ひと/プロミネント〈ベトナム〉社長 大窪 功一 氏/国の成長丸ごと取り込む

2026年10月30日 (金曜日)

 2026年5月、伊藤忠商事グループのベトナム繊維企業プロミネント〈ベトナム〉(VNPAL)の社長に就いた。「現場主義」を徹底し、さらなる飛躍を誓う。

 実家は宇都宮市の和菓子店。繊維ではないが、モノ作りの現場が目の前にある環境で育った。中高生の頃はテニス、合唱、ヘビーメタルバンドなどさまざまなジャンルに挑戦し、東北大学では乗馬部で主将を務めた。

 伊藤忠に入社後は、ほぼ一貫してジーンズ業界に身を置く。「思い出は数えきれない」と言うが、特に覚えているのが、「業界最大にして最難関の顧客」、リーバイ・ストラウスを担当していた時だ。米国の同社本社に呼ばれ、「君に託したい」と言われた時の喜びは忘れられない。プロとして一人前になれたと実感できた瞬間だった。

 二つ目はエドウインの経営危機と再出発。当時はジーンズ課長で、エドウインは最大の取引先。金融機関が一斉に手を引く中、「日本のジーンズの火を消してはならない」という使命感のもと、3年がかりで立て直しに奔走。現場に運命を託してくれた当時の経営幹部、「闘う頭脳集団」とも呼ぶべき伊藤忠の職能分野の人たちへの感謝を今も忘れない。

 VNPAL社長として、①「良い商品を確かな品質で納期通りにお届けする」機能の研磨②マーケットイン思想に基づいた新たなビジネスの構築③世界に向けた全方位ビジネス展開――に取り組み、「この国の成長を丸ごと取り込んでいきたい」。

 そのベースになるのが現場主義。足を運んで得た経験と知見は自身の血肉になる。それが会社のため、社員一人一人の成長のためであると信じている。

 左右の銘は「中庸」と「三方よし」。トップとして、一緒に働く仲間として、常に最適なバランスを意識し、自社、取引先、ベトナム社会の三方に喜ばれる事業を目指す。ただし、「少しの遊び、程よい無駄、適度な非効率」もこの国では大切だとし、それがクリエーティブで強い組織を作ると考えている。(武)

 おおくぼ・こういち 1991年伊藤忠商事入社、ジーンズ課長や海外駐在、エドウイン、ユニコ、デサントジャパンへの出向などを経て現職。尊敬する人物は「三国志」の関羽雲長。怒らず威張らず、焦らず、腐らず、屈しないところに引かれる。趣味は料理とカラオケ。ポン酢や焼き肉のタレまで自作し、カラオケは「脳トレ」も兼ねて歌詞を見ずに100曲歌えるよう猛特訓中。