特集スクールユニフォーム(9)/商社/各種啓蒙活動で需要取り込む

2026年10月22日 (木曜日)

 中学校の制服モデルチェンジ(MC)の勢いが大きく鈍化した今、着用者減への対応が、スクールユニフォーム生地を扱う商社に改めて求められている。次の一手は何か。地道な啓蒙活動か、シェア拡大への商品開発か、積極果敢な営業力か――。ナカヒロ、アカツキ商事、佐藤産業というニッケ傘下3商社の統合も発表され、業界再編は待ったなし。商社の現状を追った。

〈チクマ/「服育」で接点創出/全社総合力も発揮して〉

 チクマ(大阪市中央区)のキャンパス事業部は、衣服を通じて心をはぐくむ「服育」を通じ生地の採用校を増やす取り組みを継続している。今後も少子化や制服離れが進む懸念の中、「全社の総合力を発揮して需要を取り込んでいく」。

 同事業部の2027年入学商戦は、モデルチェンジ(MC)校の減少やアパレルの生産調整・在庫調整が続く中で苦戦を強いられた。期初(26年11月期)から前期比減収減益を見込み、計画達成に向けてラストスパートをかけていく。

 今後もMCにおけるシェア拡大に改めて取り組む。そのために活用するのが服育だ。立ち上げから22年が経つこの取り組みは徐々に全国レベルで浸透を見せており、今後も積極的な活動を続けて「学校との接点を増やしていく」。

 好評の服育セミナーは大阪開催のみとしていたが、今夏は東京でも15年ぶりに開いた。東京会場には学校・企業合わせリアルで39人、リモートで87人が参加し、大阪会場もリアル54人、リモート108人と変わらず人気を博した。

 総合力の発揮としては、衣類回収リサイクル事業「チクマノループ」や、制服管理システム「チクマのハブ」の活用を進める。

〈イシトコテキスタイル/顧客の困りごとを解決/生地以外、学販以外にも力〉

 イシトコテキスタイル(大阪市中央区)の2027年入学商戦向けは、26年並みだった。ただし、コスト高を背景に利益は苦戦傾向にある。今後も引き続き、「顧客の要望に応える」ことを最優先に、多様化一途の需要を取り込んでいく方針だ。

 同社は学生服地で東亜紡織、学販シャツ地でシキボウからの仕入れを主力にする。商品戦略としては暑熱対策系に拡販に取り組む。見本帳「盛夏向けセレクト」に収録する各種機能素材を訴求していく。シャツ地では織物の需要減退に伴い、丸編み地やトリコットの販売を強化する。

 既存のスクール事業で維持拡大に努めながら、少子化などを背景に需要が縮小していくことを見越し、生地以外の商材の供給、学販以外の分野開拓にも力を入れる。

 生地以外の商材では例えば、地方の副資材供給者が減少しているため専門店などが「困っている」。「顧客の困りごとを解決する」をモットーに生地や制服以外の商材を供給する体制を整えていく。学販以外の分野としては、「広義でユニフォームと捉えられる分野」を軸に提案を強化し、商材、分野の両面で新規ビジネスの構築を図る考えだ。

〈牧村/別注柄開発を継続強化/低価格化対応にも力〉

 牧村(大阪市中央区)のスクールユニフォーム事業の2027年入学商戦は、9月末時点で、前年同期と新規獲得校数、数量ともに同水準の推移になっている。ニット製品も前年並み。全体のモデルチェンジ校数が減る中で奮闘を見せているが、昨年はあった最終の駆け込み需要が今年はなくなる懸念もあり、最終的には前期を下回る可能性もあるという。

 あらゆるコストが上昇していることを受けて、価格改定を実施する。28年入学の出荷分から、ニット製品含め14%引き上げる。

 ウール離れや低価格志向を受け、ポリエステルの比率を上げる対応も進めている。現在、柄物はポリエステル70%・ウール30%が主力で、無地はポリエステル50%・ウール50%とポリエステル70%・ウール30%が半々の割合だが、ウール15%を増強中だ。

 強みである柄開発では、ポリエステル75%・ウール15%の生地で柄展開を増やしていくが、全体としては絞り込む方向性。一方、大手メーカーとの別注の新規柄開発は引き続き力を入れていく。ビジネスユニフォーム部門で先行する人工知能(AI)を活用した提案ツールも携え、提案力にも磨きをかける。

〈島田商事/海外拠点を拡充へ/独自商品の開発力強化〉

 副資材製造卸の島田商事(大阪市中央区)は、海外生産・品質管理体制の強化と提案力の向上を進めている。ベトナムで製紐(せいちゅう)工場を増設するほか、アジアでの協業や拠点展開も視野に入れる。ラボ(検査室)と検品センターを設け、品質管理力を高める。一部拠点のショールームでは機能性商品などを紹介し、用途提案にも力を入れている。

 副資材の製造工場を保有するベトナムで製紐工場を増設する。顧客の多くが地産地消やメーカーとの直接取引を求める中、メーカーとしての立ち位置を明確にし、独自商品の企画開発力も磨く。中国でも協力工場との合弁や提携を検討。欧米向けにも拡大し、将来的には縫製拠点であるバングラデシュやインドでの拠点設立を検討する。

 大阪本社に加え、中国の東莞、ベトナムのホーチミンにもラボと検品センターを設立し、品質管理力を引き上げる。学生服向けを主力とする岡山支店でも、海外ネットワークやラボを生かした対応力を発揮する。

 副資材の用途提案の一環で7月から大阪、東京のショールームで、副資材を製品見本とともに披露している。肩線のエアーブローイングテープで衣服内の熱と湿気を排出する「エアーフォームポロ」などを提案する。