秋季総合特集Ⅲ(6)/Topインタビュー/クラレトレーディング 社長 山田 武司 氏/アジア中心に海外市場を/付加価値型メーカー系商社に

2026年10月28日 (水曜日)

 「“攻める”対象は、やはりアジアを中心とした海外市場」――クラレトレーディングの山田武司社長は強調する。クラレの販社であると同時に、メーカー系商社として独自のモノ作りが強みの同社。「利益を拡大するためには、付加価値型メーカー系商社としての機能が重要になる。特に繊維事業の役割は大きい」と指摘する。

  ――繊維事業の〝攻め〟と〝守り〟について、どのように考えていますか。

 当社はこれまで事業ポートフォリオを分散することでバランスの取れた収益構造を実現してきました。中でも繊維事業はいち早くポートフォリオの組み換えを進め、有力取引先としっかりと取り組む形で収益を伸ばしています。これは、クラレグループの衣料繊維事業が比較的小規模だったからともいえます。

 こうして国内繊維市場の縮小に対応してきたわけですから、これから〝攻める〟とすれば、やはりターゲットはアジアを中心とした海外市場ということになります。販売もますますアジア中心になっていくでしょう。海外で作ったものを日本国内、さらには海外市場にも販売するフェーズに入ります。そのためには人材の確保が重要になります。当社は現在、国内外で約450人の従業員がいますが、うち約100人は外国人です。しかし、本社スタッフはまだ少ない。今後、本社スタッフも外国人を積極的に採用・登用する考えです。また、分野としては高機能品が求められる分野が重要です。例えばメディカルや介護といった分野です。こうした分野に向けた提案や販売を拡大していかなければなりません。

 一方、〝守り〟としては、まずは原燃料高騰に対して値上げを丁寧にお願いしていくことになります。また、全社として資本効率を重視するのは当然です。コンプライアンスや安全の重視もしかり自社だけでなく委託加工先などサプライチェーン全体を見なければなりません。

  ――2026年度上半期(1~6月)は、取扱高865億円(前年同期比8・3%増)、売上収益373億円(10・1%増)、営業利益36億7300万円(20・8%増)、経常利益37億9200万円(14・0%増)、純利益26億1300万円(13・5%増)と好調でした。繊維関連事業も取扱高226億円(5・4%増)、売上収益165億円(4・9%増)、営業利益15億6900万円(19・4%増)と伸ばしています。

 比較的順調だったと思います。個別の事業で見れば良かったところもあれば悪かったところもあるのですが、全体としてバランスが取れている点が良かったと思います。その中で繊維関連は健闘しています。主力のスポーツ・アウトドア分野は有力取引先アパレルの店頭販売が堅調なことが当社の販売好調につながっています。学校体育服は少子化の影響もあって需要が伸び悩んでいますが、メディカル分野などが拡大したことでカバーできています。今期は中東情勢悪化による原燃料価格高騰など不安要素も大きかったのですが、少なくとも上半期はなんとか乗り越えることができています。

 ただ、7月以降は需要が弱含みです。上半期は、供給不安を感じた需要家が一部で積極的な調達に動いたこともあり、下半期に入るとその反動が出ています。このため商品への値下げ圧力も強まっているのですが、当社は商品力の高い商品が多いですから、現場の頑張りもあって、うまく対応できています。

  ――27年度に向けた課題や戦略を。

 26年度はクラレグループの中期経営計画の最終年度です。来期以降も基本方針は継続することになります。当社はクラレグループの販社であると同時に、素材を加工して販売するメーカー系商社でもあります。利益を拡大するという観点では、この付加価値型のメーカー系商社としての機能が大きな役割を担うことになります。やはり、いかに付加価値を創出することができるか。これは特に繊維関連事業に当てはまります。当社が利益を拡大することが、クラレグループにとっても大きな意味があると自負しています。

〈私の今年のベストバイ/スパイクレス派に転向〉

 近年、すっかり一般化したスパイクレスのゴルフシューズだが、「スイングする際にスパイクがないと不安」という山田さん。長らくスパイクシューズ派だった。ところが最近、「さすがにスパイクシューズの重さが気になり始めた」。そこで思い切って有名ブランドのスパイクレスシューズを購入。ラウンドしてみたところ実に快適で疲労も少ない。すっかりスパイクレス派に転向となった。ただ、「スコアが良くなったわけではありませんが」。

【略歴】

 やまだ・たけし 1984年クラレ入社、クラレトレーディング衣料カンパニーテキスタイル部長、同カンパニースポーツ部長、衣料・クラベラ事業部副事業部長、可樂麗貿易(上海)総経理などを経て、2015年クラレトレーディング取締役、18年常務、同年常務繊維事業統括兼衣料・クラベラ事業部長、20年から社長