新光合成繊維/T2T原料調達を多様化/中米日と提携し最適調達
2026年11月04日 (水曜日)
【台北=岩下祐一】ポリエステルチップから長繊維、加工糸まで手掛ける台湾の新光合成繊維(シンコウゴウセン)が、繊維to繊維(T2T)事業で原料調達先の多様化を進めている。中国企業に加え、北米や日本の企業とも連携し、価格や品質、供給能力を見極めながら最適な調達先を確保する。欧州でのT2T素材の普及を見据え、複数の技術を確保して市場や技術の変化に対応する。
同社は昨年からT2T繊維の生産を開始した。生産量は今年、約3千トンを見込む。主にナイキのFIFAワールドカップ関連商品に供給している。
原料調達や技術面では、中国の浙江佳人新材料(ジャーレン)と賽隆科技(サイクロン)のほか、米国のアンバーサイクル、カナダのループ・インダストリーズ、日本の伊藤忠商事などとも連携する。
同社は、T2Tチップを自社生産する選択肢については、大規模な設備投資が必要になることから、現時点では慎重だ。中国企業のコスト競争力を踏まえると、「単独で正面から競争するのは難しい」と、胡平一・事業本部副総経理はみる。
欧米の技術については、2028~29年ごろの量産を見込む企業もあり、量産時には中国の現在のコスト水準に近づく可能性があるとする。ただ、その時点で中国企業のコストも低下している可能性があり、将来の価格競争を見通すのは難しい。こうした状況を踏まえ、複数の技術との関係を維持し、調達先を選択できる柔軟性を重視する。
同社の26年上半期の売上高は前年同期比9・6%増の220億台湾ドル、純利益は5・5倍の18億台湾ドルだった。プラスチック部門では中東情勢を受けた顧客の在庫積み増しや先端材料の販売が寄与。繊維部門もチップや加工糸の設備がほぼフル稼働となり、前倒し発注やワールドカップ向け需要が売り上げを支えた。
第3四半期(7~9月)の売上高は115億台湾ドル、1~9月累計では前年同期比12・0%増の335億台湾ドルとなった。7~9月期は特需が一服したものの、人工知能(AI)サーバーや車載向けの高耐熱エンプラ、リサイクル素材などが売り上げを下支えした。
ワールドカップ向けの糸の出荷は前年下半期から続き、今年5~6月ごろまで継続した。現在も少量の出荷がある。今回の糸の供給企業は同社と中国メーカーの計2社で、両社ともT2T素材を提供した。
〈北陸展に初出展へ〉
同社は、11、12日に石川県金沢市で開かれる「北陸ヤーンフェア2026」に初出展する。産業資材や高強力糸を中心に日本市場の開拓を目指す。
日本向けは、タイヤコードなど産業資材の出荷が安定し、高強力ミシン糸も出荷が増えている。今回は高速縫製でも切れにくい高強力ミシン糸の特性を訴求するほか、建築用ネット向け素材なども提案する。





