秋季総合特集Ⅴ(4)/Topインタビュー/豊島 社長 豊島 晋一 氏/品質管理と事業領域を拡張/人間力軸に新商材・販路開拓

2026年10月30日 (金曜日)

 ライフスタイル提案商社として事業の幅を広げる豊島は、攻めの姿勢で生活者の多様なニーズに応え続ける。守るべきものは品質とし、安心かつ安全な商材の供給で、販売先の信頼も深める。変えるべきことは提案の幅だとし、豊島が持つノウハウや知見と販売先が持つ特性を総合的に組み合わせて、提案の最適化を進める。豊島晋一社長は「人間力を軸に、AI(人工知能)などを活用しながら新領域を切り開く」と話す。

  ――企業が成長するために重視する「攻め」「守り」「変えていく」ことについてどう考えるか。

 ライフスタイル提案商社として事業領域を広げることが「攻め」だと考えます。生活者の視点に立ち、ニーズに合わせた幅広い商品群を提案し続けることが重要です。

 「守るべき」は品質の一言に尽きます。品質面や生産管理の徹底も重要です。求められる規格や機能を担保し、安心かつ安全な商材を供給し続けることが大事です。コンプライアンス順守を最優先に対応を図ります。

 「変えていく」のは提案の幅です。販売先と深く関わり、どのように店頭で販売するか、どのような企画がふさわしいかなどを踏まえた、課題解決型の提案営業を推進します。社員の“人間力”を軸に、販売に関するデータや(デジタル技術で企業を変革する)DXの活用を掛け合わせて最適解を生み出すという形で、その精度を高めていきます。

  ――前期(2026年6月期)を総括すると。

 3期ぶりの増収で、営業利益と経常利益はともに4期連続で過去最高を更新しました。役員と社員が一丸となり、事業領域の拡充や付加価値の創造に向けて取り組んだ成果が、経営成績に反映されました。主体性を持って、何がよいかを常に考えて行動し続けることが当社の強みです。その自主性に助けられていると評価します。

 今後も謙虚な気持ちで業務拡大に向き合っていきたいです。事業を進める役員・社員には、この業績におごることなく、自信を持って業務に取り組んでもらいたいです。たゆまぬ努力で、販売先と、その先にいる生活者や社会に貢献してほしいと願います。

  ――今期素材部門の展望は。

 国内産地を取り巻く環境は厳しく、生産面で流動的な状況が続くとみています。簡単ではないですが、機能や素材の特徴を生かした加工や製法で付加価値を高めた加工反の販売を強化します。

 輸出強化と拡充も課題です。継続的に取り組む課題ですが、欧米や中国の市場にどのような商材を販売できるかを含めて、方向性が明確になってきました。各社が輸出を強化する中、負けないように対策を重ねて事業の柱に成長させたいです。

  ――製品部門の展望や注力策は。

 販売を伸ばしたウエルネス、酷暑対策、ユニフォーム向け商材はまだまだ攻める余地があります。当社ならではの視点を加えて差別化し、優位性を高めます。

 非衣料分野の開拓や、服飾・生活雑貨の拡販も、さらに強化しなければなりません。単なる商材の提案だけでなく、売り場や訴求するためのストーリーづくりなど、付加価値を生む過程を大事にし、丁寧かつ包括的な販売手法を提案します。

 どのような商材を販売するかよりも、販売先に合わせたアプローチが大事です。課題を抽出し、当社が持つノウハウを掛け合わせて、販売・提案の精度向上につなげます。

  ――付加価値商材の拡販で狙うことは。

 あらゆる業種の企業や自治体が販売先になる可能性を持ちます。ファッションや雑貨を取り扱うSPAだけでなく、量販店、スポーツ用品店、プロユースのさまざまな専門店などは生活者と多様な接点を持ちます。

 企業の労務管理や健康管理に役立つ商材の供給も考えられますし、自治体が強化する猛暑対策や、自然災害・地震対策商材の開発・販売の機会も増えるとみています。求められる商材はさまざまですが、当社が役立てる可能性は無数にありますので、供給面で貢献していきます。

  ――AI活用が販売面以外にも広がる。

 AIの活用方法は今年劇的に広まり、進化を遂げたと思います。企業活動の中で活用方法の高度化に取り組むことは重要です。これまではデザインや柄生成などに活用してきましたが、今後は販売データや商品開発の背景の分析など、総合的な課題の整理や解決に生かしたいです。

 新商材の開発・販売や、販路を開拓するのは人で、その人が持つ“人間力”を優先すべきです。主従逆転になってはいけません。人間の感性と販売面のデータを重ねることが、よりよい提案と生活者の価値向上につながります。

  ――効率的な輸送にも取り組む。

 地道かつ永続的に取り組む課題となります。混載を含めたコンテナへの積載率向上や、集積地や貨物の集約による船積みの効率化も進めています。

 輸送業界をみると、人手不足や輸送便の確保などで厳しい局面が続くでしょう。同じ目的や課題を持つ企業と協力し、海外から国内、国内間の共同配送への取り組みも積極的に推進していきます。

  ――異業種開拓も進める。

 当社のビジネスが新鮮に見える業種や企業があると感じています。時代や環境に合わせて、ニーズに応える提案の可能性も無限に広がるはずです。

 国内を中心に、人口減少への危機感を覚えます。商材を選ぶ目も必然的に厳しくなります。販売先の課題を独自のサービスや機能で解決し、商材の供給ではない新たなサービスの拡充も進めていきます。

〈私の今年のベストバイ/アジア大会の記念グッズ〉

 第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)ピンバッジ3点セットを、バドミントンの観戦時に競技会場で購入した。アジア規模の競技会を日本で見る機会はめったにないとし、記念として購入を即決。「長時間続くラリーやスピード感に圧倒された」との感想を持った。豊島は第5回アジアパラ競技大会(2026/愛知・名古屋)のパートナーシップ契約を締結し、表彰式スタッフの衣装を提供している。豊島さんはパラ大会も開会式やバドミントンなどを観戦した。

【略歴】

 とよしま・しんいち 2021年豊島入社、同年5月総務部付監査担当。9月監査役、22年9月取締役兼財務部部長、23年7月専務取締役を経て、25年9月から現職