特集スクールユニフォーム(10)/素材メーカー/機能性の付与と需要喚起と

2026年10月22日 (木曜日)

 素材メーカーのスクールユニフォーム分野への取り組みにも変化が見られる。毛紡績各社はウール需要の喚起と同時にポリエステル使いの比率を高め、綿紡績はシャツ地に各種機能を付与しつつ、“制服文化”の変化に対応する。素材メーカーの現況と方針を追った。

〈ニッケ/各種取り組みで需要喚起/27年入学は減収減益〉

 ニッケは、スクールユニフォーム向け生地販売で、コスト上昇を受けて価格改定を実施する。値上げのタイミングは、織物と学校別注品が2027年6月出荷分から、定番のニット製品が今年12月からで、上げ幅は10~15%を予定する。

 羊毛原料の高騰、エネルギー費や物流、現在料価格の高騰、人件費の上昇などが激しく、「ウールをしっかりと使ってほしいが、採算的に限界点に達した」ことが理由。

 一方で、工場の合理化による人員の削減、商事子会社3社の統合による合理化など自助努力は続けていく。

 27年入学商戦は、現時点で前年同期比減収減益の推移になっている。前回の価格改定前の駆け込み需要の反動の長期化と、学生服メーカーの生産調整がその背景だ。2年連続で厳しい環境が続いたが、「28年入学は少し(生地需要が)戻ってくるのではないか」とみている。

 そのために、環境配慮型素材「エミナル」のさらなる拡販、衣料品回収・循環プロジェクト「WAONAS」(ワオナス)の推進、出前授業「ウールラボ」の活発化などに重点的に取り組む。ナカヒロ、アカツキ商事、佐藤産業が合併して12月から誕生するニッケメイトとも連携を強め、需要の取り込みを図る。

〈東亜紡織/来春から価格改定実施/柄開発の意匠力発揮〉

 東亜紡織のスクールユニフォーム事業の2026年12月期は、前期比減収減益が確実な情勢だ。学生服メーカーの生産調整・在庫調整の長期化の影響が大きい。28年入学商戦に向けては、価格改定とウール低混率生地の開発に力を入れる。

 羊毛やポリエステルなどの原料価格、染色加工料金、人件費などあらゆるコストが上昇しているため価格改定に踏み切る。9月から既に需要家との交渉を始め、「年内には決着させたい」考え。引き上げ幅は生地が14%、ニット製品が17%。アクリルの上がり幅がより激しいことがニット製品の引き上げ幅のほうが大きい理由。タイミングは、生地は冬物が来年4月、夏物が6月出荷分から。

 ウールの比率を下げた低価格品の投入も予定する。低価格志向が強まる中で、「本来はウールを使ってほしいが、価格の選択肢を増やすことも大事だと判断した」

 今の主力はポリエステル70%・ウール30%だが、ウール20%や15%を順次投入していく。

 柄開発では「色柄で学校生活を楽しく」というテーマに基づき、引き続き「ここはぶれずに当社の強みである意匠性を発揮していきたい」考えだ。

〈東洋紡せんい/シェア拡大へ提案充実/上半期は増収増益〉

 東洋紡せんいはスクールユニフォーム事業で、「まだまだシェアの観点でいえば伸ばす余地がある」とし、機能素材の開発・提案や、海外での一貫生産体制による価格優位性などを発揮し、拡販を目指す。

 今年6月に、スクールユニフォーム単独の個展を初めて開催した。岡山だけの開催だったが、多くの来場者があり、素材提案や情報交換が進展した。好評を受け、来年5月にもスクールに特化した個展を開く。

 同事業の上半期(2026年4~9月)は前年同期比増収増益だった。前年が悪すぎた反動でもあるが、日本とインドネシアで生産する丸編み地が、学生シャツ地、体操服地、ポロシャツ地などで採用を伸ばした。織物のシャツ地も微増収増益で、「底を脱した感はある」という。

 一方、セーター、ベストなどのニット製品事業からは27年入学を最後に撤退することを決めた。「独自開発や価格優位性を発揮しづらい事業環境」のため。

 価格改定は8月から一部スタートし、アナウンスは終了した。自助努力としてインドネシアでの一貫生産によるコスト削減などを進める。同国縫製による製品納入の拡大にも取り組む。

〈シキボウ/ラインアップが拡大/複重層構造紡績糸に強み〉

 シキボウは、スクール向け生地・製品のラインアップを拡大した。従来はスクールシャツ地が中心だったが、旧ユニチカトレーディング(UTC)の衣料繊維事業を引き継いだことで学校体育服向け素材が充実する。特に複重層構造紡績糸使いは豊富なラインアップを擁し、アパレルの要望に応じた素材供給が可能になった。

 注目の素材の一つが旧UTCから引き継いだ複重層構造紡績糸「パルパー」。芯にポリエステル繊維、鞘に綿を配置することで綿の風合いとポリエステル繊維の機能性を両立する。また、従来からシキボウが製造している2層構造紡績糸「ツーエース」「クイックドライコットン」もあり、アパレルのニーズに応じた糸選択による素材提供が可能だ。学校体育服でも小学生低学年向けや保育園・幼稚園児向けでは綿の混率が高い素材のニーズが根強い。こうしたニーズに対して幅広く対応する。

 一方、スクールシャツ地は、織物に加えてポリエステル100%トリコットが拡大している。台湾子会社の台湾敷紡で生産するトリコットのほか、国内加工場を活用した素材も展開し、シャツ地の提案を広げる。