秋季総合特集Ⅴ(10)/Topインタビュー/カケンテストセンター 理事長 眞鍋 隆 氏/サステ軸に多様な取り組み/人材の充実は継続的に

2026年10月30日 (金曜日)

 カケンテストセンター(カケン)は、2026年度(27年3月期)から5カ年の中期経営計画に取り組んでいる。眞鍋隆理事長は「人が基本」とし、人材育成に継続的に力を入れる考えを示す。検査機関を取り巻く環境は厳しいが、人材育成を通じて業務や拠点の高度化、コンサル的機能の強化を図り、成長へとつなげていく。

  ――カケンにとっての攻めとは。

 環境や人権を含むサステイナビリティー関連で需要が拡大している分野を積極的に取り込むことです。業務で言えばソフトとハードの両方がありますが、ソフト面ではLCA(ライフサイクルアセスメント)算定などに加え、コンサルティング的機能を強化できればと思います。海外情報の提供と合わせて取り組んでいきます。

 好きなスポーツの一つがバスケットボールなのですが、バスケにはファストブレーク(速攻)という言葉があります。コンサル的機能を発揮するには顧客よりも前を走っている必要があります。半歩でも良いので前に出るよう努力を続けます。ハード面である試験では、顧客の依頼に対し、誠実・正確に応えていきます。

  ――守りについては。

 守りの中にも攻めがあると考えています。例えば、(デジタル技術で企業を変革する)DXの推進、機能性試験の拡充などがそれに当たります。バスケにはプレッシャーディフェンスという言葉もあります。隙があればボールを奪うというこの戦術は、攻めに転じやすい。カケンとしても攻めと守りの一体で進んでいきます。

  ――事業を取り巻く環境は。

 事業環境は厳しいと認識しています。エネルギー費をはじめ、あらゆるモノの価格の上昇に繊維産業全体が苦しんでいます。効率化への努力は必要不可欠です。そのほかでは、地球規模で起こっている気候変動という問題もあります。気候変動には、適応と緩和の両面から対応が求められると言えるでしょう。

 繊維・ファッション関連では、酷暑化などの気候変動に適応するために、紫外線遮蔽(しゃへい)や冷感、遮熱などの機能が付与されます。気候変動を緩和するには、衣料品を長く着る(長寿命化)ことなどが有効になるでしょう。カケンは、適応と緩和の両方に試験で応じています。

  ――検査機関が果たす役割は増えているのですか。

 やるべきことや出番は確実に増えていますが、消費者が科学的なデータを基に商品を選択する社会になれば良いと考えています。そのような社会になれるよう力を合わせて少しずつでも進んでいきたいと思います。

  ――カケンは26年度が中計初年度です。ポイントを改めて。

 試験や検査にもコンサル的な部分を抜きにして考えることは難しくなっていますので、人材の充実が重要になります。顧客が持つ悩みに対し、半歩先に行って解決するようなスキルを磨くことです。その成果が事業収入の拡大につながっていきます。逆に言えば、人材育成ができなければ、中計で掲げた目標も絵に描いた餅になります。

 ベテラン職員が若い職員のために自ら講座を開いて講義を行うカケンアカデミーは、職員の専門知識・技能の向上を目的としています。そのほか、ITエバンジェリストによる取り組みがあります。国内の各事業所から若手職員を数十人募り、ITに関する技術や知識を持つ職員がオンラインで講義を行っています。

  ――スタートの26年4~9月期の業績は。

 事業環境は厳しいのですが、売上高は前年同期並みで推移するなど、堅調です。試験・検査が底堅い動きを見せているほか、LCA算定支援なども注目度が高まりました。LCA算定やサプライチェーンの温室効果ガス排出量の算定を支援する「アイストイデア」の取扱も開始しました。

 中でも伸長したのが海外です。機能性試験を拡充したことなどが奏功し、特定の国・地域ではなく、各拠点が順調でした。試験・検査だけでなく、CSR監査も増えています。海外は、これまでと同様に、下半期以降も中国とASEAN地域の拠点を中心に機能性試験の実施を強化し、高度化を図っていきます。

〈私の今年のベストバイ/日傘〉

 眞鍋さんにとって「日傘がベストバイ」になった。夏季の酷暑化が続く中、日傘は昨年も購入したが、「風でひっくり返ることが多かった。使い勝手はもう一つだった」そうだ。今年は購入の際に、パッケージに書かれている紫外線遮蔽(しゃへい)率や遮熱率、撥水(はっすい)性、耐風値などの性能を参考にしたが、パッケージには「『カケンテストセンター測定』という文言も記載されていた」という。一番の決め手だったかもしれない。

【略歴】

 まなべ・たかし 2003年経済産業省化学課長、05年NEDO総務部長、08年産業技術総合研究所理事、09年経済産業省大臣官房審議官、10年全国中小企業団体中央会専務理事、16年タクマ常務執行役員などを経て、23年10月カケンテストセンター理事長就任