しだ。国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の総人口は2020年の1億2615万人から、70年には8700万人まで減少する。特に学生服業界への影響が大きい子供・若年人口も減少が続く。政府は「こども未来戦略」で、出生数が1990~2000年に約3%、00~10年に約10%、10~20年に約20%減少したと指摘。24年の出生数は約68・6万人と過去最少となった。

 人口減少は学校の小規模化や統廃合を加速させる。文部科学省によると、秋田県五城目町では町内の小学校8校を段階的に統合し、現在は1校に集約。和歌山県新宮市では小学校4校を2校に、大阪府豊中市では3小学校と2中学校を統合して義務教育学校を設置した。学校数が減れば学生服市場も縮小することに加え、小ロット・多品種化への対応も必要になる。

 少子化の影響は部活動にも及ぶ。スポーツ庁と文化庁は、学校単位の活動を地域全体で支える「地域展開」を推進。地方公共団体やスポーツ・文化芸術団体、民間事業者などが地域クラブ活動を担う体制を構築し、31年度までに全ての学校部活動で地域展開の実現を目指す。スクールスポーツ向けユニフォームを供給する学生服業界にも影響が及ぶとみられる。

〈「選べる」学生服増える〉

 暑い夏が常態化する気候変動で、学生服を「選べる」制度が増えてきた。その一つが、暑さに応じてワイシャツとポロシャツを選択できる制度だ。素材特性から通気性が高い編み地を使ったポロシャツやニットシャツがワイシャツの代わりとして採用される事例も増えてきている。

 熊本市では、25年度から市立中学校共通標準服を導入。夏季用として白・紺のポロシャツを選択可能とした。同様の事例は、愛知県新城市や福岡県大野城市などでも広がる。

 暑さ対策として、登下校時にも着用を可能とするほか、郊外活動をする際に安全上の理由から名前が入った体操服を着用するのではなく、ポロシャツを着用できるようにした学校も増えてきた。

〈MCは地方、高校私学中心に〉

 スラックスとスカートを自由に選択可能な、学生服の「選べる」制度を導入した学校も少なくない。性的少数者(LGBTQ)への配慮などを背景に、20年ごろから中学校を中心に性差を感じにくいブレザーへと刷新するMCの一環だ。

 ニッケの調査によると、26年度入学商戦のMC校数は538校となった。デザインや仕様を一部変更するマイナーチェンジを含むと639校だった。過去最多となった23年の748校、その後の24年の735校、25年の722校に次ぐ数字だった。

 27年度のMC校数は確定していないが、ニッケ調べによると370校で大幅に減少する見通しだ。「中学校でのMCは一巡した」との見方が広がっており、今後は高校、特に制服刷新意欲の高い私学を中心にメーカーが働き掛けるとみられる。

 MCが活発だった都市部から地方への移行も見込まれる。

〈価格改定後に第二波〉

 学生服業界にさらなる価格改定の波が訪れようとしている。文部科学省は物価高を踏まえ、学生服を含む学用品の保護者負担軽減を求めているが、物価高の影響が直撃しているのは学生服業界も例外ではない。新型コロナウイルス禍以降、世界的な供給網の混乱やロシアのウクライナ侵攻などによる原燃料価格の上昇に円安が重なり、仕入れコストが上昇した。

 さらに物流費や人件費など国内コストの上昇も加わり、学生服メーカーは26年度にようやくコロナ禍後の物価高を踏まえた価格転嫁の交渉にめどがついた状況だ。

 2月28日以降の中東情勢の緊迫化を背景に、3月にはホルムズ海峡の通航が困難となり、原油価格が上昇した。原油を原料とする合成繊維や服飾資材などにも値上げの動きが出ている。学生服業界では、生産から販売までに時間を要することから、一定期間は仕入れ価格を据え置く慣行があったものの、現在の値上げ打診は「『来月から』といった値上げも少なくない」という。

 これを受け、大手学生服メーカーは今後の値上げの意向を明確にした。3年前後での価格改定は近年ではまれであり、早ければ27年度、遅くとも28年度からの値上げが見込まれる。

〈学校生活そのものを支える〉

 学生服メーカーは、学生服だけではなく、学校生活そのものを支えるために企業が社会貢献の一環として、芸術や文化などを資金・物品・人的支援などで支える「メセナ」を強化している。その中でも学生服業界ではスポーツ振興などを通じて変化する学校生活そのものを支える。

 菅公学生服は、日本中学校体育連盟(中体連)と1965年から深い協力関係にあり、2025年4月には「全国中学校体育大会(全中)」の運営に関する包括連携協定を締結した。運営を担う教職員の負担を軽減し、持続可能な大会運営の実現に貢献する狙いがある。

 トンボは、全国私立高等学校男女バレーボール選手権大会(さくらバレー)を支援する。27年3月開催予定の第32回大会からは特別協賛し、メインパートナーを務める。大会を通じて高校生の競技活動を支援するとともに、学校スポーツとの接点を広げる。

 明石スクールユニフォームカンパニーは、大阪経済大学陸上競技部の男子棒高跳び、原口篤志選手とスポンサー契約を結んだ。機能ウエアを提供し、競技活動を支える。同社が選手個人を支援するのは初めてで、同大学にとっても競技者個人への企業支援は初のケースとなる。