特集スクールユニフォーム(4)/探訪 学生服の現場から/千葉日本大学第一高等学校/セレクトショップの感性光る
2026年10月22日 (木曜日)
千葉日本大学第一高等学校(千葉県船橋市)は、日大付属校として幅広い進路選択と、充実した施設を誇る。2028年の創立60周年を控え、27年4月入学生からは、国内では初となるファッションブランド「シップス」の制服を新たに導入することで注目されている。
〈60周年記念事業として〉
同校は、東京都内にある日本大学第一高等学校と同じ日本大学第一学園を母体とする、千葉県内でも有数の伝統校である。日本大学の付属校としてのメリットを最大限に生かし、幅広い進路先を確保している。また、恵まれた施設環境の下、文武両道を掲げ、近年はスポーツや文化活動でも多くの実績を残している。現在、高校には1077人、併設する中学校には710人の生徒が在籍し、充実した中高一貫教育を展開している。
同校の現行制服は、男子が創立以来約60年間にわたり着用してきた伝統的な詰め襟学生服、女子は17年にマイナーチェンジを実施したブレザースタイルである。長らく地域に親しまれてきた制服だが、社会情勢の変化や、多様化する生徒のニーズに対応するため、新たな制服の在り方が問われていた。
繊維・アパレル業界全体でサステイナビリティーやジェンダーレス対応が急務となる中、学校制服の分野でも価値観のアップデートが求められている。同校は単にデザインを新しくするだけでなく、これからの時代を生きる生徒たちにふさわしい「服育」の観点を取り入れた制服リニューアルを構想。創立60周年という節目を契機として、学校の新たなブランド価値を体現するプロジェクトとして位置付けたのである。
〈新時代に向けた制服へ〉
制服刷新に向けた動きは、25年3月に実施した生徒・教員向けアンケートから本格化した。服装委員会の委員長を務める雨宮正幸教諭は「アンケート集計の結果、高校は変えたいが、中学は変えなくていいのではないかという意見に落ち着いた」と振り返る。中高一貫校である強みを生かし、中学校には人気の高い既存の制服を残し、高校のみをブレザースタイルに変更するという柔軟な方向性が固まった。
同年4月には服装委員会を中心に具体的な検討がスタート。ジェンダーレスへの配慮や、既存の販売委託先であった百貨店の撤退といった実務的な課題も背景にあった。9月には制服メーカー数社による選定プレゼンテーションが開催され、100人以上の生徒と教職員が参加した。雨宮教諭は「60年続いた伝統ある詰め襟を廃止し、ブレザータイプに変更することには賛否両論あった」と明かす一方で、「生徒も参加したプレゼンの結果、トンボの提案が圧倒的な支持を集めた」と語る。
最終的に11月、トンボの協力のもと、セレクトショップ大手のシップスによる学生服の採用が決定した。学校名とブランド名のダブルネームを冠するにあたり、ブランド側からの厳格なデザイン規定などの制約もあったが、かえって選択肢が絞られ、選定作業はスムーズに進行したという。
〈良いものを長く使う〉
新制服は「スタイリッシュスタンダード」というシップスのコンセプトを踏襲し、洗練されたデザインに仕上がった。ジャケットは三つボタンの段返り仕様を採用し、正統派のアイビールックを表現。さりげなくグレンチェックの織柄を取り入れ、高級感を演出しつつ撥水(はっすい)機能などの実用性も兼ね備える。女子のスラックスも同じ柄で用意し、性別にとらわれない着こなしが可能だ。シャツやネクタイなどのサブアイテムも豊富で、生徒が日々の気候や好みに合わせて自らスタイリングを選べる。
生地はウール、ポリエステル各50%の混紡で、家庭の洗濯機で洗えるウオッシャブル対応とし、保護者の負担軽減にも配慮した。
羽島和弘校長は新制服への期待について、「やはり、良いものを大事に着てほしいと思う。安ければいいというものではなく、きちんとした素材のものを長く愛用することがサステにもつながる」と強調する。さらに、「デザインも落ち着いているので、品よく着こなしてほしい」と目を細めた。
27年4月の導入に向け、学校内外からの期待は高まっている。「伝統を感じさせつつ、新たなスタートにふさわしい」「全国で一番人気の制服になってほしい」という反響が寄せられている。老舗ブランドが手掛ける高品質な制服は、同校の新たな歴史を彩る象徴となりそうだ。





