ごえんぼう

2026年10月30日 (金曜日)

 18世紀フランスの作家、ボルテールは「私は君の意見に反対だが、発言する権利は命懸けで守る」との言葉で知られる▼思想と言論の自由を象徴する言葉。宗教的対立や権力批判が命取りになりかねない時代に、異なる意見の存在を社会の健全性と捉えた。ただし、本人の発言ではない。伝記作家が著書『ボルテールの友人』で彼の姿勢を要約した表現が、広く引用されてきた▼現代はSNSの普及で誰もが発信できる一方、異論への攻撃や沈黙を迫る圧力が強まる。気に入らない意見を排除する風潮は、自由な議論の土台を揺るがす。多様な価値観が交錯する社会こそ、反対意見を堂々と言える空気感が重要だ。対話を尊重したい▼繊維・ファッションの世界でも、異なる感性や提案が新たな潮流を生む。相手の意見への賛否と、発言する権利を認めることは別。ボルテールの思想を伝えるこの言葉は、私たちの態度を試している。