特集 北陸ヤーンフェア2026(8)/出展者の見どころ/弘伸/泉工業/北洞/岐セン

2026年11月05日 (木曜日)

〈ベンベルグでモール糸/綿糸など紡績糸も拡充/弘伸〉

 繊維商社の弘伸(京都府長岡京市)は、キュプラ繊維「ベンベルグ」やレーヨン長繊維「グレース」使いを主力とし、近年は市場で入手しにくくなった機能糸や紡績糸などの扱いも強化している。今回展では新たにベンベルグのモール糸を紹介するほか、温度や紫外線で色を変える機能糸、シルケットの純綿糸などを紹介する。

 ベンベルグ使いでは先染め糸を豊富な色数でストック展開する見本帳「雅」(みやび)を展開するが、今回展では新たにベンベルグのモール糸を紹介する。単糸繊度の細さを生かして独特の起毛感を表現でき、ポリエステルやナイロンと組み合わせ、複数のバリエーションを紹介する。衣料や雑貨などの用途を狙い、ストック展開する予定。

 メーカーの撤退で調達しにくくなっている糸にも量産体制を整えて対応する。今回展では、紫外線で色が変わるフォトクロミック糸や温度で色が変わるサーモクロミック糸などを紹介する。

 紡績糸では、昨年展で超長綿使いのシルケット純綿糸の見本帳を発表し、好評を得た。今回展では量産体制を整えて紹介する。綿糸の品ぞろえも拡充しており、新たに特殊紡績で無撚に近い柔らかな糸も紹介する。

 刺しゅう用では、「鮮彩」で刺しゅう糸の豊富な色バリエーション訴求するほか、市場で入手しにくくなっている水溶性フィルムも紹介する。水溶性フィルムはエンボス付きで業界最薄級の20ミクロンを実現。20センチ、50センチ、1メートル幅をそろえ、「エコテックス」認証を取得済み。

〈ラメボルテックス披露/ランダムな光沢表現/泉工業〉

 ラメ糸製造卸の泉工業(京都府城陽市)は、村田機械と共同開発した〝ラメボルテックス〟糸を披露する。渦流精紡機「ボルテックス」でラメ糸を生産したもので、従来にはないランダムな光沢表現が特徴だ。

 ラメ糸は通常、金属を真空蒸着したフィルムをスリットして作るラメにフィラメントや紡績糸を撚糸して製造する。これに対して泉工業と村田機械はボルテックスを使い、ラメに渦流で綿やレーヨン短繊維、ポリエステル短繊維などを結束することでラメ糸を製造する。

 精紡工程でラメと短繊維を混繊するため、ランダムにラメが露出し、通常のラメ糸とは異なる糸表情となる。生地サンプルも用意し、先染めや後染めによる表現効果も具体的に見せる考えだ。

 そのほか開発品としてニッケルスリット糸による導電・磁性糸も紹介する。こちらは資材も含めて用途探索を進める。主力の後加工対応ラメ糸「ジョーテックス」のラインアップも紹介する。アルカリ減量加工などにも耐えるように銀蒸着ラメを使用しているが、近年の銀高騰で糸値を大幅に引き上げざるを得なくなった。このため銀以外の金属で後加工への耐性を確保したラメ糸の開発にも取り組んでいる。

〈高遮熱性のラメ糸を開発/ペット市場にも提案/北洞〉

 糸商の北洞(京都市)は、今回の北陸ヤーンフェアで撚糸での強みを生かした糸を幅広く紹介する。機能糸にも着目しており、新たに「遮熱」を切り口に開発した糸も紹介する。

 猛暑対策の切り口では、東レの「ギガダル」と、遮熱性の高いアルミフィルムを撚糸したラメ糸を開発中で、今回展で披露する予定。高い防透け性や遮熱性、汗染み抑制などの特徴を持つギガダルに、遮熱効果のあるアルミフィルムを組み合わせることで、高い遮熱性を実現した。200デニール糸で開発中。

 ブースでは、遮熱糸を使った製品も披露する予定。拡大するペット市場にも着眼し、遮熱性の高いペット用衣料も制作して出品する。

 今回展では、撚糸技術を生かしたレーヨン糸や「ベンベルグ」糸など従来から展開する商品群も幅広く紹介する。

 同社は、要望を聞きながら糸を作り込むきめ細かな対応が特徴で、衣料用から資材用まで幅広く展開する。今期(2027年2月期)の販売は資材用途などが堅調で、上半期(3~8月)は前年同期比増収で推移した。バサルト糸も用途展開が広がり、コンクリート補強用など資材用での開発も進みだしている。

〈多彩なシワ加工訴求/複合素材への加工強みに/岐セン〉

 岐セン(岐阜県瑞穂市)はファッション向けを軸に生地表面への意匠性を高めるため、多彩なシワや凹凸を付与する加工を訴求する。高温・猛暑が長期間続く中、薄地の生地に清涼感と肌離れの良さを加える。北陸ヤーンフェアには初出展となる。

 北陸の企業とは接点や取引があるが、合繊だけでなく天然繊維混を含む複合素材への加工技術の種類や強みを訴求したいと考える。「いかに付加価値を高めた表面加工をアピールできるか」(後藤勝則社長)を掲げる。

 4種の表面加工を総称した「快適ナチュラルテクスチャー」シワ加工シリーズはそれぞれが異なる表情を持つ。カジュアル向けで加工依頼が多いのがマスクメロンのような細かく均一なシワを持つ「MSK」だ。天日干しの自然なシワ感と膨らみ感を付けた「NAT」も引き合いが多い。

 エレガント向けに訴求するのが、洗練された印象の「モデラ」と、シワ感を強めながらも優美で繊細な表情に仕上げた「ルフレス」だ。今年から本格的に打ち出しを強めており、販売拡大を狙う。

 この4種の加工は洗濯を繰り返してもシワ形状を保つ耐久性を備える。前期(2026年3月期)加工数量は合計115万メートル。今期(27年3月期)は130万メートルを目標とする。