繊維ニュース

大手学生服メーカー/転換期迎える学生服業界/戦略は三者三様へ

2026年10月30日 (金曜日)

 少子化や物価高など経営環境が厳しさを増す学生服業界の大手3社の業績が出そろった。各社の業績を支えてきた制服モデルチェンジ(MC)も減少傾向にあり、従来の戦略の見直しが求められている。3社はそれぞれ、新規事業による成長、既存事業の利益拡大、生産体制の強化と、それぞれ異なる戦略で転換期を乗り越えようとしている。(光元 徹)

 学生服業界は現在、少子化に加え、新型コロナウイルス禍後の供給網の混乱、円安や物価高など、さまざまな経営課題に直面している。災害リスクの高まりや中東情勢の緊迫化に伴う一段のインフレも懸念材料だ。これらを受け、トンボと菅公学生服は、前期比で増収を確保するものの減益。2026年春商戦の業績を含まない明石スクールユニフォームカンパニーの25年12月期は増収増益となったが、26年12月期上半期は、前年同期比で増収減益だった。

 各社の業績を支えてきた制服モデルチェンジ(MC)は、ニッケの調査によると、23年の748校をピークに24年735校、25年722校と推移。26年は538校に減少し、27年は9月末時点で中学・高校合わせて370校にとどまる見通しだ。MC獲得を軸としてきた各社は、戦略の見直しを迫られている。

 新規事業の拡大で成長を目指すのがトンボだ。次の成長の柱の一つにヘルスケア事業を据え、ヘルスケア本部と事業開発本部を置く市場戦略本部を新設。「BtoCでの販売伸長のため、マーケティング力を生かす」(藤原竜也社長)狙いだ。

 シニア層向けの「MEGURU KIRAKU(めぐるきらく)リカバリーウェア」で27年6月期に売上高7億円を目指す。衣料品はほぼ販売されていない調剤薬局を新たな販路として開拓する。社員から新規事業のアイデアを募る「スタートアップ160」も立ち上げる。第2、第3の成長の柱を育て、今期はグループ売上高500億円を目指す。

 利益拡大を重視するのが明石スクールユニフォームカンパニーだ。「売り上げばかりを追いかけず、今ある中でいかに利益を高めるか」(河合秀文社長)に注力する。7月には小学生服の供給にも強みを持っていたオゴー産業を合併し、安定供給と業務効率化、事業間の相乗効果を図る。

 利益拡大策の一つが、学校用品の販売網を生かした新商材の提案だ。メガネブランド「ゾフ」を運営するインターメスティック(東京都港区)と連携し、学校指定サングラスを販売する。約10年にわたり供給してきた防災用品も、災害の頻発を背景に支持を集めている。

 事業継続体制の強化で経営課題に対応するのが菅公学生服だ。災害時にも「納期厳守という至上命題を守る」(尾﨑茂社長)ため、米子新工場(鳥取県米子市)を新設。南九州の生産拠点と同等の生産能力を持たせ、災害時の供給体制を強化する。

 MCで需要が高まったブレザーの生産能力も引き上げる。小ロット多品種の生産に対応するため、シラウメベース(岡山県倉敷市)では生産機器の開発やセル生産の研究を進め、生産性向上を図る。

 三社三様の戦略にかじを切った学生服大手。各社の取り組みが成果につながるか、今後の動向が注目される。