秋季総合特集Ⅴ(11)/Topインタビュー/ボーケン品質評価機構 理事長 加藤 守 氏/課題解決のパートナーに/対面での営業活動を強化

2026年10月30日 (金曜日)

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、納品前検査を中心とした検査機関から、依頼企業が抱える課題の解決に貢献する「品質パートナー」への転換を進めている。加藤守理事長は「依頼企業の課題、要求、さらには営業戦略まで読み取るような営業活動が必要」と指摘する。そのために基本に立ち返り〝フェース・トゥ・フェース〟の営業活動の強化に取り組む。

  ――ボーケンにとって〝攻め〟と〝守る〟とは。

 当機構は、納品前検査を中心とした従来型の検査機関から、依頼企業の課題解決に貢献する〝品質パートナー〟としての試験機関への転換を進めてきました。そのために現在、繊維、生活産業資材、認証・分析、機能性、海外の5事業本部制を敷き、それぞれが高い専門性に基づいて業務を推進しています。

 こうした取り組みでさらに〝攻める〟ためには、営業力の強化が欠かせません。依頼企業が抱える課題、要求、さらには営業戦略まで読み取るような営業活動が重要であり、そういった認識を組織全体で共有することが必要。そのためには、対面での営業活動が大切になります。

 例えば近年、依頼企業のラボ見学や展示会の開催に力を入れています。依頼企業との総合的なコミュニケーションを強化し、「こんな試験ができないか」「こんな試験がありますよ」といったやり取りと提案ができるようにならないといけません。要求に応えるために、新たな試験機の導入や処理能力の増強など設備投資も進めています。例えば機能性事業本部では、新たに電動ファン付きウエアを対象とした風量測定試験を開始しました。

 繊維だけでなく他分野への横展開も重要になります。このほど福祉用具の安全性向上や標準化などに取り組む日本福祉用具・生活支援用具協会(JASPA)に加盟しました。生活産業資材事業本部を中心に福祉用具の試験への参入を視野に入れたものです。認証・分析事業本部ではサステイナブル関連の国際認証取得のサポートなどを強化してきました。欧州を中心に環境規制は今後ますます強化されるでしょう。企業の取引条件にも組み込まれるようになるはず。このためサステイナブル関連の試験を成長領域と位置付けています。

 一方、〝守り〟として(デジタル技術で企業を変革する)DXの推進やAI(人工知能)の活用がポイントになります。これは業務の効率化に加えて、試験の品質向上にもつながります。既に中国の拠点で積極的に導入しており、試験の自動化などが進みました。事業本部の中で拠点間の連携も強化しています。試験スペースを融通することで全体の処理能力を高め、納期対応力を強化することができます。スタッフのマルチスキル化にも取り組んでいます。

  ――2026年度上半期(4~9月)を振り返ると。

 全体としては増収増益で推移しました。生活産業資材事業の収益がやや減りましたが、これは前期にあった大口案件がなくなったためです。それ以外の事業は総じて堅調に推移しています。拠点別で見ると東京が好調となり、大阪も堅調です。海外は中国の好調が続いています。また、認証・分析事業や機能性事業も受注が拡大しています。

  ――下半期(26年10月~27年3月)に向けた課題や戦略は。

 営業力の強化です。基本に立ち戻って、〝フェース・トゥ・フェース〟の取り組みに力を入れます。繊維事業は人材育成がポイント。近年、依頼企業の中でも繊維に関する知識の継承が難しい状況が強まっています。教育支援を含めて知識継承の手伝いができるようにならないといけません。生活産業資材事業や機能性事業は、時期によって依頼件数の変動が大きいので人員シフトの柔軟化など業務体制のフレキシブル化に取り組みます。

 認証・分析事業も人材の育成が急務です。特に国際認証などに関わる業務は、担当するための資格や認定などが必要なので、特定のスタッフの負担が大きくなりがちです。資格や認定の取得者を増やすなどして、体制を充実させなければなりません。

 海外事業はASEAN地域の拠点へのテコ入れを進めます。各拠点の特徴を明確にしながら、ASEAN地域全体での機能を高めます。

〈私の今年のベストバイ/“ベスト・バイ”を研究中〉

 今年1月に初孫が生まれた加藤さん。かわいい女の子で、お爺ちゃんも頬が緩みっぱなし。最近では物をつかんだりできるようになり、新生児から乳児へとすくすく育つ。そんな愛孫に「そろそろおもちゃを買ってあげようと思っているのだが、何がいいだろう。やはり知育玩具のようなものがいいのだろうか」と頭を悩ます。「“ベスト・バイ”を研究中です」と、やっぱり頬が緩む。

【略歴】

 かとう・まもる 1982年シキボウ入社。繊維部門衣料素材部長、メルテックス社長などを経て2015年執行役員繊維部門総括部長、17年上席執行役員繊維部門長、22年取締役兼常務執行役員繊維部門長、24年繊維部門アドバイザー、25年イシトコホールディングス経営戦略本部長、26年7月からボーケン品質評価機構代表理事・理事長